5αリダクターゼとは?抑制する方法と増加する理由・AGAとの関係性について

公開日 / 2024.07.20 更新日 / 2024.08.14

「最近、髪の毛がどんどん薄くなっている」とお悩みではないでしょうか。
ところで、「5αリダクターゼ」というワードを聞いたことはありますでしょうか?
実は「5αリダクターゼ」はAGAの原因に大きく関係しているのです。

男性の多くが悩むAGA(男性型脱毛症)。なかなか人に相談できず、一人で抱え込んでしまう方も多いのではないかと思います。AGAは進行性のため、早期発見・治療が重要です。

本記事では、5αリダクターゼの役割やAGAの関係性を解説し、どのように改善したらいいか、詳しくお伝えしていきます。投薬治療や生活習慣の見直しについても紹介しているため、AGAでお悩みの方はぜひ参考にしてください。

「5αリダクターゼ」とは?

「5αリダクターゼ」とは?

「5αリダクターゼ」は、頭部や前立腺など全身の皮脂腺に多く存在している酵素です。男性ホルモンの一種である「テストステロン」を「ジヒドロテストロン(DHT)」に変換させる役割を持っています。

テストステロンとジヒドロテストロンは、男性の成長に欠かせないホルモンですが、過剰に分泌されてしまうとAGAの原因となる場合があります。男性ホルモンを受け取るアンドロゲンレセプターとジヒドロテストロンが結合することにより、「TGF-β」が生成され、脱毛因子である「FGF-5」を生み出すためです。

またAGA(薄毛)や前立腺肥大を引き起こす可能性があることから、ジヒドロテストロンは「男性悪玉ホルモン」と呼ばれることもあります。

5αリダクターゼの役割

5αリダクターゼの役割

冒頭でも少しお伝えましたが、5αリダクターゼはさまざまな役割を持っています。今回は、5αリダクターゼの役割を3つに絞って解説します。

  • ジヒドロテストステロン(DHT)の生成
  • 男性らしい身体へ発達させる
  • 皮脂腺の活発化

順番に解説していきます。

ジヒドロテストステロン(DHT)の生成

5αリダクターゼには「テストステロン」の構造を「ジヒドロテストロン(DHT)」に変換させる役割があります。テストステロンとジヒドロテストロンはどちらも男性ホルモンであり、男性の身体にとって重要な役割を果たしています。

またジヒドロテストロンは、ホルモン受容体である「アンドロゲンレセプター」への親和性が高く、テストステロンの50倍と強力な作用効果があることも特徴です。生成されたジヒドロテストステロンはアンドロゲンレセプターと結合し、「FGF-5」と言われる脱毛因子を生み出します。

参考:
前立腺癌とホルモン:Androgen Receptor を中心として|公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団

男性らしい身体へ発達させる

テストステロンやジヒドロテストロンは、「骨格の形成」や「筋肉を成長・修復・維持」する働きを持ちます。男性らしい身体への発達に欠かせない男性ホルモンですが、多く分泌されるとAGAの原因となる脱毛因子を生成してしまうため、多すぎても少なすぎても問題となります。

皮脂腺の活発化

ジヒドロテストステロンには皮脂腺を活性化する効果もあり、肌の潤いを保ち皮膚の保護をするといった役割もあります。思春期にはホルモンバランスの変化によって5αリダクターゼが活性化してしまい、ジヒドロテストロンが増幅する場合もあります。増えたジヒドロテストロンによって皮脂腺が活発化すると、毛穴に詰まった皮脂によりニキビが増えるため、思春期の頃には悩みの種となることも多いでしょう。

