脂漏性皮膚炎とは?頭皮に起きる症状や治療法、予防法を解説

公開日 / 2020.09.21 更新日 / 2025.02.12

「最近、頭皮の脂が多いような…」
「どうにも髪がベタつく…」

このように頭皮の脂が気になっていませんか?頭皮の脂が多いと臭いやべとつきが発生してしまうほか、「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」を発症している場合もあります。
そこで今回、脂漏性皮膚炎になる原因や症状、治療法などを詳しく解説していきます。脂漏性皮膚炎を治療・予防することは、AGA(男性型脱毛症)の発症リスクを高めないことにもつながっていくので、ぜひ参考にしてください。

脂漏性皮膚炎は頭皮や鼻周辺などに湿疹ができる病気

脂漏性皮膚炎は頭皮や鼻周辺などに湿疹ができる病気

「脂漏性皮膚炎」とは、脂の分泌の多い部位で起きる湿疹です。
皮脂の分泌が盛んな箇所を「脂漏部位」といい、頭皮や髪の生え際、鼻周辺、わきの下、膝の裏などの部位が当てはまります。

脂漏性皮膚炎を発症すると、皮膚が炎症を起こして赤くなったり痒くなったりします。また、頭皮にできた場合はフケが多くなります。
乳児期にみられる脂漏性皮膚炎は基本的に一過的なものですが、思春期以降は慢性化しやすいので、症状に気づいたら早めにクリニックに相談することをおすすめします。

参考:
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)|ひふ研|第一三共ヘルスケア
『脂漏性皮膚炎』の原因・症状・治療法【症例画像】|田辺三菱製薬|ヒフノコトサイト

脂漏性皮膚炎になる原因とは?

脂漏性皮膚炎になる原因とは?

次に、脂漏性皮膚炎を発症する原因についてお伝えします。

脂漏性皮膚炎は「マラセチア」が原因だと考えられている

脂漏性皮膚炎は、「マラセチア」というカビ(真菌)の一種が原因だと考えられています。
皮膚に存在するマラセチアは皮脂を栄養にしており、皮脂に含まれる成分「トリグリセリド」を「遊離脂肪酸」へと分解します。この遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与えるほか、増殖したマラセチア自体が皮膚に炎症を起こすことで、脂漏性皮膚炎を発症するとされています。

マラセチアは常在菌なので、誰の皮膚にも存在します。そのため、脂漏性皮膚炎が他の部位にうつったり他の人に感染したりする心配はないのでご安心ください。

マラセチアが増殖する要因

マラセチアは皮脂量が多くなることで増殖しますが、異常に増える原因ははっきりと判明していません。要因の一つは、環境によって皮脂成分・分泌量などが変化することだとされています。
そのほか、以下の要因によってマラセチアが増殖するおそれがあります。当てはまるものがないか、自身の生活を振り返ってみましょう。

  • ビタミンB2やB6などの代謝異常
  • 入浴や洗顔の不足
  • ストレス
  • 寝不足
  • ホルモンの乱れ

脂漏性皮膚炎の主な症状

脂漏性皮膚炎の主な症状

脂漏性皮膚炎の主な症状は、以下の3点です。

  • 頭皮や鼻周辺などの皮膚が赤くなる
  • 患部に痒みを感じる
  • 頭皮に発生するとフケが生じる

脂漏性皮膚炎の症状①頭皮や鼻周辺などの皮膚が赤くなる

脂漏性皮膚炎を発症すると、頭皮や鼻周辺などの患部が炎症によって赤くなります。発症の疑いがある場合は、鏡を使って確認してみてください。
ただ、皮膚が赤くなる原因はさまざまで、「アレルゲン物質に触れた」「紫外線を浴びて日焼けした」などのケースも考えられます。このような心当たりがなく、他の症状が当てはまる場合は脂漏性皮膚炎を発症している可能性が高いと言えます。

脂漏性皮膚炎の症状②患部に痒みを感じる

脂漏性皮膚炎は、患部に痒みを感じる場合があります。皮膚が炎症を起こしていたり、原因菌や分解物によって刺激を受けたりすることが原因だと考えられます。
痒いからといって頭皮や鼻周辺を掻きむしると、さらに皮膚の状態が悪くなるおそれがあります。結果痒みがひどくなり、また掻いて皮膚の炎症が悪化するという悪循環に陥ってしまうケースもあります。
外用薬を塗ったり患部を冷やしたりして、痒みを抑えて掻かないようにすることが大切です。

