フィナステリドとデュタステリドの違いとは?効果や副作用を分かりやすく解説!
「フィナステリドとデュタステリドの違いって何?」
「フィナステリドとデュタステリドの効果について知りたい!」
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも乱れたヘアサイクルを正常化して薄毛・抜け毛を予防する効果がある成分です。作用が似ている分、違いがわからずにどちらを服用すべきか迷っている方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、フィナステリドとデュタステリドの3つの違いを解説していきます。AGAの症状にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
フィナステリドとデュタステリドとは?
フィナステリドは「プロペシア」というAGA治療薬の主成分、デュタステリドは「ザガーロ」というAGA治療薬の主成分です。フィナステリドとデュタステリドはあくまで成分名を指しますが、一般的には薬名として使われることも多いです。
どちらも「5αリダクターゼ」という酵素を阻害する作用があり、女性と小児は服用できません。
ヘアサイクルとAGA
フィナステリドとデュタステリドの作用を知るために、まずはヘアサイクルとAGAについて解説します。
髪の毛は1日に0.3ミリ程度成長しますが、一生伸び続けるわけではありません。ヘアサイクルという仕組みによって自然に抜け落ちます。
ヘアサイクルとは、1本の毛髪が成長し始めてから抜けるまでの周期で、「成長期」・「退行期」・「休止期」に分けることができます。ヘアサイクルのほとんどが成長期に当たり、この間に髪の毛が長く太く育っていきます。
AGAの症状は、男性ホルモンの作用によってヘアサイクルが乱されることが原因です。
男性ホルモンの「テストステロン」は、5αリダクターゼという酵素と結合すると、悪玉化して「DHT(ジヒドロテストステロン)」になります。DHTにはヘアサイクルの成長期を極端に短くする作用があるため、髪の毛が長く太く育つことができずに抜け落ち、薄毛・抜け毛の症状が現れます。
ヘアサイクルの仕組みをもっと詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
フィナステリドとデュタステリドの作用
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも5αリダクターゼの働きを阻害する作用があります。薄毛・抜け毛を予防する効果から、フィナステリドとデュタステリドは「守りの薬」とも呼ばれます。
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があります。フィナステリドはⅠ型に対してあまり作用せず、Ⅱ型のみ阻害します。一方、デュタステリドはⅠ型とⅡ型どちらも阻害するという特徴があります。
服用すればDHTの生成を抑えられるため、乱れたヘアサイクルを正常に戻す効果があります。
ミノキシジルとの併用について
フィナステリドかデュタステリドの服用と共に、ミノキシジルを併用するようおすすめしているAGAクリニックは多いです。薄毛・抜け毛を防止しながら発毛を促進することで、効率よく改善できる効果が期待できるからです。
ミノキシジルとは、AGA治療薬として広く使われている成分です。内服薬と外用薬がありますが、より高い効果があるのは内服薬です。
血流を改善して髪に栄養を送りやすくしたり、IGF・VEGF・HGFなどの成長因子を増加させることで細胞代謝を促進したりする作用があります。発毛を促す効果から、「攻めの薬」とも呼ばれています。
フィナステリドとミノキシジルの違いや併用の効果については、以下の記事で解説しています。気になる方は併せて参考にしてください。
フィナステリドとデュタステリドの大きな違いは3点
作用が似ているフィナステリドとデュタステリドですが、どのような違いがあるのでしょうか?
