フィナステリドが効かない場合はどうする?原因や対処法を医師が解説

公開日 / 2021.04.30 更新日 / 2021.04.30
この記事の監修者
宮内 俊
ウィルAGAクリニック 総括院長

AGA患者70,000件以上※の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国14院を展開。現在、ウィルAGAクリニックの総括院長、医療法人社団紡潤会の理事長として日進月歩研究を進めながら、日々の診療にあたる。千葉大学医学部卒。

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AGA患者70,000件以上※の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国14院を展開。現在、ウィルAGAクリニックの総括院長、医療法人社団紡潤会の理事長として日進月歩研究を進めながら、日々の診療にあたる。千葉大学医学部卒。

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AGA治療薬の効果を実感できなかったことはありませんか?

近年では男性型脱毛症(AGA)は世間に広く認知されるようになり、治療へのハードルも下がってきています。日本皮膚科学会で「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」が設定され、治療が体系化されたこともAGA治療が広まった要因でしょう。

AGA治療では内服療法が用いられており、ガイドラインにおいても推奨される治療法です。中でもフィナステリド5αリダクターゼ阻害剤の一つでAGAに悩む多くの人に処方されている内服薬です。

しかし、なかにはフィナステリドで効果を感じない人も存在します。今回は、フィナステリドに効果を感じることができなかった場合の対処法などを解説していきます。

目次

1.AGA治療薬のフィナステリドとは

まずはAGA治療で用いられるフィナステリドについて、復習しておきます。

(1)フィナステリドのはたらきとは?

フィナステリドのもつはたらきには、以下のようなものが挙げられます。

①AGAの原因となる5αリダクターゼⅡ型を阻害する

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、骨や筋肉の発達を促進して、髭や胸毛などの毛を濃くする働きがあります。しかし、テストステロンは前頭部や頭頂部に存在する酵素(5αリダクターゼⅡ型)により、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることがわかっています。

ジヒドロテストステロン(DHT)は髪の毛が生えて自然に抜け落ちるまでの期間(ヘアサイクル(毛周期))を短くする原因物質と考えられています。ヘアサイクルが短くなることで髪の毛が太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、柔らかく短い髪の毛が増えることで、頭皮が目立つようになります。これが薄毛の原因です。

フィナステリドは、5αリダクターゼⅡ型を阻害することで、原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)に変換しないように留め、AGAの進行を抑えるのです。

②5αリダクターゼⅠ型には効果がない?

5αリダクターゼと呼ばれる酵素にはⅠ型とⅡ型が存在しています。Ⅱ型は前頭部や頭頂部の毛包部に多く存在し、毛髪の成長に強い影響を与えることが知られています。いっぽうのⅠ型は、皮脂腺に多く存在しています。

フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型に強い選択性があり、Ⅰ型とくらべ約120〜600倍とされています。5αリダクターゼⅠ型に効果は少ないと考えてもいいでしょう。そこで注目を集めているのが、Ⅰ型とⅡ型のいずれにも効果があるデュタステリドです。

参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/127/6/127_6_495/_pdf

(2)フィナステリド・デュタステリドが含まれているAGA治療薬は?

内服に使われるAGA治療薬にはいくつか種類がありますが、ホルモンに影響してAGAの進行を食い止めるタイプの治療薬は、主にフィナステリドとデュタステリドの2種類です。ここでは、AGAの進行を抑える効果を持つ、フィナステリドやデュタステリドが含まれたAGA治療薬を紹介します。

①プロペシア

MSD株式会社が2005年から販売開始を始めたAGA治療薬です。フィナステリドが薬効成分で3年間の内服継続によって軽度のAGAに対して78%の改善効果が示されています。

内服を中止すると効果が消失するため継続した治療が重要です。

参考文献:日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

②ザガーロ

元々は前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、2016年にはAGA治療薬として販売が開始されました。薬効成分はフィナステリドではなくデュタステリドが含まれています。デュタステリドは5αリダクターゼⅡ型だけでなく、5αリダクターゼⅠ型にも作用してジヒドロテストステロン(DHT)の生成を阻害します。

フィナステリドで効果を感じられなかった方には、デュタステリドを試してみることをおすすめします。

2.フィナステリドが効かない原因とは

フィナステリドはAGA治療薬としては高い効果が期待できる医薬品ですが、効果を実感できない人もいらっしゃいます。フィナステリドを使用しても効かない原因として考えられるものを解説します。

(1)正しい服用方法を守っていない

まず考えられるのは、正しい服用方法を守っていないケースです。ここでは、フィナステリドの正しい服用方法を紹介します。

①プロペシアの正しい服用方法

プロペシアは1日1回0.2mgを服用します。症状に応じて1日1mgまで増量できます。

参考文献:プロペシア錠添付文書

②ザガーロの正しい服用方法

ザガーロは1日1回0.1mgを服用します。症状に応じて1日0.5mgまで増量できます。

参考文献:ザガーロカプセル│グラクソ・スミスクライン株式会社

③効果を感じるためには服用方法が大切

内服のAGA治療薬を正しい服用方法で服用しないと効果が発現しない可能性が高くなります。

例えば、2日に1回しか服用しなかった場合は、治療効果が発現する血中濃度を維持できないことがあります。また、指示された量より多く服用すると副作用がでてしまい、AGA治療が続けられなくなります。そのため、AGA治療薬は正しい服用方法を守ってください。

