本成分は、主に男性型脱毛症(AGA)の治療に使用される薬剤です。
男性ホルモンの一種である「テストステロン」は、「5α-リダクターゼ」という還元酵素と結びつくことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。DHTは、男性胎児の外性器の発育や認知機能、記憶力に関与する一方、毛母細胞の働きを抑制し、AGAの進行に寄与することが知られています。
デュタステリドは、この5α-リダクターゼを抑制する薬剤です。当初は前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、毛母細胞の増殖を正常化し、ヘアサイクルの成長期を延長させることによって、AGAの進行抑制効果が確認され、現在では「ザガーロ」という製品名でAGA治療にも使用されています。その効果はフィナステリドと比較しても高いと報告されています。
本薬剤は2001年に米国食品医薬品局(FDA)によって承認され、全世界で100カ国以上での使用が認められています。日本国内では2015年に厚生労働省の認可を受けています。
デュタステリド
デュタステリドとは
dutasteride
デュタステリドとフィナステリドの違い
5αリダクターゼには「I型」と「II型」の2種類があり、当初は主にII型が男性型脱毛症(AGA)の進行に関与すると考えられていました。そのため、フィナステリドはII型の5αリダクターゼのみを抑制する作用を持ち、AGA治療に用いられてきました。しかし、研究の進展によりI型もAGAに関連することが判明し、I型とII型の両方を抑制できるデュタステリドが注目されるようになりました。デュタステリドはジヒドロテストステロン(DHT)の約90%を抑制するとされ、AGA進行抑制において高い効果が期待されています。
また、フィナステリドとデュタステリドの違いとして、有効成分の血中濃度半減期が挙げられます。フィナステリドの半減期はおよそ6~8時間であるのに対し、デュタステリドは3~5週間と報告されています。この長い半減期がデュタステリドの持続的な効果に寄与していると考えられています。
デュタステリドの副作用
Side Effects
- 1肝機能障害
- 2性欲減退・男性機能の低下
- 3乳房障害(圧痛・肥大)
- 4うつ症状・気分の落ち込み
- 5蕁麻疹(じんましん)
デュタステリドの服用に際し、性欲の減退や男性機能の低下を懸念される方も多いかもしれませんが、臨床試験では精液量が約20%減少したものの、精子の濃度や形態には影響がないことが確認されています。また、副作用が現れた場合でも、デュタステリドの服用を中止することで回復することが分かっています。
デュタステリドの副作用発現率は、フィナステリドと同程度、または若干高いとされています。これは、半減期が長いため体内に薬剤が長く留まることが影響していると考えられています。服用中に少しでも違和感がある場合は、軽視せずに早めにクリニックへ相談することが重要です。
デュタステリドは主に肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかる可能性があります。服用中は定期的に血液検査を行い、肝機能を確認することが推奨されます。
なお、デュタステリドは女性や小児には使用できません。また、妊娠中の女性が触れることも避ける必要があります。皮膚からの経皮吸収によって有害物質が体内に取り込まれるためであり、経口摂取よりも高いリスクがあるとされています。
デュタステリド まとめ
治療に関するよくある質問
FAQ
デュタステリドを成分とする薬はありますか?
デュタステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療に使用される有効成分で、日本では「ザガーロ」という商品名で処方される薬剤に含まれています。ザガーロは、AGA治療において広く利用されている医薬品です。
デュタステリドとフィナステリドでは、どちらがAGA治療に効果的ですか?
デュタステリドとフィナステリドはどちらもAGA治療に用いられますが、近年の研究では、デュタステリドの方がAGAの進行に関わるジヒドロテストステロン(DHT)の産生をより強力に抑制することが確認されています。ただし、効果や副作用には個人差があるため、デュタステリドの方が副作用の発現率がやや高いとされています。適切な治療薬の選択については、医師と十分に相談することが重要です。
AGA治療薬とその他の薬を併用しても大丈夫ですか?
薬によりますが、基本的に併用禁忌の薬はありません。ただし併用注意にフィナステリドは作用が同系統のデュタステリド、ミノキシジルの場合は副作用を助長する系統でED薬やその他の降圧薬、相互作用不明な抗がん剤や抗てんかん薬などが挙げられます。
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