円形脱毛症と甲状腺疾患は合併しやすい! 原因や治療方法なども解説

公開日 / 2021.02.18 更新日 / 2024.04.18
この記事の監修者
宮内 俊
ウィルAGAクリニック 総括院長

AGA患者70,000件以上※の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国14院を展開。現在、ウィルAGAクリニックの総括院長、医療法人社団紡潤会の理事長として日進月歩研究を進めながら、日々の診療にあたる。千葉大学医学部卒。

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AGA患者70,000件以上※の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国14院を展開。現在、ウィルAGAクリニックの総括院長、医療法人社団紡潤会の理事長として日進月歩研究を進めながら、日々の診療にあたる。千葉大学医学部卒。

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円形脱毛症は甲状腺疾患と合併しやすいです。
甲状腺は首ののどぼとけの下にあります。

新陳代謝を促進させる働きを持つ甲状腺ホルモンを分泌するのが甲状腺です。

合併すると円形脱毛症と甲状腺疾患と両方の症状に悩まされることがあります。
今回は円形脱毛症と甲状腺疾患について、以下の内容を中心に解説していきます。

・合併しやすい甲状腺疾患について
・原因について
・治療方法について

円形脱毛症との合併が気になる方は参考にしてください。

【Youtubeでも解説中!】
Dr.シュンの発毛チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=WM3-m8R2MYc

1.円形脱毛症と合併しやすい甲状腺疾患


円形脱毛症と甲状腺疾患の合併率は8%との報告があります。
円形脱毛症と合併しやすいのが、以下の甲状腺疾患です。

【合併しやすい主な甲状腺疾患】

・橋本病(甲状腺機能低下症)
・バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

それぞれの甲状腺疾患について詳しく解説します。
参照:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

(1)橋本病(甲状腺機能低下症)について

40歳以上の女性に多いのが、橋本病(甲状腺機能低下症)です。
橋本病により甲状腺の機能が低下すると甲状腺ホルモンが不足します。

甲状腺ホルモンの不足により、新陳代謝が悪くなると以下の症状を起こしやすいです。

【橋本病の主な症状】
・疲れやすい
・寒がり
・体温の低下
・むくみ
・甲状腺腫大
・のどの違和感
・無気力
・食欲の低下
・便秘
・皮膚の乾燥
・脱毛
・肩こり
・筋力の低下
・月経不順
・コレステロールの上昇
・肝障害
・貧血など

甲状腺機能に異常が見られるときは、薬による治療(不足した甲状腺ホルモンを補う)を行うのが一般的です。

橋本病の初期は自覚症状がほとんどありません。
甲状腺機能に異常が見られず、正常なときは治療しないことが多いです。

また、橋本病の治療により、円形脱毛症の症状も改善することがあります。
ただし、橋本病の症状が悪化していないのに、円形脱毛症が再発したケースが報告されています。

参照:https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.24733/J01268.2015001635

(2)バセドウ病(甲状腺機能亢進症)について

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、20代~40代の女性によく見られる甲状腺疾患です。
橋本病が甲状腺ホルモンが不足するのに対し、バセドウ病では逆に甲状腺ホルモンが過剰になります。

新陳代謝の活発が異常になり、以下の症状が出やすいです。

【バセドウ病の主な症状】

・疲れやすい
・暑がり
・微熱
・眼球突出
・甲状腺腫大
・イライラ
・集中力の低下
・不眠
・動悸
・息切れ
・むくみ
・口が渇く
・発汗
・脱毛
・かゆみ
・筋力の低下
・月経不順
・血圧の上昇
・肝障害など

バセドウ病には以下の治療方法があります。

【主な治療方法】

・抗甲状腺剤(甲状腺ホルモンの分泌を抑える)
・手術(甲状腺ホルモン産生組織を切除する)
・アイソトープ治療(放射線を出すヨードを内服する)

2.甲状腺を合併しやすい円形脱毛症の原因


円形脱毛症は人口の1%~2%に見られます。

AGA(男性型脱毛症)では額の生え際や頭頂部から少しずつ薄くなる症状が見られます。
いっぽう、円形脱毛症では急激に髪の毛が抜けていく症状が多いです。

円形脱毛症の原因として有力なのが自己免疫の異常です。
自分の免疫が毛包(毛を産生する器官)を異物とみなして攻撃します。

また、円形脱毛症は多因子遺伝性疾患とされています。
環境要因と遺伝的要因で発症するのが多因子遺伝性疾患です。

そのため、円形脱毛症は遺伝も大きく関わっていると考えられます。

欧米での調査により、1親等内(父母や子)での円形脱毛症の発症率は、一般よりも10倍の結果が出ています。
一卵性双生児(1つの受精卵による双子)では55%の高い一致率です。

