亜鉛は髪の毛に良いって本当?効果や役割を分かりやすく解説!
亜鉛は、人間の体に必要不可欠な栄養素ですが、どのような効果があるのかを具体的に知っている方は少ないでしょう。髪の毛の健康を保つためにも亜鉛を十分取り入れたいものですが、亜鉛を過剰摂取すると亜鉛中毒や銅欠乏症になるおそれがあります。当記事では、亜鉛が持つ栄養や役割などを詳しく解説します。
目次
亜鉛とはどのような栄養素なのか?
最初に、亜鉛とはどのような栄養素なのか、役割や適切な摂取量をお伝えします。
亜鉛はミネラル成分のひとつ
亜鉛は必須ミネラルのひとつです。体内では合成できないため、食事などで摂取しなければなりません。
亜鉛は体内に取り込まれてから、およそ20~40%が吸収されます。摂取量や同時に摂取した栄養の影響により、吸収率は変わってきます。
参考:
亜鉛の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
亜鉛欠乏症の診療指針 2018|日本臨床栄養学会
亜鉛の適切な摂取量
亜鉛の1日の摂取推奨量は、18~74歳の男性だと11mg、75歳以上の男性で10mg、18歳以上の女性で8mgだとされています。
これだけでは何をどれくらい食べればいいのか分かりにくいので例を挙げると、食材の中でも特に亜鉛が豊富な牡蠣の場合、養殖の生の状態で100g当たり14.0mgもの亜鉛が含まれているそうです。
ただし、亜鉛は摂取しすぎるのも良くありません。健康障害のリスクが低いとされる、栄養素の習慣的な摂取量の上限を「耐容上限量」と言います。
通常の食事で亜鉛の過剰摂取になることは少ないと言われていますが、亜鉛の耐容上限量を以下の表で示したので参考にしてください。
性別(年齢) | 亜鉛の耐容上限量 |
---|---|
男性(18~29歳) | 40mg |
男性(30~64歳) | 45mg |
男性(65歳以上) | 40mg |
女性(18~74歳) | 35mg |
女性(75歳以上) | 30mg |
亜鉛は髪の毛に良い?薄毛や育毛対策に効果的だと言われる理由
亜鉛が薄毛や育毛の対策に効果があると言われる理由は、以下の3点です。
- ケラチンの合成に必要なため
- ヘアサイクルを正常に保つ作用があるため
- AGAの進行を遅らせる作用が期待できるため
亜鉛が髪の毛に良い理由①ケラチンの合成に必要なため
毛髪の80〜90%程度はタンパク質で構成されており、このうちの90%程度を占めるタンパク質が「ケラチン」だと言われています。
亜鉛には、ケラチンの元となるアミノ酸の結合をサポートする役割があります。亜鉛不足によってケラチンが上手く合成されないと細胞分裂が正常に行われないため、髪の毛が育ちにくくなるのです。
参考:
ケラチンとは?髪の毛との関係や効果的に摂取する方法|みんなのホルモン研究所
亜鉛が髪の毛に良い理由②ヘアサイクルを正常に保つ作用があるため
亜鉛は、髪の毛のヘアサイクルを正常に保つことにも役立っています。ヘアサイクルが成長期に入ると、毛母細胞が分裂を繰り返すことで髪の毛が伸びて、皮膚の表面へと出て行きます。
正常な細胞分裂を促す作用のある亜鉛が不足してしまうと、毛母細胞の分裂をサポートできず、ヘアサイクルが乱れるおそれがあります。
ヘアサイクルについては以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
亜鉛が髪の毛に良い理由③AGAの進行を遅らせる作用が期待できるため
男性型脱毛症であるAGAは、テストステロンという男性ホルモンと、5αリダクターゼという酵素が結合することで生成される「DHT(ジヒドロテストステロン)」が原因です。
DHTはヘアサイクルの成長期を極端に短くする作用があるため、髪の毛が短く細くなります。
亜鉛は、5αリダクターゼの働きを抑える作用があることから、AGAの進行を遅らせる可能性が指摘されています。
もちろん、「亜鉛を十分摂取すればAGAを予防・改善できる」というわけではありません。あくまでも、進行を遅らせるサポート的な働きが期待できると理解しておきましょう。
髪の毛以外にも作用する!亜鉛の役割とは
髪の毛に良いというイメージがあるように、亜鉛には髪の毛を構成する「ケラチン」というタンパク質の合成に必要だったり、ヘアサイクルを正常に保つ作用があったりします。ただ、亜鉛は髪の毛以外にも作用する重要な栄養素です。
亜鉛は、300種類以上もの酵素の活性化に必要な成分です。遺伝子情報を複製するDNAポリメラーゼや、エタノールを分解するアルコール脱水素酵素なども含まれます。
その分生理作用も多く、皮膚代謝や生殖機能、免疫機能、身長・骨格の成長などに関わっています。細胞分裂や核酸代謝でも重要な役割を果たしている、欠かせない栄養素です。
また、亜鉛は味覚機能にも関わっています。人間の舌の表面には味蕾という細胞があり、味覚を感じ取る働きを持っています。味蕾細胞の産出には亜鉛が欠かせないため、亜鉛が不足すると味覚障害が起こる恐れがあるのです。
また、亜鉛は赤血球の元となる「赤芽球」の分化・増殖にも必要なので、亜鉛不足によって貧血になることがあります。
亜鉛不足で起こりうる髪の毛の初期症状とは?