脂漏性皮膚炎の症状③頭皮に発生するとフケが生じる

脂漏性皮膚炎が頭皮に発生した場合は、フケを生じるようになります。やや黄色味を帯びた湿り気があるフケ(脂性フケ)、もしくは乾燥したうろこ状のフケ(乾性フケ)が出ます。

そもそもフケとは、頭皮から出る老廃物です。新しい皮膚に生まれ変わる「ターンオーバー(新陳代謝)」という機能によって、頭皮の古い角質がフケとして剥がれ落ちます。正常な状態だとフケは小さいため目立たず、洗髪時に落としているので、ほとんど気になりません。
しかし、マラセチア菌が多すぎると頭皮のターンオーバーが乱れ、角質が大量に剥がれるようになってしまいます。そのため、脂漏性皮膚炎を発症した方はフケが目立つようになってしまいます。

参考:
ふけ・頭のかゆみの症状・原因|くすりと健康の情報局

脂漏性皮膚炎は自力で治せる?

脂漏性皮膚炎は自力で治せる?

乳児期の脂漏性皮膚炎の場合、正しいスキンケアを行っていれば自然治癒することが多いです。
一方、成人で発症すると慢性化しやすく、自然治癒が困難なケースもあります。特に、症状がひどい状態では自然治癒がほとんど望めません。
「ただの脂性肌だ」
「フケさえ気にしておけば大丈夫」
と思わず、症状に気づいたら医療機関に相談しましょう。適切な治療を受けることで、自力で対処するよりも効率よく改善できます。

頭皮にできると脂漏性脱毛症になる可能性もある

脂漏性皮膚炎が頭皮にできた場合、適切な対処をしないと脂漏性脱毛症になる可能性があります。
脂漏性脱毛症とは、頭皮にできた脂漏性皮膚炎による脱毛症です。頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで頭皮環境が悪化し、抜け毛を引き起こします。
「痒みやフケくらい問題ないと思っていたら、いつの間にか薄毛が進行していた」というケースに陥らないように、症状が気になった時点ですぐに受診しましょう。

以下の記事では、抜け毛が増えた場合に考えられる原因や病気について解説しています。併せてお読みください。

男性の抜け毛が急に増えた原因や対策は?ウィルAGAクリニックでの治療法も解説!

脂漏性皮膚炎はどうやって治すの?主な治療法

脂漏性皮膚炎はどうやって治すの?主な治療法

脂漏性皮膚炎になった場合の治療は、症状に合わせて抗真菌外用薬もしくはステロイド外用薬を処方するのが一般的です。併用するケースもあるので、まずは皮膚科を受診して頭皮の状態や症状をチェックしましょう。

脂漏性皮膚炎の治療法①炎症を抑えるステロイド外用剤

「ステロイド外用剤」は、炎症を抑える作用のあるステロイドを配合した塗り薬です。脂漏性皮膚炎による赤みや痒みを鎮める効果が期待できます。
作用が強いものから穏やかなものまでさまざまな種類があり、症状に合ったタイプを選択します。

脂漏性皮膚炎の治療法②カビの繁殖を抑える抗真菌外用剤

「抗真菌外用剤」は、カビ(真菌)の繁殖を抑える作用のある塗り薬です。脂漏性皮膚炎の原因だとされるマラセチア菌の働きを抑えることで、症状の緩和を目指します。

「マラセチア」に対する治療については下記記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

頭皮のマラセチア毛包炎は薬で改善できる? 症状や原因についても解説

脂漏性皮膚炎にならないために日常的に行える予防法

脂漏性皮膚炎にならないために日常的に行える予防法

成人の脂漏性皮膚炎は慢性化しやすいという特徴があります。発症したら適切な治療を受けることが大切ですが、再発しないよう予防に取り組むことも重要です。
脂漏性皮膚炎を予防するために日常的に行えるのは、皮膚を清潔に保つことと、生活習慣を見直すことです。

脂漏性皮膚炎の予防法①皮膚を清潔に保つ

脂漏性皮膚炎を予防するには、まず皮膚を清潔な状態に保つことが重要です。「頭が痒いけど面倒だからシャンプーしない!」というような生活を続けていたら、皮脂が溜まって悪化したり再発したりするおそれがあります。

皮脂の分泌が盛んな「脂漏部位」に当たる頭皮や髪の生え際、鼻周辺などの部位を中心に、しっかりとケアしてください。この際、皮膚に余計なダメージを与えないよう、爪を立てず泡で洗うことが大切です。
また、シャンプーやリンスなどは油分の少ないものが良いと言われています。医薬部外品として抗真菌薬を含んだ商品も販売されているので、頭皮環境にお悩みの方はご検討ください。

以下の記事では、ハゲに効果が期待できるシャンプー方法や注意すべきシャンプー方法について解説しています。気になる方は併せてお読みください。

ハゲ予防のためのシャンプー方法!ハゲが進行する間違った方法とは?

