再生医療で髪の毛を生やす!?毛髪再生医療の効果や治療例をご紹介

更新日 / 2025.04.08

「再生医療って毛髪にも関係あるの?」
「毛髪再生医療の安全性について知りたい!」

再生医療とは、壊れてしまった臓器や器官、組織などを、人工的に元に戻したり、新たにつくり出したりする医療行為です。その再生医療が、AGA(男性型脱毛症)治療の領域にも少しずつ進出してきました。
この記事では再生医療をテーマに、毛髪再生医療のメリット・デメリットや安全性、実際の技術などをご紹介します。標準治療についてもご紹介するので、再生医療やAGA治療に興味がある方はぜひ参考にしてください。

そもそも再生医療とは?

そもそも再生医療とは?

「髪の毛の再生医療」を解説する前に、まずは「再生医療とはどのような医療なのか」みていきます。

再生医療とは壊れた臓器や組織を再生する医療

再生医療とは、壊れた臓器や組織を再生する医療です。従来の治療法では対処できなかったケガや病気に対して新しい医療をもたらす可能性があり、「夢の医療」とも呼ばれています。
新しい分野なのでまだまだ発展途上の段階ではありますが、医療面や美容面での活躍が期待されています。

皮膚や髪の毛など、幹細胞がある組織は基本的に再生します。小さな切り傷が数日で治ったり、毎日抜けているはずの髪の毛がなくならなかったりすることをイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。
しかし、臓器や組織が損傷を受けたり病気になったりすると、再生しなくなったり正常に機能しなくなったりする場合があります。そのような場合でも、現在は、代わりとなる医療機器を使用し続けるか、安定した供給が保障されていない上に拒絶反応のリスクがある臓器移植を行うことしかできません。

一方、再生医療は幹細胞や培養技術を使って人工的に壊れた臓器や組織を再生します。
従来の方法では対処が難しい患者さんにとって、再生医療は希望の光となります。大きな可能性のある、夢のある医療分野だと言えます。

参考:
再生医療について | 再生医療ポータル
「再生医療」とは/Reading keywords|Future CLIP/富士フイルム

「多能性幹細胞」はどの臓器にもなり得る細胞

人は、わずか1個の受精卵から誕生します。1つの受精卵が細胞分裂を繰り返し、人の形になります。つまり、受精卵は「すべての臓器や器官や組織になり得る」と言えます。
そうであるならば、「受精卵のような細胞」をつくり、コントロールすれば、壊れた臓器を再生できるはずです。

ただ、多能性幹細胞はどのような細胞にも分化が可能ですが、特定の組織の再生には既にその組織若しくはその組織に近い状態にある多分化能幹細胞や前駆細胞の方が適している場合があります。
幹細胞は、さまざまな細胞を作り出す「分化能」と、自分自身と同じ能力を持った細胞に分裂する「自己複製能」という能力を持った細胞です。
幹細胞のおかげで、細胞が古くなったり傷ついたりしても新しい細胞が補充されるため、私たちの身体は維持できるのです。

参考:
幹細胞とは? | 再生医療ポータル

「毛髪を再生する医療」とは?

「毛髪を再生する医療」とは?

再生医療の基礎知識を確認できたところで「毛髪の再生医療」について解説します。
毛髪をどのように再生するのでしょうか。

毛髪も細胞だから再生できる

髪の毛は、毛母細胞と呼ばれる細胞が分裂・増殖して、押し出されるように伸びることで形成されています。毛母細胞の元となっているのが「毛包幹細胞」です。このような細胞の活動のおかげで、私たちの髪の毛は新しく生えたり伸びたりしています。
ところが、頭皮に大きなケガや火傷などが発生した場合、毛母細胞や毛包幹細胞自体が破壊されて髪の毛が生えてこなくなるケースがあります。
そこで毛髪再生医療では、患者自身の髪の細胞を利用します。患者から髪の元となる細胞を採取して増殖させ、脱毛部に投与することで毛髪を再生させます。

以下の記事では、毛根の死滅・休眠について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

毛根が死滅したらどうなる?休眠した毛根の活動を復活させる方法も解説

毛髪再生医療のメリット

毛髪再生医療のメリットは、従来の治療法では難しかったケースでも改善が見込めることです。組織そのものを再生することで、髪の毛が生えてこなかった部位から新しい髪を生やす効果が期待できます。
また、副作用や拒絶反応などの可能性が低いという点もメリットです。国内では基本的に患者自身の細胞を使うため、身体への負担やリスクを抑えて治療を進めることができます。

