AGA治療が手遅れになる前に考えるべきこと
AGA(男性型脱毛症)治療は近年、著しい発展を遂げ、薄毛に悩んでいた多くの人を笑顔にしています。
かつて「毛生え薬」はインチキ薬の代表のようなものでしたが、現代のAGA治療薬や治療法は、発毛効果や育毛効果、脱毛予防効果が科学的かつ医学的に証明されています。
ところが街を歩けば、依然として薄毛の人が多くいます。効果が期待できる医薬品や治療法があるのに、なぜ薄毛の人はいなくならないのでしょうか。
理由の1つは「手遅れ」になっているからです。
医学は完璧ではないので、病気が一定程度進行してしまうと治すことができなくなってしまい、それはAGAでもAGA治療でも同じです。
だからAGA治療専門のクリニックの医師は「早期にAGA治療に取り組みましょう」と呼びかけているわけです。
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Dr.シュンの発毛チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=WM3-m8R2MYc
目次
AGA治療における「手遅れ」とは
もちろん世の中には、薄毛や「はげ」がまったく気にならず、それでAGA治療を試みない人もいます。しかし多くの人にとっては、薄毛も「はげ」も「嫌なこと」のはずです。
AGAを治したいのにAGA治療を受けない人が少なからず存在するのは、躊躇しているからでしょう。
「本当に効くかどうか、怪しい」
「どこで治療を受けたらよいのかわからない」
「いくらくらいかかるのだろうか」
「AGA治療に取り組んでいることを誰かに知られたら恥ずかしい」
躊躇する理由は、このようにいくらでもあります。
しかし躊躇している間にも、刻一刻と手遅れに近づいていきます。AGAは自然に治ることがほとんど見込めない病気だからです。
AGAにおける手遅れについて詳しくみていきましょう。
「毛根の死」と「毛髪の細胞の死」は異なる
AGA治療における手遅れ状態のうち最も典型的なのは、いわゆる「つるつる」状態になってしまった「はげ」です。「はげ」は、毛根が死滅した状態です。
ただ、健康的な髪の毛が一気に毛根の死滅へと進むわけではなく、通常は、徐々に薄毛が進み、それがやがて不可逆的な状態になる、という過程を踏みます。
不可逆的とは、元に戻れないという意味です。
薄毛の進行は、毛母細胞の分裂が減ることで生じます。毛母細胞とは、毛髪をつくりだす細胞で、髪の毛の元といえます。
人の体は細胞分裂を繰り返すことで成長し、髪の毛も毛母細胞の分裂によって長く太く成長していきます。
ただ、人の身長は成人になるとストップします。骨の細胞には、一定の長さ以上成長しない性質があります。
一方、毛髪はいくらでも長くなります。それは、頭皮の外に出ている毛髪は、実は死んだ細胞の集まりだからです(*1)。毛髪の根元の毛球で、毛母細胞は分裂を繰り返します。つまり新しい毛母細胞が次々生み出されます。その新しい毛母細胞が、先に生まれてすでに死んでしまった毛母細胞を押し出しているわけです。
ここでのポイントは、「毛根の死滅」と「毛髪が細胞が死んでいる状態であること」は別の現象であるという点です。
見える部分の毛髪の細胞が死んでいる状態は正常ですので、こちらは問題ありません。
AGAで重要になるのは、毛根の死滅です。
*1:https://www.kao.com/jp/haircare/hair/1-1/
ヘアサイクルと毛母細胞の関係
毛根の死滅とは具体的には、1)毛母細胞の数が極端に減ることと、2)毛母細胞の分裂が極端に減ることの2つの現象です。
健康な毛髪は「誕生→成長→退行→休止→脱毛→誕生」を繰り返し、これをヘアサイクルといいます。しかし毛根が死滅すると(つまり、毛母細胞の数が減ったり細胞分裂が減ったりすると)、ヘアサイクルが乱れて薄毛になり、やがて「はげ」てしまいます。
●初期
薄毛(またはAGA)の初期は、毛母細胞の分裂の抑制が、顕著ではないものの進んでいる状態です。この段階での見た目は、額の生え際や頭頂部が少し薄くなっている程度で、周囲にはまだ気づかれていません。ただ本人は、自分の髪の毛に弱々しさを感じ始めています。
●中期
