フィナステリドとは?効果・副作用・注意点について~他の薬と何が違う?~
「フィナステリドってどんな薬?」
「フィナステリドの効果や副作用を知りたい!」
フィナステリドは、AGA治療薬として有名であり、AGA治療の第一歩として処方するクリニックも多いです。
AGA治療薬として知名度が高いため、フィナステリドに関して
「発毛効果はどのくらいで実感できるのか」
「副作用はあるのか」
など、気になる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、フィナステリドの効果や副作用、注意点などを詳しくお伝えしていきます。フィナステリドについて知りたい方や、薄毛・抜け毛にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
フィナステリドの概要
フィナステリドはAGA治療薬の一種で、男性ホルモンの「DHT(ジヒドロテストステロン)」の生成を抑制することで、薄毛・抜け毛を予防する効果のある成分です。
DHTにはヘアサイクルの成長期を短くする働きがあるため、フィナステリドによってDHTの生成が抑えられると、乱れたヘアサイクルが正常に戻るようになります。
「プロペシア」と「フィナステリド」呼び方の違い
プロペシアは、フィナステリドを主成分としたAGA治療薬です。そのため正確には、プロペシアは薬の名前、フィナステリドは成分の名前を表します。
ただし、プロペシアのジェネリック医薬品がフィナステリドと呼ばれていることもあり、一般的には「フィナステリド=薬の名前」として使われているケースが多いです。
プロペシアについては下記記事で解説しています。併せてご覧ください。
フィナステリドの効果は?どれくらいで実感できる?
フィナステリドを服用するとどのような効果が期待できるのか、どのくらい服用することによって効果を実感しやすいのか、気になる方も多いでしょう。
フィナステリドの効果について、臨床試験やほかのAGA治療薬との違いと共に解説します。
フィナステリドの効果・作用
フィナステリドの効果は、DHT(ジヒドロテストステロン)の働きを抑えて乱れたヘアサイクルを正常に戻し、薄毛・抜け毛を予防することです。AGAの進行を食い止める作用から、「守りの薬」とも呼ばれます。
AGAの発症で脱毛が進行するのは、DHTの増加が主な原因です。
男性ホルモンのテストステロンは、「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素の働きによって悪玉化してDHTになります。DHTにはヘアサイクルの成長期を極端に短くする作用があるため、髪が十分に育たずに細く短くなってしまいます。
フィナステリドは、5αリダクターゼを阻害する働きがあるので、服用することでDHTの生成を抑えられます。DHTによって乱れていたヘアサイクルも正常に戻り、髪の毛が成長するようになります。
DHT(ジヒドロテストステロン)については下記記事をご覧ください。
フィナステリドの臨床試験の紹介
次に、フィナステリドの臨床試験の結果についてご紹介します。
まずは、頭頂部に軽度~中等度の脱毛がある成人男性患者を対象とした国内試験の内容です。414人を3グループに分け、フィナステリド1 mg・フィナステリド0.2 mg・プラセボをそれぞれ 1 日 1 回服用することを48週間続けました。
評価項目として行った頭頂部の写真評価と、副作用が起きた確率は以下の通りです。
<写真評価により改善していると判断された割合>
- フィナステリド1 mg:58.3%
- フィナステリド0.2mg:54.2%
- プラセボ:5.9%
<写真評価により脱毛進行していると判断された割合>
- フィナステリド1 mg:1.5%
- フィナステリド0.2mg:4.6%
- プラセボ:22.2%
<副作用の発現率>
- フィナステリド1 mg:5.0%
- フィナステリド0.2mg:1.5%
- プラセボ:2.2%
続いて、頭頂部に軽度~中等度の脱毛がある成人男性患者を対象とした海外試験の結果をご紹介します。こちらの試験では、フィナステリド 1 mgのグループとプラセボのグループに分け、投与を5年間続けました。
国内試験と同様に、頭頂部を写真評価した結果が以下の通りです。
<写真評価により改善していると判断された割合>
- フィナステリド1 mg:48%
- プラセボ:10%
<写真評価により脱毛進行していると判断された割合>
- フィナステリド1 mg:1.5%
- プラセボ:75%
どちらの試験でも、フィナステリドはプラセボに対し、有意に脱毛の進行を遅らせています。フィナステリドは、AGAによる脱毛の進行を抑える効果が十分にあると分かります。
さらに副作用の発現率も低く、安全性の高さを示しています。ご紹介した国内試験では、フィナステリドの服用によって2 例以上発現した副作用は、リビドー減退が276例のうち3例(1.1%)、勃起機能不全が276例のうち2例(0.7%)だけだったようです。
臨床試験の結果からも、フィナステリドはAGAに対して十分な効果がある、安全性の高い成分だと言えるでしょう。
参考:
・男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果