では、亜鉛が足りなくなってしまうとどうなるのでしょうか?
亜鉛不足になる原因と症状をお伝えします。
参考:
亜鉛欠乏症 – 亜鉛欠乏症 – MSDマニュアル家庭版
亜鉛|国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
亜鉛欠乏症の診療指針 2018|日本臨床栄養学会
亜鉛が不足する原因
亜鉛不足となる原因は、まず摂取不足が考えられます。食事によって取り込む亜鉛の量自体が少ないので、当然不足してしまいます。偏った食事ばかりしたり、ダイエットで食事を極端に制限したりしている場合は要注意です。
また、吸収不全も亜鉛不足につながります。食物繊維の摂取過剰で亜鉛の吸収を阻害している、慢性肝障害や炎症性腸疾患を発症している、といったケースが考えられます。
そのほか、妊娠によって亜鉛の消費が増えたり、糖尿病や腎疾患で排泄が増えたりすることでも、亜鉛が不足しやすくなります。
亜鉛欠乏症の初期症状
亜鉛欠乏症に見られる初期症状は、以下の通りです。
<髪の毛に関わるもの>
- 皮膚炎などの皮膚症状
- まだら状の脱毛
- 発疹
<その他>
- 口内炎
- 食欲の減退
- だるさ、イライラ感
- 味覚や嗅覚の低下
- 精子の生産低下
- 免疫の低下
- 成長や発育の遅れ(乳児・小児の場合)
当てはまる症状がいくつかある方は、亜鉛が不足している可能性があります。放置すると食欲の低下によってさらに亜鉛が足りなくなったり、免疫の低下で感染症に罹ったりするおそれがあります。
亜鉛不足は慢性肝障害や糖尿病などの病気によっても引き起こされるため、心当たりがある場合は医師に相談することをおすすめします。
参考:
Inhibition of 5 alpha-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid
亜鉛を多く含む食品とは?
次に、亜鉛を多く含む食品についてお伝えしていきます。
亜鉛を多く含む食品はさまざまで魚介類や肉類、藻類などがあります。代表的な食品は牡蠣で、養殖の生だと100gあたり14.0mg程度もの亜鉛を含むと言われています。
亜鉛を多く含む食品を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
食品名 | 100g当たりの亜鉛量 |
---|---|
牡蠣(養殖 生) | 14.0mg |
かたくちいわし(田作り) | 7.9mg |
かぼちゃ(いり 味付け) | 7.7mg |
ぶた (レバー 生) | 6.9mg |
きな粉(全粒大豆 黄大豆) | 4.1mg |
あまのり(焼きのり) | 3.6mg |
切干しだいこん(乾) | 2.1mg |
※亜鉛の含有量は食品の可食部100g当たりです。
亜鉛のサプリを活用して髪の毛の成長をサポートするのも手
日本人の一般的な献立の場合、1日で摂取できる亜鉛の量は9mg 程度だと言われています。
一般成人で摂取量が少ない傾向にあり、特に子供・老人・若い女性で亜鉛が不足している状況が指摘されていますが、食事を改善することは簡単ではありません。
食事での摂取が難しい方は、サプリメントを活用するのもひとつの手です。牡蠣やレバーを無理に食べようとしなくとも、普段の食事にプラスすることで気軽に亜鉛を摂取できます。
ただし、量を守らないと亜鉛の過剰摂取となり、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、服用している医薬品との組み合わせによっては思わぬ健康被害につながるケースがあります。使っている薬があれば医師・薬剤師に相談したうえで、ルールを守ってサプリメントを活用しましょう。
亜鉛の吸収を良くするため一緒に摂りたい栄養素とは?