脂漏性皮膚炎の予防法②生活習慣を見直す

生活習慣を見直すことも、脂漏性皮膚炎の予防として有効です。
睡眠不足は症状悪化の原因になると言われているので、十分な睡眠がとれていない方はご注意ください。
「眠る前のスマホやゲームをやめてすぐに寝る」
「就寝前のカフェインやアルコールの摂取は避ける」
などの対策が挙げられます。

また、過度なストレスも脂漏性皮膚炎を悪化させる恐れがあります。仕事や家庭の問題を抱えていて、不調を感じてはいないでしょうか?
過度なストレスは毛髪の成長を妨げたり、睡眠不足になったりする可能性があるので、溜め込まずに発散することが大切です。また転職や引っ越しのように、ストレスを強く与える環境そのものを変えるという方法も一つの手です。

頭皮の赤みやフケが気になる場合は医療機関に相談しよう

脂漏性皮膚炎の原因や症状、治療法などを解説しました。
脂漏性皮膚炎は頭皮や鼻周辺など脂の分泌量が多い部位に起きる湿疹で、マラセチアというカビの一種が原因だと考えられています。一般的に、ステロイド外用剤や抗真菌外用剤で治療を行います。
頭皮の赤みや痒み、フケといった症状にお悩みの方は脂漏性皮膚炎を発症している可能性があるので、医療機関にご相談ください。

脂漏性皮膚炎以外の頭皮湿疹については、下記記事をご覧ください。
https://will-agaclinic.com/column/eczema-on-the-scalp/

脂漏性皮膚炎で頭皮環境が悪化するとAGAの発症リスクが高まる

頭皮にできた脂漏性皮膚炎を放置すると、AGA(男性型脱毛症)を発症するリスクが高まります。頭皮環境が悪化することで、髪の毛の成長が阻害されるからです。

AGAとは進行性の脱毛症で、日本人男性の30%が発症すると言われています。前頭部や頭頂部から少しずつ薄毛・抜け毛が進行します。
AGAは男性ホルモンの異常が主な原因なので、脂漏性皮膚炎によって頭皮環境が悪化したからといって、すぐにAGAを発症するわけではありません。ただ、皮脂が過剰に分泌されていたりフケが多かったりなど、頭皮環境が悪化した状態だと髪の成長を阻害してしまいます。
脂漏性皮膚炎を治療しないままでいる、つまり頭皮環境が悪いまま放置していると、AGAを発症するリスクが高まるおそれがあります。脂漏性皮膚炎の症状が当てはまる場合は、医療機関に相談しましょう。

参考:
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|日本皮膚科学会

AGA治療ならウィルAGAクリニックへご相談ください

ウィルAGAクリニックは、薄毛・AGA治療に特化した専門のクリニックです。約10万人の治療実績を持つドクターチームが、一人ひとりの症状やご希望に合わせたオーダーメイド治療をご提案いたします。
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【よくある質問】

脂漏性皮膚炎とはどのような病気ですか?
脂漏性皮膚炎とは、脂の分泌の多い部位で起きる湿疹です。皮膚が炎症をおこして赤くなったり痒くなったりするほか、頭皮にできた場合はフケが多くなります。
脂漏性皮膚炎は頭皮以外にもできますか?
脂漏性皮膚炎は、頭皮以外の部位にもできます。
頭皮のほか、髪の生え際や鼻周辺、わきの下、膝の裏など、皮脂の分泌が盛んな箇所に発症します。

この記事の監修者
田沼 欣樹
医療法人社団紡潤会 指導医

防衛医科大学校卒業/初期研修終了後、大手美容クリニックの勤務を経てAGAの症例を延べ1万例以上経験した後、医療法人社団紡潤会に入社。症例を集計した独自の調査によりデータ化を行った上、論文等の調査報告と照らし合わして、データに基づいた診察を行う。

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防衛医科大学校卒業/初期研修終了後、大手美容クリニックの勤務を経てAGAの症例を延べ1万例以上経験した後、医療法人社団紡潤会に入社。症例を集計した独自の調査によりデータ化を行った上、論文等の調査報告と照らし合わして、データに基づいた診察を行う。

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