AGA・薄毛治療のガイドラインとは?治療薬や治療法を推奨度と共に分かりやすく解説

公開日 / 2024.08.26 更新日 / 2024.08.23

「AGA・薄毛治療のガイドラインって何?」
「AGAの治療薬や治療法が多くてどれが良いのかわからない…」

日本皮膚科学会では、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」を公開しています。ガイドラインでは、臨床試験データをもとにさまざまな治療を解説しているので、AGA・薄毛に悩んでいる方にとっては参考になるでしょう。
ここでは、日本皮膚科学会のガイドラインとは何かお伝えした後、治療薬や治療法についてガイドラインの推奨度と共に解説していきます。

「AGA(男性型脱毛症)」とは?薄毛になる原因や仕組み

「AGA(男性型脱毛症)」とは?薄毛になる原因や仕組み

まずは、AGA(男性型脱毛症)について簡単に解説します。
AGAとは成人男性によくみられる脱毛症で、髪が薄くなる状態のことをいいます。男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられており、少しずつ進行するのが特徴です。

髪の毛が成長し始めてから抜け落ちるまでの期間を、ヘアサイクル(毛周期)といいます。AGAを発症するとヘアサイクルが乱れ、髪が太く長くなるための「成長期」が極端に短くなってしまいます。そのため髪が十分成長しきれないので、抜け毛や薄毛につながります。
AGAは進行性の脱毛症なので、毛根が寿命を迎える前に早期治療に踏み切ることが重要です。

参考文献
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|公益社団法人日本皮膚科学会

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」とは?

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」とは?

日本皮膚科学会では、各種皮膚疾患のガイドラインを作成しています。中でもAGA・薄毛治療の参考になるのが、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」です。
こちらのガイドラインでは、フィナステリドやミノキシジルといった治療薬のほか、自毛植毛術やLED照射といった治療法を、エビデンスに基づき5段階の推奨度に分けて解説しています。

ただ、あくまで皮膚科医による診療を想定しているうえ、当然ですが実際の治療は患者様一人ひとりの症状や希望に合わせて行われます。
そのためガイドラインにない治療を勧めたり、書かれている治療を行わなかったりしても、医師の責任を追訴するものではないと述べられているので、ご注意ください。現在公開中の2017年版も第2版であり、今後も改良が重ねられると考えられます。

参考サイト
・一般公開ガイドライン|公益社団法人日本皮膚科学会
・男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|公益社団法人日本皮膚科学会

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成の目的

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」が作成されたのは、脱毛症の診療水準を向上させるためです。
AGAの治療や薬は日々進歩していますが、中には医学的根拠のない民間療法もあります。効果がないと知らないまま、漠然と取り組んでしまう方もいるかもしれません。

そこで、科学的根拠に基づいた情報をガイドラインで選び出すことで,医師と患者に標準的な治療法を提示します。治療の指標として参考になるでしょう。

推奨度の分類は5段階

ガイドラインでは、各治療法の推奨度をA~Dの5段階に分けています。ガイドラインによると、さまざまな試験や研究によるエビデンスのほか、日本の歴史的背景、診療ガイドラインの実用性なども考慮したうえで分類しているとのことです。
推奨度の評価は以下の通りです。

  • A:行うよう強く勧める
  • B:行うよう勧める
  • C1:行ってもよい
  • C2:行わないほうがよい
  • D:行うべきではない

ガイドラインにおける主なAGA治療薬の成分の推奨度

ガイドラインにおける主なAGA治療薬の成分の推奨度

では、AGA治療薬はガイドラインでどのように評価されているのでしょうか?
主な治療薬のAGAに対する推奨度をお伝えしていきます。

AGA治療薬の成分①:【推奨度A】フィナステリドの内服

フィナステリドはプロペシア錠の主成分で、男性ホルモンの悪玉化を防ぐことで抜け毛・薄毛の進行を抑える作用があります。
ガイドラインの推奨度はA(行うよう強く勧める)で、発毛効果に対し高い水準の根拠があると述べられています。当院でもフィナステリドを処方していますが、実際にAGAに対して効果があると判断しております。