亜鉛は、特定の栄養素と一緒に摂ると吸収が良くなると言われています。次に挙げる栄養素と合わせて、積極的に亜鉛を摂るようにしましょう。
- タンパク質
- ビタミンC・クエン酸
亜鉛と一緒に摂りたい栄養素①タンパク質
動物性タンパク質は亜鉛の吸収を助けるため、多く摂ると亜鉛の吸収が増えるとされています。
タンパク質は、髪の毛や臓器、皮膚を構成する栄養素で、亜鉛はそれを組み立てる役割があります。タンパク質と亜鉛が両方あってこそ、それぞれの役割を果たすのです。
亜鉛と一緒に摂りたい栄養素②ビタミンC・クエン酸
生牡蠣を食べる際にレモンを搾ることがあると思いますが、これは亜鉛の吸収を高めるためにとても良い食べ方だと言えます。レモンに含まれるクエン酸やビタミンCは、亜鉛と一緒に摂ることで亜鉛の吸収率を高めると言われています。
亜鉛を摂取するときの注意点
亜鉛を摂取するときの注意点は、以下の4点です。
- 過剰摂取しないようにする
- 一緒に食べる食品に注意する
- アルコールを摂取しすぎない
- 亜鉛サプリを飲む場合は要注意
亜鉛の注意点①過剰摂取しないようにする
亜鉛は毒性が極めて低いとされているものの、摂取しすぎるとさまざまな不調につながるおそれがあります。通常の食生活を送る場合、亜鉛の過剰摂取になる心配はあまりないと言われていますが、充分注意しましょう。
参考:
亜鉛中毒 – 亜鉛中毒 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
亜鉛を過剰摂取するリスク①吐き気などの消化器症状が現れる
大量の亜鉛を摂取すると亜鉛中毒になり、吐き気や嘔吐などの消化器症状が現れるリスクがあります。
亜鉛メッキの容器に酸性の食物や飲料を入れて摂取する、亜鉛サプリの適量を守らずに一気に何錠も飲む、といったケースが考えられます。
亜鉛を過剰摂取するリスク②銅欠乏症・鉄欠乏症になる
大量の亜鉛を継続的に摂取していると、銅の吸収が阻害されるリスクがあります。銅も身体にとっては欠かせない栄養であり、不足すると銅欠乏症になって貧血や神経障害などの症状につながるおそれがあります。
また、まれではありますが亜鉛によって鉄の吸収阻害が起こり、鉄欠乏症になることもあります。銅欠乏症と同じように貧血などを引き起こす可能性があるため、亜鉛を過剰摂取しないよう気をつけることが大切です。
亜鉛の注意点②一緒に食べる食品に注意する
亜鉛がどれくらい吸収されるかは、他の物質の影響を受けて変化します。一緒に食べる食品によっては吸収率が下がってしまうので、注意しましょう。
亜鉛の吸収を妨げると言われているのは、「フィチン酸」です。米ぬかや小麦といった穀類、豆類など、植物由来の食品に多く含まれる物質で、亜鉛と結合することにより吸収を妨げてしまいます。
また、食物繊維、乳製品などのカルシウムが多いもの、タンニンを含むコーヒー、オレンジジュースなども、亜鉛の吸収を妨げます。亜鉛を摂取したい場合は、これらの食品・栄養をできるだけ一緒に摂らないようにすると良いでしょう。
亜鉛の注意点③アルコールを摂取しすぎない
アルコールを摂取すると体内で分解されて無害な酢酸となりますが、これは酵素の働きによるものです。亜鉛には酵素を活性化する作用があるため、お酒を飲みすぎるとアルコール代謝に関わる酵素も多く必要になります。
亜鉛を過剰に消費しないよう、アルコールの飲みすぎには注意してください。
以下の記事では、アルコールと薄毛の関係について解説しています。併せてお読みください。
亜鉛の注意点④亜鉛サプリを飲む場合は要注意
一般的な食生活を送る場合、亜鉛の過剰摂取を起こす可能性は低いと言われています。ただ、サプリメントを飲む場合は注意しましょう。
サプリメントは手軽に飲める分、「もっと効果を実感したい」という思いから記載されている目安の量を守らずに摂取する場合があります。亜鉛の過剰摂取により亜鉛中毒や銅欠乏症、鉄欠乏症を引き起こすおそれがあります。
AGA・髪の毛の症状にお悩みの方はウィルAGAクリニックへ
今回は、亜鉛と髪の毛の関係について詳しく解説してきました。AGAの進行を遅らせたいからといって亜鉛を過剰摂取すると、亜鉛中毒や銅欠乏症になるおそれがあります。本気でAGA対策を行いたい方は、専門の病院を受診することをおすすめします。
ウィルAGAクリニックでは、オリジナル発毛治療を通じて、これまで多くの患者様に発毛効果を実感していただいております。AGAの症状でお悩みの方にも、一人ひとりの症状に合ったオーダーメイドの治療により、AGAの改善が期待できます。
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【よくある質問】
亜鉛は適量を摂取することが大切です。過剰摂取すると亜鉛中毒になって吐き気や嘔吐などの消化器症状が現れたり、銅や鉄の吸収が妨げられて貧血になったりするおそれがあります。