円形脱毛症と一言でいっても、さまざまな種類があります。

【円形脱毛症の種類】

・単発型:コインほどの大きさの脱毛斑が1つ
・多発型:脱毛斑が複数
・全頭型:頭部全体的に脱毛
・汎発型:頭部含む全身の体毛が脱毛
・蛇行型:後頭部や側頭部の生え際が帯状に脱毛

脱毛範囲が広いほど症状が重く、治りにくいです。

橋本病やバセドウ病は自己免疫の異常が原因と考えられています。
橋本病やバセドウ病の場合、自分の免疫が異物とみなすのは甲状腺です。

円形脱毛症と原因が似ているため、橋本病やバセドウ病を合併しやすいと考えられます。
参照:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

3.甲状腺疾患を合併しやすい円形脱毛症の治療方法


日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、以下の治療方法を推奨度B(行うよう勧める)と評価しています。

【推奨度Bの治療方法】

・ステロイド局所注射療法
・局所免疫療法
・ステロイド外用療法

それぞれの治療方法について詳しく解説します。

(1)ステロイド局所注射療法について

ステロイド局所注射療法は、症状が見られる部位にステロイドを注射する治療方法です。
ステロイドには免疫を抑える効果があります。

単発型や多発型で脱毛斑が比較的小さく、数が少ない成人に適している治療方法です。
ただし、注射した部位に萎縮や疼痛、血管拡張などが出ることがあります。

(2)局所免疫療法について

局所免疫療法は、特殊な物質SADBEやDPCPを塗布してかぶれを起こす治療方法です。
1~2週に1回のペースで治療を行い、発毛が認められた後も3~4週に1回のペースで治療を続けます。

有効率が60%以上あり、多発型や全頭型、汎発型など脱毛範囲が広い症状に適している治療方法です。

ただし、甲状腺疾患を合併している場合は治療の反応が悪くなる可能性があります。
他にも接触皮膚炎症や頭痛、倦怠感、蕁麻疹、色素沈着などの副作用があるため、治療を受けるときは医師の説明をよく聞いてください。

(3)ステロイド外用療法について

ステロイド外用療法は、免疫を抑えるステロイドを塗布する治療方法です。1日1~2回のペースで外用を行います。

単発型や多発型(脱毛斑につながりのない)の症状に適している治療方法です。

ただし、長期間の使用は皮膚の萎縮や血管拡張、陥凹の副作用が出やすいです。
そのため、円形脱毛症診療ガイドライン2017年版では、明確な意思と目的のない長期間の使用を推奨していません。

(4)推奨度C1の治療方法について
円形脱毛症診療ガイドライン2017年版による推奨度C1(行ってもよい)の治療方法は以下のとおりです。

【推奨度C1の主な治療方法】

・ステロイドの内服
・抗ヒスタミン薬・セファランチンの内服
・カルプロニウム塩化物の外用
・冷却療法
・紫外線療法など

①ステロイドの内服について

ステロイドの内服は以下の症例に適している治療方法です。

【治療に適している症例】

・発症から6か月以内
・急速に症状が進行している
・脱毛範囲が25~49%以上

投与開始により効果が見られたら、用量を減らしていきます。
ただし、3か月以内が推奨されており、長期間の使用には適さない治療方法です。
用量を減らしている間に再発した場合は、治療を中止してください。

②抗ヒスタミン薬・セファランチンの内服について

抗ヒスタミン薬・セファランチンの内服は、アレルギー症状を抑える治療方法です。
単発型や多発型の症状に適しています。他の治療方法との併用が一般的です。

③カルプロニウム塩化物の外用

カルプロニウム塩化物は、血管拡張作用による発毛促進が期待できる成分です。
試験により、カルプロニウム塩化物5%の発毛効果が認められています。単発型や多発型の併用療法に推奨されています。

④冷却療法について

冷却療法はドライアイスや液体窒素などで患部を冷却する治療方法です。
液体窒素をスプレーした患者のうち、約6割に効果が認められたとの報告があります。

⑤紫外線療法について

紫外線療法(PUVA療法・エキシマライト・ナローバンドUVB)では、紫外線を照射して免疫を抑えています。
注射と違い、ほとんど痛みがないのがメリットです。

円形脱毛症診療ガイドライン2017年版では、エキシマライト・ナローバンドUVBについてはすべての症状に行えるとしています。

(5)小児には適さない円形脱毛症の治療方法

小児の円形脱毛症も、甲状腺疾患が関係していることがあります。
しかし治療方法によっては小児に適しません。

【原則小児に適さない主な治療方法】

・ステロイド局所注射療法
・ステロイド内服療法
・紫外線療法

全頭型や汎発型など症状の重い円形脱毛症は、小児にもよく見られます。
どのような治療方法が適しているのか、よく医師と相談しながら決めてください。

4.AGAに関するご相談はウィル AGA クリニック

もし薄毛・脱毛症に関するお悩みがある場合は、お気軽にウィル AGAクリニックにお問い合わせください。

薄毛に悩む方が一人でも多く悩みから解放されるよう、
全力でサポートしていくことをお約束します。

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