プロペシア錠の効果や副作用については、以下の記事で解説しています。併せてお読みください。

プロペシアの効果や副作用は?使用方法や注意点を知ってAGAを正しく対策

AGA治療薬の成分②:【推奨度A】デュタステリドの内服

デュタステリドはザガーロの主成分で、フィナステリドと同様に男性ホルモンの悪玉化を防ぐ作用があります。ヘアサイクルを整えることで、抜け毛・薄毛の進行を抑えます。
フィナステリドと比べると効果が高い分、副作用のリスクも高い傾向にあります。
ガイドラインでは、デュタステリドの推奨度はA(行うよう強く勧める)です。フィナステリドと同じく、当院でも効果があると判断して処方しております。

以下の記事では、デュタステリドの効果や副作用について解説しているので、併せてお読みください。

デュタステリド(ザガーロ)とは?効果や副作用を分かりやすく解説!

AGA治療薬の成分③:【推奨度A】ミノキシジルの外用

ミノキシジルは、血行を促進する効果のある成分です。髪の毛の成長に必要な酸素や栄養を届けることで、発毛を促します。また、成長因子というタンパク質を増加させ、細胞代謝を促進する作用もあります。
ガイドラインでは推奨度がA(行うよう強く勧める)で、FAGA(女性型脱毛症)に対しても同じ評価です。ただし、ミノキシジル内服と比べると効果は弱めです。

以下の記事では、ミノキシジルの副作用について内服薬・外用薬に分けて解説しているので、併せて参考にしてみてください。

ミノキシジルの副作用や注意点は?内服薬と外用薬で分かりやすく解説!

AGA治療薬の成分④:【推奨度B】アデノシンの外用

アデノシンとは、アデニンという塩基にリボース(糖)が結合したもので、体内のほとんどの細胞が産生するエネルギー代謝に関わる物質です。毛髪の成長を促進させる「FGF-7」を増やすことで、薄毛を改善する効果があるといわれています。
ガイドラインによると、アデノシンの外用の推奨度はB(行うよう勧める)です。副作用が非常に少なく育毛剤にも含まれていることが多いですが、効果は弱い印象です。

アデノシンについて詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

育毛剤に含まれるアデノシンとは?本当に効果があるのか徹底解説!

AGA治療薬の成分⑤:【推奨度D】ミノキシジルの内服

ミノキシジル内服薬は、外用薬と同様に血行を促進する効果がある治療薬です。頭皮の血行を改善したり細胞代謝を促したりする作用により、発毛効果が期待できます。
ガイドラインにおいて、推奨度はD(行うべきではない)です。日本人の試験結果が少ない点や、危険性が十分確認されていない点などが評価につながったと考えられます。
しかし、実際のところミノキシジル内服は危険性が低いといえます。詳しくは後述しますが、推奨度がDだからといって過度に不安に感じる必要はありません。

下記記事では、ミノキシジル内服薬は危険性が低い理由をご紹介しております。

実はミノキシジル内服薬の危険性は低いことを知っていますか?

ミノキシジル内服は危険性が低い&効果が高い

ミノキシジル内服は危険性が低い&効果が高い

ガイドラインにおけるAGA治療薬の評価について簡単にお伝えしましたが、ミノキシジル内服の推奨度はD(行うべきではない)でした。
しかし、実際にはミノキシジル内服薬の危険性は低いといえます。発毛効果も高く、医師の処方であれば安全性があるため、当院では主力商品として提供しております。

ミノキシジル内服薬の危険性が低い根拠として、約2万人の日本人患者を対象とした「Androgenetic Alopecia Treatment in Asian Men(アジア人男性の男性型脱毛症の治療)」をご紹介します。
こちらの論文では、AGA患者に対して行った併用療法の方法や結果がまとめられています。併用療法の中でもミノキシジル内服薬による副作用は腫れ42人(0.22%)、めまい28人(0.15%)と軽度な症状で、発現率も低いという結果でした。また、これらの症状は自然に治ったうえ、治療に関連する有害事象は認められなかったそうです。

ミノキシジル内服薬がガイドラインでDという評価となっているのは、日本人の試験結果が少なかったり、使い方がまだ制定されていなかったりするからだと考えられます。ただ、ご紹介した論文の結果からも、ミノキシジル内服薬は安全性が高いAGA治療薬だといえるでしょう。
当院ではミノキシジルの内服に関する膨大な数の治療実績と臨床データがあり、開院当初から自信をもって処方しております。また、無駄な高容量処方を積極的に行わないように指導しておりますので、ご安心ください。

以下の記事では、ミノキシジル内服薬がAGA治療におすすめの理由を解説しています。併せてお読みください。

実はミノキシジル内服薬の危険性は低いことを知っていますか?