5αリダクターゼの種類

5αリダクターゼの種類

5αリダクターゼは、おもに下記の2種類に分類されます。

  • 5αリダクターゼI型
  • 5αリダクターゼII型

それぞれ異なる部位に分布し、異なる役割を持っています。

5αリダクターゼI型

5αリダクターゼI型は、大部分の皮膚の皮脂腺や前立腺に多く存在しています。育毛促進因子(FGF-7)の生成や、皮膚の機能を守る働きも持っているのが特徴です。

5αリダクターゼII型

5αリダクターゼII型は、頭部の「前頭部」と「頭頂部」、前立腺や精巣などに多く存在しています。前立腺の成長や機能管理、男性生殖器の発達を促す働きも持っているのが特徴です。

また5αリダクターゼII型は育毛と脱毛、両方の性質を持っており、分布される位置によって作用が異なります。頭部では脱毛症状を促しますが、脇やヒゲなど他の部位では発毛を促してくれるのです。そのため、5αリダクターゼII型の方がAGAと深い関係があると考えられています。

参考:
男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果|日薬理誌

5αリダクターゼはAGAの原因になる?

5αリダクターゼはAGAの原因になる?

5αリダクターゼが直接的な原因となっているのではなく、5αリダクターゼが生成する「ジヒドロテストステロン(DHT)」がAGAに大きく関係しています。

ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと結合しまうことで、脱毛の原因となる「FGF-5」が生成されます。FGF-5は成長因子として毛髪の成長サイクルを調整しますが、過剰に分泌されてしまうと、毛包の成長を停止させてしまう場合があるのです。

つまり、5αリダクターゼの増幅に比例するようにジヒドロテストステロンも生成され、アンドロゲンレセプターと結合することでFGF-5が増幅。過剰に増えたFGF-5が悪さをし、AGA(薄毛)を引き起こすのです。

このことから、直接な原因ではないが、5αリダクターゼはAGAの原因の一つとなっていると考えられます。

AGAは男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)のこと

そもそもAGAとは、男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)のことを差し、男性ホルモンの異常によって、生え際の後退や頭頂部の薄毛が引き起こされていることを言います。

AGAについては、こちらで詳しく解説しておりますので、ご参考ください。

AGA(男性型脱毛症)とは?ヘアサイクルがポイント

AGAの主な原因は5αリダクターゼII型

AGA(薄毛)を引き起こす主な原因は、5αリダクターゼII型だと考えられています。5αリダクターゼII型が前頭部や頭頂部に多く分布しているため、ここでジヒドロテストステロンが過剰に生成されてしまうと、頭部の目立つ部分が薄くなり目立ってしまいます。

5αリダクターゼが多い人や増える原因

5αリダクターゼが多い人や増える原因

AGAの原因となる5αリダクターゼはなぜ増えるのか、おもな原因は3つあります。

  • 原因①:遺伝|5αリダクターゼは優性遺伝のため両親から受け継がれる
  • 原因②:特定の疾病|前立腺肥大や脱毛症などで5αリダクターゼが活発化
  • 原因③:ホルモンバランス|男性ホルモンの増加で5αリダクターゼが活発化

順番に解説します。

原因①:遺伝|5αリダクターゼは優性遺伝のため両親から受け継がれる

5αリダクターゼが多い人や増える原因の1つ目は、遺伝によるものです。5αリダクターゼは優性遺伝のため、両親のいずれかがAGAだと、将来的に薄毛になる可能性が高いと言えます。

原因②:特定の疾病|前立腺肥大や脱毛症などで5αリダクターゼが活発化

5αリダクターゼが多い人や増える原因の2つ目は、特定の疾病によるものです。前立腺が肥大化している方は、5αリダクターゼの分泌量が多く、AGAになりやすい人とも言えます。

また脱毛症を抱えている方は、すでに5αリダクターゼによって多量にジヒドロテストステロンに変換されている状況であり、脱毛症をさらに促進させる場合があるので、注意が必要です。

原因③:ホルモンバランス|男性ホルモンの増加で5αリダクターゼが活発化

5αリダクターゼが多い人や増える原因の3つ目は、ホルモンバランスによるものです。アンドロゲンと呼ばれている男性ホルモンが増えると、5αリダクターゼは活性化する経過にあります。