毛髪再生医療のデメリット

毛髪再生医療のデメリットは、分野として発展途上であることです。
標準治療に比べると、効果や安全性に関するデータは少ないです。治療を受けられるクリニックは限られているうえ、効果には個人差があります。
また、AGA治療は自由診療となりますが、毛髪再生医療は特に治療費が高くなりやすい点もデメリットです。細胞の培養には高いコストがかかったり、専門的な技術と設備が必要だったりするためです。

毛髪再生医療の安全性について

毛髪再生医療の安全性について

毛髪再生医療について多くの方が気になるのは、安全性でしょう。
再生医療は、拒絶反応のリスクが低かったり「再生医療等安全性確保法」という法律による規制があったりするため、安全性は高いと言えます。

患者自身の細胞を使うため拒絶反応のリスクが極めて低い

臓器移植の場合、免疫機能によって他人の細胞が異物だと判断され、移植された臓器が正常に機能しなかったり壊死したりすることがあります。これを「拒絶反応」と言います。
例えば心臓移植では、ドナーから提供された心臓は自分の体にとって異物となるため、拒絶反応を起こす可能性があります。免疫反応によって重症の心不全になるおそれがあるので、移植手術後に免疫抑制剤を服用したり、拒絶反応が起きていないか診断したりする必要があります。
植毛では、合成繊維などで作られた毛を頭皮に植え込む「人工毛植毛」で拒絶反応を起こす可能性があります。

一方、毛髪再生医療では患者から組織を採取して細胞を培養するため、拒絶反応のリスクが極めて低いです。自分自身の細胞を利用することで、異物だと認識されにくいからです。
ただ、患者自身の細胞を使うことは安全性が高い反面、細胞を培養する時間とコストが掛かるというデメリットがあります。この為、再生医療としては、自分自身の細胞を使わないでも安全性の高い治療方法の確立を目指しています。

参考:
拒絶反応 一般社団法人日本血液製剤協会

「再生医療等安全性確保法」による規制がある

「再生医療等安全性確保法」とは、再生医療が素早く安全に提供されることを目的とした法律です。該当する再生医療を医療機関が行う場合、再生医療等安全性確保法を遵守しなければいけません。
ただし、国への届け出をせずに再生医療を提供する悪質なケースもあります。毛髪再生医療を検討する場合、本当に法律を守って届け出を行った治療法なのか確認することをおすすめします。

参考:
医の倫理の基礎知識 2018年版【人を対象とする研究】H-6.再生医療の発展と法的規制―再生医療等安全性確保法について|医の倫理の基礎知識|医師のみなさまへ|日本医師会

大学病院と資生堂が共同開発した「S-DSC毛髪再生医療」を紹介

大学病院と資生堂が共同開発した「S-DSC毛髪再生医療」を紹介

毛髪再生医療の例として、大学病院と資生堂の共同開発による「S-DSC毛髪再生医療」についてご紹介します。

参考:
よくわかるS-DSC毛髪再生医療|毛髪再生治療と名医をご紹介
女性のための薄毛治療 S-DSC®毛髪再生医療 | 秋葉原スキンクリニック

「S-DSC毛髪再生医療」とは?

「S-DSC毛髪再生医療」とは、DSC細胞を利用した再生医療です。DSC細胞は毛乳頭細胞のすぐ下に存在しており、毛髪を太く成長させるために欠かせない細胞です。
S-DSC毛髪再生医療では、患者の頭皮組織から培養したDSC細胞を薄毛が気になる部位に注入し、毛髪の成長をサポートします。

S-DSC毛髪再生医療で期待できる効果

S-DSC毛髪再生医療は、薄毛の症状と頭皮環境の改善が期待できます。
DSC細胞を注入することで毛乳頭細胞の活動を活発化させられるため、髪が太く長く成長しやすくなります。また、DSC細胞は頭皮の炎症を抑える作用もあるとされており、健康的な髪の毛が育つようサポートする効果が期待できます。

S-DSC毛髪再生医療の流れ

S-DSC毛髪再生医療の流れは、以下の通りです。

  • 患者さんの皮膚組織を採取する
  • S-DSCを単離して培養する
  • S-DSCを頭皮に直接投与する

①患者さんの皮膚組織を採取する

まずはDSC細胞を増やすために、患者の脱毛していない部分の皮膚組織を採取します。多少痛みは伴いますが、局所麻酔などの処置を行って軽減するようです。

②S-DSCを単離して培養する

採取して得られた皮膚組織から、DSC細胞のみを取り出して培養します。
所要期間は6週間程度です。

③S-DSCを頭皮に直接投与する

DSC細胞の培養が完了したら、薄毛が気になる頭皮に注入します。
注入面積や回数、頻度などは医師と相談して決定します。

S-DSC毛髪再生医療は女性より男性の方が効果を感じにくいという面も

「S-DSC毛髪再生医療」は再生医療として認められており、薄毛の悩みを解決する新しいアプローチ方法と言えます。
一方臨床結果によると、女性に比べ男性の方が効果を感じにくい、重度の場合は改善しにくい、といった面もみられるようです。40代以上の女性の初期段階という限られたケースであれば、現時点でもかなり有効だと言えるでしょう。