「デュタステリド」との違い
デュタステリドとは、AGA治療薬「ザガーロ」の主成分です。フィナステリドと同様に、5αリダクターゼを阻害する作用があります。
5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅠ型に対してあまり作用せずにⅡ型を阻害します。一方、デュタステリドはⅠ型とⅡ型どちらにも作用するという違いがあります。
また、副作用のリスクはデュタステリドの方が高いです。
国際臨床試験においては、デュタステリドの副作用の発現率はリビドー減少 3.3%、インポテンツ 5.4%、射精障害 3.3%でした。
これに対し、フィナステリドの副作用の発現率はリビドー減少が1~5%未満、インポテンツ・射精障害・精液量減少が1%未満とされています。副作用のリスクはデュタステリドの方が高いと言えます。
デュタステリドとフィナステリドの違いは、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
参考:
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|日本皮膚科学会
・医療用医薬品 : フィナステリド (フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」 他)
「ミノキシジル」との違い
ミノキシジルは、発毛を促進する作用のある成分です。内服薬と外用薬どちらもありますが、より発毛効果が高いのは内服薬です。
フィナステリドとミノキシジルでは、期待できる効果が異なります。
フィナステリドは薄毛・抜け毛を予防する効果から「守りの薬」とも呼ばれます。一方、ミノキシジルは血行を改善したり成長因子を誘導したりすることで、発毛を促進する効果があるため、「攻めの薬」と呼ばれています。
フィナステリドとミノキシジルの違いについては以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
当院のオリジナル発毛薬es(エス)
ウィルAGAクリニックで処方しているオリジナル発毛薬es(エス)は、守りの薬フィナステリドと攻めの薬ミノキシジルをバランスよく配合した発毛薬です。薄毛の進行を予防しながら、血行促進と成長因子の誘導によって発毛を促す効果が期待できます。
さらに、ミネラルやビタミンなどの栄養素も含まれていて、髪が美しく育つようサポートします。
オリジナル発毛薬esについては以下詳細ページをご覧ください。
<オリジナル発毛薬esの詳細はこちら>
日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度が高い薬
「男性型および女性型脱毛症の診療ガイドライン2017年度版」は、日本皮膚科学会が発表しているガイドラインです。科学的根拠に基づいて作成されており、さまざまな治療法の推奨度を示しています。
このガイドラインにおいては、フィナステリドを使用したAGA治療は「実施が強く勧められる薬品に該当する:推奨度A」と記されています。
推奨度についてはC2、C1、B、Aと順番に上がるため、フィナステリドは推奨度が非常に高いことが分かります。
ガイドラインにおけるAGA治療法の推奨度については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。
効果を実感するまでには最低6か月は服用を続ける
フィナステリドを服用し始めても「効果を実感できない」という意見を耳にしたことがある方もいるでしょう。
臨床試験結果からも分かる通り、フィナステリドは服用開始からすぐに効果を得られるものではありません。
フィナステリドの服用を始めてからおよそ3か月で、徐々に効果が実感できるようになり、見た目で分かる程度の効果を得るためにはおよそ6か月服用を続けなければならないのです。
そのため、フィナステリドで治療を行う場合は最低でも6か月は服用を続けてください。それでも効果が見られない際は医師に相談しましょう。
下記記事では、フィナステリドの効果が実感できない原因について詳しく解説しています。合わせてご覧ください
フィナステリドは生活習慣の改善や効率的な栄養素の摂取で発毛効果が上がる
フィナステリドにはAGAの進行を抑える効果があるとお伝えしましたが、生活習慣の改善や効率的な栄養素の摂取などに取り組めば、さらに効果を高められることが期待できます。
例えば、仕事や趣味に時間を費やす日が多く、なかなか眠れていないという方は多いかもしれません。しかし、さまざまな成長や代謝に関わる「成長ホルモン」は睡眠中に多く分泌されます。
睡眠不足の日々が続くと成長ホルモンの十分な分泌が促せないため、髪の毛の成長がうまくサポートされていないおそれがあります。
同様に、食事バランスも重要です。摂取する栄養が偏っていると、髪に必要な栄養も不足しやすくなります。
当院のオリジナル発毛薬es(エス)は、フィナステリドとミノキシジルのほか、ミネラル・ビタミンなどの栄養素もバランス良く配合しています。有効成分で発毛を促しながら、美しい髪の成長に必要な栄養素を補給することが可能です。
フィナステリドに副作用はある?