アンドロゲンの増加の原因は、おもに思春期や大きなストレスなどでホルモンバランスが乱れることです。とくに不規則な食事や睡眠を続けると、ホルモンバランスの乱れによりアンドロゲンが増加してしまう傾向にあります。

AGAの改善には5αリダクターゼを抑制することが大切

AGAの改善には5αリダクターゼを抑制することが大切

AGAは多くの男性が悩む症状であり、早めに対策することが重要です。「5αリダクターゼを抑制」することで、AGAの進行を抑制する効果が期待できます。

また5αリダクターゼを抑制すると、前立腺肥大症の改善や予防する効果も期待できるため、積極的に改善していきましょう。

5αリダクターゼを抑制する治療薬

5αリダクターゼを抑制する治療薬

5αリダクターゼを抑制するためにはさまざまな方法があり、中でも治療薬の服用は高い効果が期待できます。おもにAGA治療で使われている治療薬は、5αリダクターゼ阻害薬である、以下の2種類です。

  • 治療薬①:フィナステリド(プロペシアやフィンペシア等)
  • 治療薬②:デュタステリド(ザガーロ等)

それぞれ順に、解説します。

治療薬①:フィナステリド(プロペシアやフィンペシア等)

フィナステリドは、5αリダクターゼII型を抑制します。ジヒドロテストステロンの生成が減少し、AGAの進行を抑制させる効果が期待できます。

前立腺肥大症の治療として開発された阻害薬ですが、AGAや前立腺肥大には5αリダクターゼを抑制することで改善効果が期待できると判明してからは、AGA治療薬として処方されるようになりました。以後、AGA治療において使用頻度の高い阻害薬です。

フィナステリドの効果や注意点については、こちらでも解説しておりますので、ご参考ください。

フィナステリドはどのくらいで効果を実感できる?服用時の注意点とは

治療薬②:デュタステリド(ザガーロ等)

デュタステリドは、5αリダクターゼI型と5αリダクターゼII型、どちらに対しても抑制効果があります。

フィナステリドと同じく、元は前立腺肥大症の治療薬として使われていましたが、高い育毛効果が期待できることから、AGA治療薬として2015年に厚生労働省の認可が下りました。海外の臨床実験では、デュタステリドはフィナステリドよりも発毛量が33%高いと報告されています。

デュタステリドの効果や注意点については、こちらでも解説しておりますので、ご参考ください。

デュタステリドとフィナステリドの違いは?デュタステリド服用時の注意点

参考:
医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会のIF記載要領 2018(2019 年更新版)

5αリダクターゼを抑制するサプリメント

5αリダクターゼを抑制するサプリメント

AGAの原因となる5αリダクターゼを抑制するサプリメントが販売されているのはご存じでしょうか。手軽に取れるサプリメントは継続もしやすいメリットがあります。代表的なサプリメントは、以下の2つです。

  • サプリメント①:ノコギリヤシ
  • サプリメント②:イソフラボン

それぞれ順に、解説します。

サプリメント①:ノコギリヤシ

ノコギリヤシは、AGAに対する効果が期待できるサプリメントの1つです。アメリカに生息していたヤシ科のハーブで、男性の強壮や健康食品として使われてきました。

5αリダクターゼの抑制効果があるため、AGAの進行を遅らせる効果が期待できます。また、抗炎症効果もあることから、毛包の環境を改善し、頭皮の毛穴を健やかに保ってくれます。

サプリメント②:イソフラボン

イソフラボンは、女性の化粧水などに含まれていて肌を綺麗にするイメージもありますが、実はAGAにおいても改善効果が期待できる成分です。食事でも摂取できるので、積極的に摂っていきましょう。

植物エストロゲンとも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つことから、AGAの原因となる男性ホルモン(テストステロン)との調和が取れ、ホルモンバランスが整う効果も期待できます。

