2021/04/30
円形脱毛症は前髪にもできる?前髪の円形脱毛症の原因と対策
/ コラム /
2020/10/05
この記事の監修者
私たちが日常で摂取することができる栄養素の中には、元気な髪を作り出す基になっているものがたくさんあります。
これらの栄養素を不足なく摂取することで将来の薄毛を予防することもできますし、仮に今薄毛の治療を行っているのであれば、治療効果を最大限に引き出すことにつながります。
本章では髪の成長に欠かせない栄養素の一つ「亜鉛」について取り上げ、詳しく解説していきます。
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亜鉛はミネラルの一種で、人の体内で自然合成できない必須ミネラルの一つです。
体内に取り入れるには食品から摂取するしかないので、十分に摂取するには日ごろの食事内容を考えて、不足しないように配慮しなければなりません。
亜鉛はタンパク質の合成など色々な役割を果たしますが、日本人の食生活では不足しやすい栄養素とされています。
次の項で、亜鉛が多く含まれる食材を見てみましょう。
亜鉛が多く含まれる代表食材は牡蠣です。
海のミルクとの呼ばれる牡蠣は100g中約14.5mgの亜鉛が含まれます。
牡蠣は日常の食卓で頻繁に取り上げるのは難しい食材ですが、他にも亜鉛を多く含む食材はあります。
日常で比較的手軽に取り入れられる食品を中心に、以下でまとめて見てみましょう。
各食材100g中の亜鉛含有量(mg)
含有量は少ないながらも、牡蠣以外でも亜鉛を含む食材は色々あります。
何か一つで摂ろうとせず、日常の食材を組み合わせることでうまく亜鉛を摂取することができます。
ここでは亜鉛が体内でどのような働きをするのか見てみましょう。
亜鉛は実に多くの役割があり、人体がスムーズに活動できるように、また健康を維持できるように働いてくれます。
代表的な働きとしては、男性であれば精子を作るなど生殖能力維持に貢献します。
不足すると元気な精子が作られなくなり、生殖機能が弱まります。
そのため最近は男性の活力サポートとしても亜鉛のサプリメントが人気です。
ヒトの体の細胞は常に細胞分裂を繰り返しています。
亜鉛は細胞分裂が上手く行われるようにする働きがあります。
例えば成長スピードが速い子どもや胎児は細胞分裂を加速度的に繰り返しているので、亜鉛が不足すると成長に支障を及ぼす可能性があります。
近年は若者を中心に味覚異常を訴える人が増えているようですが、味覚は舌の味蕾という器官で感じ取ります。
亜鉛は味蕾の機能を正常に保つ働きがあるので、不足すると食べ物の味を感じにくくなり、食事を美味しくとることができなくなります。
亜鉛は免疫機能を維持する働きもあります。
昨今は新型コロナの影響で感染症の予防に皆さん力を入れていますが、亜鉛が不足すると免疫力が下がり、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
そして私たちに嬉しい効果は何といっても元気な髪を作り出してくれることです。
これについては次の項で詳しく見ていきます。
亜鉛が薄毛の予防・改善に及ぼす影響は二つあります。
1つ目は弱いながらも抗AGA作用を持つことです。
AGAは体内でジヒドロテストステロン(DHT)が生産されることで起きますが、これには体内の酵素5αリダクターゼが関与しています。
亜鉛はこの酵素の働きを阻害する作用があるので、DHTの生成を抑制することができます。
ただしその力はフィナステリド製剤のような医薬品レベルの強さではないので、過信は禁物です。
2つ目は、本来持っている健康な髪を作り出す力を引き出すことです。
ヒトの毛髪はケラチンというタンパク質でできていますが、ケラチンはアミノ酸を合成して作られます。その際に必ず亜鉛が必要になるので、不足するとAGAかどうかに関わらず元気な髪を作り出すことができなくなります。
従って、今現在薄毛の悩みが無い人であっても、元気で若々しい髪を保つためには十分な亜鉛が必要なのです。
日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、推奨される亜鉛の一日摂取量は以下のようになります。
18歳~69歳の男性は10㎎
70歳以上の男性は9㎎
18歳~69歳の女性は8㎎
70歳以上の女性は7㎎
もし一日を通した食生活で以上の量を摂取するのが難しい場合は、サプリメントの利用を考えても良いと思います。
ただし亜鉛は摂りすぎると副作用を生じることもあるので、摂取量は調整が必要です。
次の項で亜鉛の摂取量上限値や副作用について見ていきます。
亜鉛の推奨量については前項で確認しましたが、摂りすぎないように配慮が必要です。
健康に支障をきたさない一日の摂取量上限値は以下のようになります。
男性:
18~29(歳):40mg
30~49(歳):45mg
50~69(歳):45mg
70 以上(歳):40mg
女性:
以上の安全値を超えて摂取すると、以下のような弊害が起きる可能性があるので注意してください。
・銅欠乏症(亜鉛は銅の吸収を阻害する)
・吐き気、嘔吐
・腹痛や下痢
・HDL(善玉)コレステロールの低下
また一日あたり100mgを超えるような極端に多量の亜鉛を長年にわたり摂取していると、前立せんがんのリスクを増加させるという報告もあります。
健康被害にはつながりませんが栄養素的には銅との相性が悪いので、サプリメントで摂取する場合はできるだけ銅を含むサプリメントとは同時に摂らないようにした方が良いでしょう。
本章では亜鉛が持つ薄毛の予防効果、改善効果について見てきました。
亜鉛は髪の毛の原料であるケラチンを合成する際に必要となるので、健康な髪の維持には欠かせないものです。
そのため誰でも不足の無いように摂ることが勧められます。
また弱いながらもDHTの生成を抑えてくれる作用もあるので、AGAの予防や進行抑制にも一役買ってくれます。
ダイエットなどで亜鉛が不足する人も多いと思いますので、必要に応じてサプリメントで補うようにしましょう。