薄毛の中期では、毛髪の成長期が短くなっています。つまり、毛髪が長く太くなる前に抜け落ちていくことが増え始める段階です。この段階の毛母細胞は、分裂の抑制が顕著になっていて、さらに毛母細胞の数が減り始めています。
見た目は、周囲の人ですら「薄くなってきたな」と感じるレベルです。
●後期
薄毛の後期は、ヘアサイクルの乱れが定着してしまった段階です。毛母細胞は「減ってきた」レベルから「極端に少なくなった」レベルに悪化しています。見た目は、最早ヘアスタイルでは隠せない状態になっています。
AGA治療薬の限界を知る
AGA治療薬の説明書きには「手遅れ」という言葉は登場しません(*2)。また、発毛剤を製造・販売している医薬品メーカーも、薄毛治療において「手遅れの状態がある」とはアナウンスしていません(*3)。
しかしAGA治療薬には「限界」が存在します。
例えば、フィナステリドという5α-還元酵素II型阻害薬(いわゆるAGA治療薬)の説明書には、効能効果の欄に「男性における男性型脱毛症(AGA)の進行遅延」と書かれてあります(*2)。
AGAの進行を遅らせる効果しかないと宣言しているわけです。AGAを治すとは断言していないのです。
これは現代のAGA治療薬の限界と考えてよいでしょう。
では、このことは悲観すべきことなのかというと、そうではありません。なぜなら、フィナステリドが開発される前は、AGAの進行を遅らせる飲み薬は存在しなかったからです。
AGAの進行が遅れることは「すごいこと」であり、それはAGAに悩む人にとって大きなメリットになり得ます。
要は、この画期的な薬をどう使うかです。手遅れになる前に使えばよいのです。
*2:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066547
*3:https://brand.taisho.co.jp/contents/riup/detail_200.html
手遅れになる理由①:そもそもAGA治療とは
AGA治療の「手遅れ」については、AGA治療を専門に行っている医療機関ですら次のように述べています(*4)。
・抜け毛が始まって数年が経過して、薄毛がかなり進行している場合は、AGA治療を受けても毛量が増えない可能性がある
このことから、そもそも現代のAGA治療は、薄毛の後期を想定していないと考えてよさそうです。
先ほど確認したとおり、薄毛の後期では毛母細胞の分裂の抑制が顕著になり、毛母細胞の数自体極端に減っています。
この状態から驚異的なV字回復を成功させるAGA治療はまだ開発されていません。
*4:https://www.d-clinicgroup.jp/clinic/aga/beginner/
手遅れになる理由②:治療できない状態は想定内
AGA治療薬のフィナステリドは画期的な薬ですが、完璧ではありません。
再びフィナステリドの説明書を確認してみます。その「用法容量に関連する使用上の注意」の欄には、次のように書かれています。そのまま転載します(*2)。
<フィナステリドの用法用量に関連する使用上の注意>
本剤を6カ月以上投与しても男性型脱毛症(AGA)の進行遅延がみられない場合には投薬を中止すること。また、6カ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討すること。
この内容を「手遅れ」の観点から意訳するとこのようになります。
●6カ月使ってAGAが改善しなかったら、使用を中止しなさい
●6カ月使っても、AGAが改善しないことは十分あり得る
フィナステリドはAGA治療薬ですが、治療できないAGAが存在することは、当初から想定の範囲内だったことがわかります。
まとめ~だから早期に治療に着手しましょう
AGAには、回復が見込めるAGAと手遅れ状態のAGAがあることがわかりました。
しかしこのことは、AGAに限らず、自然治癒しない病気には当たり前のことです。例えば、肥満症は解消できますが、肥満から糖尿病に進んでしまいそれが悪化すると、肥満を解消しても治らないことがあります。
AGAも、だから早期に治療に着手したほうがよいのです。
髪の毛が気になり始めた人が、本気で「薄毛になりたくない」と思ったら、やることは決まっています。AGA治療を専門にしているクリニックに相談に行きましょう。