結果として、ジヒドロテストロンの生成が抑制され、AGAの進行を抑制してくれます。

5αリダクターゼを抑制する食事

5αリダクターゼを抑制する食事

AGA治療は早期発見・治療が大切ですので、治療薬やサプリメントの服用と並行して、食事管理もしていくことが望ましいです。普段の食事に意識して、積極的に必要な成分を取り入れていきましょう。5αリダクターゼを抑制する食事の例は、以下の2つです。

イソフラボンが含まれている大豆類

イソフラボンはサプリメントだけではなく、食事からも摂取できます。普段の食事に取り入れやすい食品をまとめましたので、下記の表を参考にしてみてください。

食品名 含有量
木綿豆腐(1/2丁150g) 約42mg
豆乳(調整豆乳、200g) 約41mg
厚揚げ(1/2枚100g) 約37mg
納豆(1パック) 約36mg
味噌(味噌汁1杯20g) 約6mg

参考:
イソフラボンの力|フジッコ株式会社

亜鉛が含まれている食べ物

亜鉛は髪の主成分を作る働きや5αリダクターゼを抑制する効果があり、普段から食べている食品の多くに含まれます。中でも、生牡蠣は亜鉛を多く含んでいるため、AGAを抑制する効果が期待できます。

注意点として、亜鉛は取りすぎると嘔吐や銅欠乏を引き起こしてしまう可能性があるため、1日の摂取量である「耐容上限量」を超えないようにしましょう。一般男性の平均は40mg~45㎎と設定されています。

亜鉛が含まれている食品も、一覧にしましたので、下記の表を参考にしてみてください。

食品名 含有量
生牡蠣(1個12g) 約13.0mg
豚レバー(70g) 約7mg
牛ロース(赤身70g) 約5.6mg
プロセスチーズ(1切れ20g) 約3.2mg
納豆(1パック) 約1.9mg

参考:
亜鉛の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット

AGAの原因となる5αリダクターゼは治療や生活習慣の見直しで減らせる

AGAの原因となる5αリダクターゼは治療や生活習慣の見直しで減らせる

5αリダクターゼは、AGAの直接的な原因ではないですが、男性ホルモンの一種であるテストステロンをジヒドロテストロン(DHT)に変換する作用を持ちます。変換されたジヒドロテストロンは、脱毛を促すFGF-5が生成されてしまうため、5αリダクターゼの増加はAGAを促進する原因の1つと言えるでしょう。

5αリダクターゼを減少させAGAの進行を抑制するために、以下3つのポイントを抑えましょう。

  1. 投薬治療:早期の投薬治療はAGAの進行を抑制
  2. 生活習慣:適切な運動でホルモンバランスを整える
  3. 食事改善:日々の食生活を見直し5αリダクターゼの減少を意識する

投薬治療を行いながら食事改善や生活習慣を整えることで、AGAの進行を抑制する効果が期待できます。

また、当院では投薬治療のほか、オリジナル育毛剤を提供しております。ミノキシジルと呼ばれる発毛成分が豊富に含まれており、ミネラル・ビタミンなどの栄養素や阻害薬であるフィナステリドも配合。最新医療でスピード感のある発毛効果が期待できます。

患者様の状態に合わせて、適切な治療方法をご提案いたします。ぜひ一度、カウンセリングにお越しください。

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【よくある質問】

AGAは投薬治療でどこまで改善しますか?

結論からお伝えすると、個人差がございます。しかし、当院では治療開始から3~6ヶ月程で発毛効果を実感している方が多くいらっしゃいます。
どの程度改善できるのかは、症例写真を公開しておりますので、こちらをご参考ください。
<ウィルAGAクリニックの症例ページはこちら>

5αリダクターゼの量を調べる方法は何がありますか?

5αリダクターゼの量は、「DHT検査」「遺伝子検査」「毛根検査」等で確認できます。

この記事の監修者
宮内 俊
ウィルAGAクリニック

多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

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多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

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