発現率は低いとされていますが、フィナステリドを服用すると副作用が起こる可能性があります。
フィナステリドに見られる副作用は、以下の5点です。
- 男性機能障害
- まれに肝機能障害
- 乳房圧痛・乳房肥大
- 抑うつ症状などの精神症状
- 発疹などのアレルギー症状
参考:
・医療用医薬品 : フィナステリド (フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」 他)
フィナステリドの副作用①男性機能障害
フィナステリドは男性ホルモンに影響を与えるため、男性機能障害を引き起こすことがあります。
フィナステリドの添付文書によると、副作用の発現率はリビドー減少が1~5%未満、インポテンツ・射精障害・精液量減少が1%未満と記載されています。頻度は不明ですが、男性不妊症・精液の質低下、精子運動性低下なども報告されています。
発現率は低いものの、妊活を予定している方などは医師に相談するようにしましょう。
フィナステリドの副作用②まれに肝機能障害
フィナステリドは肝臓で代謝されるため、若干の負荷がかかることでまれに肝機能障害を起こす可能性があります。
肝臓に影響があると聞くと不安に感じるかもしれませんが、多くの薬はフィナステリドと同じように肝臓で代謝されます。フィナステリドが肝臓に特別負荷をかけるというわけではないので、ご安心ください。
ただし、フィナステリドを服用する前から肝機能障害がある場合は、医師に相談する必要があります。
フィナステリドの副作用③乳房圧痛・乳房肥大
フィナステリドの副作用として、乳房圧痛・乳房肥大も報告されています。
ホルモンバランスが崩れることで乳房が腫れたり、肥大化したりすると考えられています。発現率はまれではありますが、症状が現れたら医師に相談しましょう。
フィナステリドの副作用④抑うつ症状などの精神症状
フィナステリドを服用するとホルモンバランスが変化することから、精神不安によって抑うつ症状などの精神疾患につながる可能性があります。
精神症状が見られた場合には放置してはいけません。うつ病に発展する可能性もゼロではないので、医師にご相談ください。
フィナステリドの副作用⑤発疹などのアレルギー症状
フィナステリドの服用によって、発疹や蕁麻疹などのアレルギー症状を起こすことがあります。
フィナステリドはアレルギー反応を起こしにくいと言われていますが、服用後に肌の痒みなどが現れた場合は服用を中止し、担当医に相談しましょう。
フィナステリドを使用する際の注意点・ポイント
フィナステリドを使用する際には、飲み方や取り扱い方法などを守ることが大切です。
以下の注意点・ポイントを確認しておきましょう。
- 1日1回の服用を継続する
- 女性と未成年は使用禁止
- 錠剤は割らずに飲む
- 肝機能障害のある方はあらかじめ医師に相談する
- ほかの人に薬をあげない
- 服用を中止してからしばらくは献血できない
参考:
・医療用医薬品 : フィナステリド (フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」 他)
・医療用医薬品 : プロペシア (プロペシア錠0.2mg 他)
フィナステリドの注意点①1日1回の服用を継続する
通常、フィナステリドは1日1回1mgを服用します。1日1回0.2mgから服用を開始するケースもあります。
また、フィナステリドは長期間服用することによって効果を発揮するAGA治療薬です。最低でも6ヶ月は服用を続けましょう。
フィナステリドを服用するタイミングはいつでも良いのですが、ある程度時間を決めておくと飲み忘れを予防できます。