とはいえ、毛髪再生医療はまだまだ研究段階の分野です。
薄毛にお悩みの患者様にとって新たな選択肢となるよう、今後の研究開発が進んでさらに優れた治療法や新たな発見が生まれることを期待しております。

参考:
よくわかるS-DSC毛髪再生医療|毛髪再生治療と名医をご紹介
女性のための薄毛治療 S-DSC®毛髪再生医療 | 秋葉原スキンクリニック

毛髪再生医療で使う幹細胞培養上清液とは?

毛髪再生医療で使う幹細胞培養上清液とは?

毛髪再生医療について調べると、「幹細胞培養上清液」という言葉を見かけることがあるかもしれません。
幹細胞培養上清液とは、名前の通り幹細胞を培養増殖した液体の上澄みです。幹細胞自体は含まれておらず、幹細胞培養上清液を活用した医療は「再生医療」には当たらないのでご注意ください。

一方で、幹細胞培養上清液には成長因子やエクソソームなどの有効な物質が含まれており、薄毛・AGAに対する効果も期待できます。
例えば、成長因子にはさまざまな種類があり、毛包の成長に関わる VEGFやIGF、HGFなどがあります。また、エクソソームは頭皮環境を整える効果が期待できます。
成長因子やエクソソームを含む幹細胞培養上清液を頭皮に届けることで、発毛・育毛効果を高めやすいでしょう。

幹細胞培養上清液や成長因子、エクソソームについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

メソセラピー治療の幹細胞培養上清液・成長因子・エクソソームについて解説

参考:
幹細胞培養上清液について | 一般社団法人 日本再生医療臨床学会

確実に薄毛・AGA治療をしたい方は標準治療がおすすめ

確実に薄毛・AGA治療をしたい方は標準治療がおすすめ

毛髪再生医療についてお伝えしましたが、課題も多く実用化の段階まで進んでいないのが現状です。確実に薄毛・AGA治療をしたい方は、標準治療がおすすめです。
標準治療は、専門家の間で一般的に受け入れられていて、効果と安全性も広く認められているのがメリットです。十分な臨床試験や研究がされているため、安心感があります。

AGAの標準治療として代表的な治療方法は、以下の4点です。

  • 発毛メソセラピー(有効成分の注入治療)
  • 5αリダクターゼ阻害薬による服薬治療
  • ミノキシジルの服薬治療
  • ミノキシジルの外用療法

AGAの標準治療①発毛メソセラピー(有効成分の注入治療)

発毛メソセラピーとは、有効成分を頭皮に直接届ける治療法です。
クリニックによって成分は異なりますが、良く活用されているのは成長因子です。髪の毛の成長に関わる成長因子を患部に届け、発毛をサポートします。

当院では、先ほどもご紹介した幹細胞培養上清液から抽出した数百種類もの高濃度成長因子やエクソソームを含んだオリジナルカクテルを採用しています。
HP領域に存在する「毛包幹細胞」を活性化させたり、毛母細胞の分裂を促進したりして、発毛・育毛効果を倍増させることが可能です。

<ウィルAGAクリニックの発毛メソセラピーについてはこちら>

AGAの標準治療②5αリダクターゼ阻害薬による服薬治療

AGAの主な原因は、男性ホルモンの異常です。男性ホルモンのテストステロンは5αリダクターゼという酵素の働きによって、DHT(ジヒドロテストステロン)になります。
DHTにはヘアサイクルを極端に短くする作用があるため、薄毛・抜け毛の症状が現れるようになるのです。

そこで、5αリダクターゼ阻害薬を服用すればDHTの生成を抑えられるため、AGAの進行も抑制できます。5αリダクターゼ阻害薬は、プロペシア(フィナステリド)とザガーロ(デュタステリド)の2種類があります。
プロペシアは「フィナステリド」を主成分としたAGA治療薬で、ザガーロは「デュタステリド」を主成分としたAGA治療薬です。