(2)正規品を服用していない

さらに考えられる要因としては、「正規品」を使用していないケースです。詳しく解説します。

①医療機関で処方された医薬品を服用しよう

AGA治療薬は必ず医療機関を受診して医師の処方によって入手してください。なぜなら、個人輸入で海外からAGA治療薬を入手した場合には正規品ではなく偽物である可能性があるからです。

偽物は効果が出ないだけでなく、重大な健康被害が起きる可能性もあるので、個人輸入は避けたほうがいいでしょう。

(3)服用を始めてから日が浅い

フィナステリドは服用開始してから効果が発現するまでに時間がかかります。個人差はありますが、多くの場合は効果を実感するまでに6ヶ月程度の期間がかかります。そのため、服用を始めてから6ヶ月間は「効果が出ない!」と思っても、様子を見たほうがいいでしょう。

(4)薄毛の原因がAGAではない

さらに考えられる原因として、「薄毛の原因がAGAではない」というケースが考えられます。詳しく見ていきましょう。

①フィナステリドはAGAの進行を抑える薬

フィナステリド は男性型脱毛症(AGA)の進行を抑える効果がありますが、その他の脱毛症の場合には思うような効果を実感できないことがあります。

例えば、頭皮環境の悪化によって薄毛になっている場合は、5αリダクターゼⅡ型のはたらきを阻害するフィナステリドを服用しても意味がありません。

②AGA以外の薄毛の原因とは

AGA以外の脱毛症で有名なものに円形脱毛症があります。

円形脱毛症は、コインのように丸く脱毛する「脱毛班」が生じる脱毛症です。1ヶ所に限らず複数の箇所に発生することもあり、ひどくなると髪の毛全体が抜けることもあります。

また、膠原病や消化器系の疾患や過度なダイエットなどでも脱毛症が起きる可能性があります。これらの原因で薄毛になっている場合は、フィナステリドを服用しても効果は感じられないでしょう。

③薄毛の原因を見極めるためには?

男性型脱毛症は頭頂部、前髪の生え際から薄毛になることが多いです。そのため、側頭部や後頭部の脱毛はAGAではない可能性が高いです。

しかし、薄毛の原因を自分の目だけで見極めるのは難しく、専門的な知識が必要になります。薄毛が気になる場合は、自分で判断せず医療機関へ相談してみましょう。

3.フィナステリドの効果を高める方法とは

AGA治療薬は薄毛の進行を抑えられますが、場合によっては完全に脱毛を止められないこともあります。そのような場合にはフィナステリドの服用以外にもできることがあります。

(1)プロペシアからザガーロへ変更する

考えられる手段のひとつは「治療薬の変更」です。具体的には、先述した「ザガーロ」へ薬を変更してみることが挙げられます。

①プロペシアよりも新しいAGA治療薬「ザガーロ」

プロペシアよりも新しいAGA治療薬のザガーロは、治験でプロペシアに比べて高い有効性を示したとの報告があります。プロペシアで効果を実感できない場合にはザガーロへの変更を検討してもいいでしょう。

②プロペシアとザガーロの違いとは?

プロペシアは5αリダクターゼⅡ型を選択的に阻害してAGAに対して効果を発揮しますが、ザガーロは5αリダクターゼⅡ型だけでなく、5αリダクターゼⅠ型にも作用します。

(2)生活習慣を見直して自然な発毛をうながす

フィナステリドだけに頼らず、薄毛の原因になりやすい「生活習慣」を正して薄毛の進行を抑えることも有効です。ここでは、生活習慣の改善について詳しく解説します。

①フィナステリドはAGAの進行を「抑える」薬

フィナステリドはAGAの進行を抑えることは可能ですが、発毛に必要な頭皮環境を整えることはできません。頭皮環境には、日々の生活習慣が大きく影響を与えます。

そのため、治療薬を飲んでいれば自然と髪の毛が生えてくると思い込んで、不規則な生活習慣を送っていると、本来得られるはずの効果が得られなくなる可能性があります。

②バランスの良い食事と運動、睡眠を心がける

髪の毛を健康な状態に保つためには、毛髪の材料となる栄養素はもちろん、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めない生活習慣が大切です。AGAの薬物療法と並行して生活習慣も改善してみください。

参考文献:日本臨床医学発毛協会

(3)ミノキシジルと併用して治療効果を高める

フィナステリドは守りの薬、いわば「抜け毛を進行させない薬」であるのに対し、ミノキシジルという「発毛を促す薬」も存在します。ミノキシジルは外用薬として用いることが多く、頭皮へ塗布して使用します。

ミノキシジルを頭皮に塗ることで、毛根に存在する毛母細胞が活性化されるため、発毛効果が期待できます。ミノキシジルは、フィナステリドとは異なるアプローチをする治療薬であり、併用できるのがポイントです。

AGA治療では、ミノキシジルや育毛メソセラピーのような発毛効果のある治療方法と、フィナステリドやデュタステリドのように抜け毛を抑える効果を持った治療薬を併用して、治療効果を高めていくことを目指します。

参考文献:髪の健康を考える

4.AGA治療薬に関するご相談はウィル AGA クリニック

もし薄毛・脱毛症に関するお悩みがある場合は、お気軽にウィル AGAクリニックにお問い合わせください。

薄毛に悩む方が一人でも多く悩みから解放されるよう、

全力でサポートしていくことをお約束します。

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