大きな違いは、効果が作用する箇所・半減期・副作用のリスクの3点です。
参考:
・医療用医薬品 : プロペシア (プロペシア錠0.2mg 他)
・医療用医薬品 : デュタステリド (デュタステリドカプセル0.5mgAV「日医工」)
フィナステリドとデュタステリドの違い①効果が作用する箇所
フィナステリドとデュタステリドの一番の違いは、効果が作用する箇所です。フィナステリドは5αリダクターゼのⅠ型に対してあまり作用せずにⅡ型のみ阻害する一方、デュタステリドはⅠ型とⅡ型どちらにも作用します。
5αリダクターゼのⅠ型はほぼ全身の毛乳頭細胞に存在しており、頭皮では側頭部や後頭部に多いです。これに対し、Ⅱ型は前頭部や頭頂部に多いです。そのため、どちらの薬がより適しているかは一概には言えず、患者様の症状によって異なります。
フィナステリドとデュタステリドの違い②半減期
服用した薬は、代謝や排泄によって少しずつ体外に排出されていきます。「半減期(生物学的半減期)」は、生体内に取り入れた薬の血中濃度が半分になるまでの時間を指します。つまり、半減期が長ければ長いほど、薬が体内にとどまって作用する時間も長いということになります。
フィナステリドの半減期は3~4時間程度、デュタステリドは3~5週間程度だとされているため、血液中に溶け込んだ成分は、デュタステリドの方が長くとどまると考えられます。
フィナステリドとデュタステリドの違い③副作用のリスク
フィナステリドとデュタステリドでは、デュタステリドの方が男性ホルモン対して作用しやすい分、副作用のリスクも高い傾向にあります。
日本皮膚科学会のガイドラインに記載された試験によると、デュタステリドの副作用の発現率は以下の通りだそうです。
- 国際臨床試験…リビドー減少 3.3%,インポテンツ 5.4%,射精障害 3.3%
- 韓国での市販後調査…リビドー減少 1.3%,インポテンツ 1%,射精障害 0.1%
- 国内非ランダム化試験…リビドー減少 8.3%,インポテンツ 11.7%,射精障害 5.0%
性機能障害はフィナステリドにもみられる副作用ですが、プロペシア錠の添付文書ではリビドー減少が1~5%未満、インポテンツ・射精障害・精液量減少は1%未満と記載されています。
フィナステリドの副作用のリスクは非常に少ないですが、デュタステリドの副作用のリスクは、フィナステリドの5~10倍以上と、だいぶ高いことが分かります。
参考:
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|日本皮膚科学会
フィナステリドとデュタステリドの主な注意点
フィナステリドとデュタステリドの服用に関する注意点は、以下の5点です。
- 併用はできない
- 女性と小児は服用できない
- 副作用のリスクを確認する
- 服用する場合は献血のタイミングを確認する
- AGA以外の薄毛・抜け毛には効果がない
フィナステリドとデュタステリドの注意点①併用はできない
フィナステリドとデュタステリドは、併用することができません。どちらも5αリダクターゼを阻害する作用のある薬なので、同時に使ってしまうと副作用のリスクを高めるおそれがあります。
フィナステリドとデュタステリドのどちらか一方を選んで治療を進めましょう。効果を感じにくい場合は自己判断せず、医師にご相談ください。
フィナステリドとデュタステリドの注意点②女性と小児は服用できない
フィナステリドとデュタステリドは、女性・小児の服用が禁じられている薬です。服用しないように注意しましょう。
特に妊娠している方の場合は、薬に触れることも避けてください。成分が皮膚から吸収されて、お腹の中にいる男の子の生殖器に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
薄毛・抜け毛の症状に悩んでいる女性の方は、ほかに適する治療法や治療薬がありますので、別の治療プランを検討しましょう。
女性の薄毛の原因や改善方法は、以下の記事で詳しくお伝えしています。ぜひ参考にしてください。
フィナステリドとデュタステリドの注意点③副作用のリスクを確認する
前述の通り、フィナステリド・デュタステリドを服用すると副作用を起こす可能性があります。
例えば、先ほどもお伝えしたように、リビドー減少やインポテンツなどの性機能障害が報告されています。また、主な代謝が肝臓で行われることから、ごくまれに肝機能障害につながることがあります。
何かあった際もすぐ医師に相談できるよう、どのような副作用があるのか確認しておきましょう。
フィナステリドとデュタステリドの注意点④服用する場合は献血のタイミングを確認する
フィナステリドかデュタステリドを服用している場合、服用を中止してからしばらくの間は献血を行えません。血液中に成分が含まれているので、輸血先の人に悪影響を与えるリスクを避けるためです。
日本赤十字社によると、フィナステリドは服薬中止から1ヶ月間、デュタステリドは6ヶ月間献血できないそうです。決められた期間を過ぎてから献血するように注意しましょう。
参考:
・服薬と献血について|福岡県赤十字血液センター|日本赤十字社
フィナステリドとデュタステリドの注意点⑤AGA以外の薄毛・抜け毛には効果がない
フィナステリドとデュタステリドは、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることで薄毛・抜け毛を防ぐ薬です。AGA以外が原因の薄毛・抜け毛に対しては効果がないので、ご注意ください。
AGA以外に考えられる要因は、別の脱毛症を発症しているケースです。円形や楕円形に髪が突然抜ける円形脱毛症、髪の毛が強くひっぱられるようなヘアスタイルを続けることで起きる牽引性脱毛症などがあります。
また、偏った食事で髪に必要な栄養が不足していたり、間違ったヘアケアで髪や頭皮がダメージを受けていたりすることで、抜け毛を引き起こす場合もあります。
薄毛・抜け毛の原因を自力で特定するのは難しいため、まずはAGAクリニックに相談するのがおすすめです。
抜け毛の原因については以下の記事でも解説しているので、気になる方は併せてお読みください。
フィナステリドとデュタステリドは結局どっちが良い?