フィナステリドとデュタステリドはどちらも5αリダクターゼの働きを抑える作用がありますが、効果を発揮する範囲の大きさが異なります。
5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型の2種類があります。頭皮の範囲ではⅠ型が側頭部や後頭部、Ⅱ型は前頭部や頭頂部に多いです。
フィナステリドは5αリダクターゼのⅠ型に対してあまり作用せずⅡ型のみ阻害しますが、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型どちらにも作用します。ただし、デュタステリドの方が副作用のリスクが高いという面もあり、症状に合わせて適した薬を選ぶことが大切です。
ただし、フィナステリドとデュタステリドはどちらも女性禁忌の薬のため、ご注意ください。

フィナステリド・デュタステリドの効果や副作用については、以下の記事で詳しくお伝えしています。併せて参考にしてください。

フィナステリドとは?効果・副作用・注意点について~他の薬と何が違う?~

デュタステリド(ザガーロ)とは?効果や副作用を分かりやすく解説!

AGAの標準治療③ミノキシジルの服薬治療

ミノキシジルは、発毛促進作用のある成分です。血管を拡張して髪に栄養を届けやすくしたり、成長因子を誘導したりすることで、発毛をサポートします。守りの薬であるフィナステリドに対して、ミノキシジルは「攻めの薬」と呼ばれています。
ミノキシジル内服薬は、体の中に有効成分を取り込むため、高い発毛効果を発揮します。その効果の高さや安全性から、当院でも主力商品として取り扱っています。

以下の記事では、ミノキシジルタブレットの効果や副作用についてお伝えしています。併せて参考にしてください。

ミノキシジルタブレットとは?ミノタブ使用後の初期脱毛は薬が効いている証拠

AGAの標準治療④ミノキシジルの外用療法

ミノキシジルの外用療法では、症状の気になる患部にミノキシジル外用薬を塗ることで有効成分を浸透させ、発毛を促します。
ミノキシジル内服薬に比べると効果は穏やかですが、肝機能などの問題で内服薬を使えない方でも使用できます。

ミノキシジル外用薬の効果や使い方については、以下の記事で解説しています。気になる方はぜひ参考にしてください。

ミノキシジル塗り薬(外用薬)とは?効果や使い方などを詳しく解説

再生医療は発展途上の技術!毛髪や頭皮のトラブルでお悩みならウィルAGAクリニックへ

毛髪再生医療のメリット・デメリットや安全性についてお伝えしました。
壊れてしまった臓器や器官や組織を再生できる再生医療は、「夢の医療」とも呼ばれています。とはいえ新しい分野ということもあり、毛髪再生医療を含め発展途上の技術だと言えます。
確実に薄毛・AGA治療をしたい場合、効果と安全性が認められている標準治療の方が、現段階ではまだまだおすすめです。

当院では、一人ひとりの症状に応じたオーダーメイドAGA・薄毛治療を行っています。オリジナル発毛薬「es」と発毛メソセラピー「最新LHDV頭皮注入治療」の組み合わせは、発毛実感率99.9%を達成しております。
毛髪や頭皮のトラブルでお悩みの方は、ウィルAGAクリニックにご相談ください。

【よくある質問】

毛髪再生医療とは?
毛髪再生医療とは、細胞培養などにより、失われた髪を人工的に再生させる先進的な治療方法のことです。
毛髪再生医療にデメリットはありますか?
毛髪再生医療のデメリットは、分野として発展途上である点です。
具体的には以下のようなデメリットがあります。

・標準治療に比べると効果や安全性に関するデータは少ない
・治療を受けられるクリニックは限られている
・効果には個人差がある
・コストや技術の問題から、自由診療となるAGA治療の中でも特に治療費が高くなりやすい

この記事の監修者
田沼 欣樹
医療法人社団紡潤会 指導医

防衛医科大学校卒業/初期研修終了後、大手美容クリニックの勤務を経てAGAの症例を延べ1万例以上経験した後、医療法人社団紡潤会に入社。症例を集計した独自の調査によりデータ化を行った上、論文等の調査報告と照らし合わして、データに基づいた診察を行う。

ドクター紹介

防衛医科大学校卒業/初期研修終了後、大手美容クリニックの勤務を経てAGAの症例を延べ1万例以上経験した後、医療法人社団紡潤会に入社。症例を集計した独自の調査によりデータ化を行った上、論文等の調査報告と照らし合わして、データに基づいた診察を行う。

ドクター紹介

関連記事

RELATED

ウィルAGAクリニック一覧

CLINIC

AGA・薄毛治療のお問い合わせ

CONTACT
24時間受付中!

WEB予約