なお、6か月間フィナステリドを飲み続けても抜け毛の症状が悪化し続ける場合には、医師に相談することが大切です。
フィナステリドの注意点②女性と未成年は使用禁止
女性の場合、フィナステリドは服用できません。閉経後女性を対象とした12か月間試験では、有効性が認められなかったからです。特に、妊娠中や授乳中の方は胎児の生殖器に影響を及ぼす可能性があるため、絶対に服用しないように注意が必要です。
またフィナステリドは、20歳未満での安全性・有効性が確立されていません。未成年の方もフィナステリドの服用が禁じられているので、別の治療法をご検討ください。
女性の場合はフィナステリドに触れないように気をつける
女性はフィナステリドが服用できないとお伝えしましたが、錠剤に触れること自体も危険だとされています。フィナステリドが皮膚から吸収される可能性があるからです。
家族やパートナーがフィナステリドを服用している場合は、薬に触ることがないよう気をつけましょう。
詳しくは下記記事をご覧ください。
フィナステリドの注意点③錠剤は割らずに飲む
フィナステリドは、分割・粉砕してはいけません。錠剤は割らずに、1錠そのまま飲むことが大切です。
また、割れたり砕いたりしたフィナステリドに触れると、成分が体の中に吸収されるおそれがあるため十分に注意しましょう。
フィナステリドの注意点④肝機能障害のある方はあらかじめ医師に相談する
フィナステリドは肝臓で代謝されるため、飲むことによって肝機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
元々肝機能障害がある場合、フィナステリドを処方してもらうのであれば医師に相談しなければなりません。状態によっては、ほかの治療法を行った方が良いでしょう。
フィナステリドの注意点⑤ほかの人に薬をあげない
医師から処方されたフィナステリドは、他人にあげることは厳禁です。フィナステリドを飲む際には、医師の診断や処方、指導を受ける必要があります。
「友達がAGAを気にしているから」
「フィナステリドが余っているから」
といった軽い気持ちで薬をあげていると、思わぬ健康被害に遭う可能性があります。
また、処方薬は他人に譲渡することが法律で禁止されているため、罰則を課せられるおそれがあります。抜け毛や薄毛に悩んでいる方がいてもフィナステリドを渡すことはせず、医師に相談することをおすすめしましょう。
フィナステリドの注意点⑥服用を中止してからしばらくは献血できない
フィナステリドを使った場合、服用を中止してから1か月間は献血できません。献血した血液が女性や未成年の体内に入ってしまい、悪影響を及ぼす可能性があるからです。
普段から献血を行っている方はご注意ください。
参考:
・服薬と献血について|福岡県赤十字血液センター|日本赤十字社
フィナステリドは継続することで効果が期待できる
フィナステリドの効果や副作用、注意点についてお伝えしました。
フィナステリドは、薄毛の原因となるDHTの生成を抑えることで、AGAの進行を抑える成分です。継続することで効果が期待できるので、まずは半年間服用を続けましょう。
フィナステリドでAGA治療を行う場合はご紹介した注意点やポイントを参考に、正しいルールを守って服用してください。
【よくある質問】
男性に対しては、発現率はとても低いですが、以下の5点が挙げられます。
- 男性機能障害
- まれに肝機能障害
- 乳房圧痛・乳房肥大
- 抑うつ症状などの精神症状
- 発疹などのアレルギー症状
なお、女性や子供には重篤な副作用があるため、使用が禁止されています。