フィナステリドとデュタステリドは作用が似ている成分で併用できないため、どちらか一方のみを服用することになります。結局どちらが良いのかは、医師に相談したうえで自分の症状に合った方を選ぶことが大切です。
5αリダクターゼⅠ型とⅡ型の違い・特徴について
まずは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型について、それぞれの違いや特徴をお伝えします。
5αリダクターゼⅠ型
5αリダクターゼⅠ型は幅広い部位の皮膚の脂腺に多く存在していて、頭皮だと側頭部と後頭部に多いです。育毛促進因子を生成したり、皮膚の機能を守ったりする働きがあるのが特徴です。
5αリダクターゼⅡ型
5αリダクターゼⅡ型は前立腺や精巣に多く存在しており、頭皮だと前頭部と頭頂部に集中しています。頭部以外の部位では発毛を促しますが、頭部では脱毛を促します。さらにDHT(ジヒドロテストステロン)に変化しやすいという特徴もあることから、5αリダクターゼⅡ型の方がAGAとより関係が深いと考えられています。
5αリダクターゼについては以下の記事でも解説しているので、併せてお読みください。
参考:
・男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果|日薬理誌
AGA治療薬としてはデュタステリドよりフィナステリドの方が主流
フィナステリドとデュタステリドのどちらが良いかはケースによりますが、AGA治療薬としてはフィナステリドがの方が主流だと言えます。
頭皮に存在する5αリダクターゼは、Ⅰ型は側頭部や後頭部に多く、Ⅱ型は前頭部や頭頂部に多いです。
デュタステリドは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型どちらにも有効ですが、一般的にAGAによる抜け毛は前頭部や頭頂部に集中していて、後頭部の毛が抜けることは少ないです。側頭部の毛が抜けるのも、かなりAGAが進行してしまっている状態だと言えます。
さらに、薄毛・抜け毛を引き起こすDHT(ジヒドロテストステロン)へ変化しやすいのはⅡ型の方です。
つまり、5αリダクターゼのⅠ型に対してはあまり作用しないフィナステリドでも、Ⅱ型の働きを阻害することで充分な効果を発揮するケースが多いのです。
それに比べ、デュタステリドの副作用の発現率は、国際臨床試験においてリビドー減少 3.3%、インポテンツ 5.4%、射精障害 3.3%に対し、フィナステリドはプロペシア錠の添付文書を参考にするとリビドー減少が1~5%未満、インポテンツ・射精障害・精液量減少は1%未満と、デュタステリドはフィナステリドに比べ、副作用がかなり大きいです。このため、AGA治療薬としてはフィナステリドの方が主流です。
参考:
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|日本皮膚科学会
どっちが良いかはケースによる!AGAクリニックに相談しよう
5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両者に効果があるからと言って、安易に副作用の大きいデュタステリドを選択すべきではないでしょう。とは言え、AGAがかなり進行してしまっている状況では、当然、デュタステリドの方が適しています。症状の出ている範囲や AGAの進行具合、患者様のご希望などを把握したうえで、ケースに合わせて選ぶことが大切です。
適切なAGA治療薬をお探しの場合は、AGAクリニックにご相談ください。
AGAクリニックに相談して最適なAGA治療薬を処方してもらおう
フィナステリドとデュタステリドの違いについて解説しました。
フィナステリドとデュタステリドは、薄毛・抜け毛を予防する効果がある成分です。フィナステリドに比べると、デュタステリドは効果が強い分、副作用のリスクも高めです。
フィナステリド・デュタステリドを服用してみたい方や、どちらが適しているかわからない方は、AGAクリニックにご相談ください。患者様の状態や要望に合わせ、最適な治療プランを提案します。
【よくある質問】
フィナステリドに比べ、デュタステリドは効果が強い、半減期は長い、副作用のリスクは高いという特徴があります。