参考サイト
・Androgenetic Alopecia Treatment in Asian Men | JCAD | The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology

ガイドラインにおけるAGA治療薬以外の治療法の推奨度

ガイドラインにおけるAGA治療薬以外の治療法の推奨度

次は、AGA治療薬の服用以外の治療法に対するガイドラインの評価についてご紹介します。

AGA治療法①【推奨度B】自毛植毛術

自毛植毛術とは、自分の髪を薄毛の部分に移植するという方法です。健康な毛髪を皮膚組織ごと移植するため定着しやすく、拒否反応もありません。
ガイドラインでは推奨度B(行うよう勧める)です。フィナステリドなどのAGA治療薬による効果が十分ではないケースや、他に改善の方法がないケースにおいて、十分な経験と技術のある医師が施術する場合に限り勧めると述べられています。

AGA治療法②【推奨度B】LED および低出力レーザー照射

LED や低出力レーザー照射を頭皮に照射するという治療法で、血流を改善したり細胞を活性化したりする効果が期待できます。副作用のリスクが低く、痛みも感じないのがメリットです。
ガイドラインの推奨度はB(行うよう勧める)です。一方、発毛効果は薄い印象で、当院でも取り扱っておりません。

AGA治療法③【推奨度C2】成長因子導入および細胞移植療法

発毛をサポートする成長因子や、毛根の幹細胞などを頭皮に届ける治療法です。有効成分の詳しい種類や方法はクリニックによって異なります。
ガイドラインの推奨度はC2(行わないほうがよい)です。論文が少なかったり、効果や副作用がはっきりしていなかったりするため、このような評価につながっていると考えられます。

当院では数百種類以上の高濃度成長因子などを含んだオリジナルカクテルを注入する「最新LHDV頭皮注入治療」を取り扱っていますが、単体で治療を進めるというよりも、AGA治療薬と併用することで発毛・育毛効果を倍増させるという治療法です。
事実、内服との組み合わせで発毛実感率は99.9%を達成しております。

AGA治療法④【推奨度D】人工毛植毛術

人工毛植毛術とは、合成繊維で作られた毛を頭皮に植え込むという方法です。自身の髪と比べて違和感のないように作成し、仕上げます。好きな本数で対応できますが、炎症を起こしたり抜けやすかったりするデメリットがあり、米国のFADでは人口毛の使用を事実上禁じています。
ガイドラインでの評価はD(行うべきではない)です。拒絶反応のリスクがあり、長期的な効果も期待できないため、別の治療法を検討することをおすすめします。

薄毛・AGA治療は専門のクリニックに相談しよう

薄毛・AGA治療は専門のクリニックに相談しよう

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」についてお伝えしました。
ガイドラインは脱毛症の診療水準を向上させることを目的に作成されていて、さまざまな治療薬や治療法について評価しています。治療の指標として参考になりますが、内容に関しては今後も改良が重ねられると考えられます。

薄毛・AGAの悩みを解決するには、患者様一人ひとりの症状や要望に合わせた治療を進めることが重要です。
効果のある治療薬や治療法で改善するためにも、まずは専門のAGAクリニックにご相談ください。

【よくある質問】

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」とは何ですか?

日本皮膚科学会が作成したガイドラインです。
フィナステリドなどの治療薬のほか、自毛植毛術やLED照射といった治療法について、5段階の推奨度に分けて解説しています。

AGA治療のガイドラインで推奨度AのAGA治療薬は?

推奨度Aに評価されているAGA治療薬は、フィナステリドの内服・デュタステリドの内服・ミノキシジルの外用です。

この記事の監修者
宮内 俊
ウィルAGAクリニック

多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

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多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

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