AGAは早期治療が重要! I型~III型までが治療のゴールデンタイム
AGAでは生え際や頭頂部から少しずつ髪の毛が薄くなる症状が見られます。AGAを発症しても自然に治るだろうと考えていませんか?
AGAは進行性があるため、自然治癒は期待できません。しかし、クリニックでは内服薬や外用薬などいくつかのAGA治療を用意しています。
ただし、AGAは早期治療が重要です。今回はAGAについて、下記の点を中心に解説していきます。
- 早期治療を始めたほうがよい4つの理由
- インターネットの情報のみのAGA対策は危険
- 専門医と相談し、AGAの原因を探し出すことが大切
AGA治療のゴールデンタイムもあわせて紹介していきます。抜け毛や薄毛が気になる方は参考にしてください。
目次
1.AGAは早期治療を始めたほうがよい4つの理由
AGAによる抜け毛や薄毛が気になり始めときは早期治療を考えてください。なぜ早期治療したほうがよいのか、それは下記の理由があるからです。
- 治療の有効性が高くなりやすいから
- 遅れるとAGAの治療費が高くなりやすいから
- 毛母細胞には寿命があるから
- 早めのコンプレックス解消が期待できるから
上記4つの理由を詳しく説明していきましょう。
1-1.治療の有効性が高くなりやすいから
AGAでは早いほど治療の有効性が高まります。
ハミルトン・ノーウッド分類で言うとI型~III型までが、AGA治療のゴールデンタイムです。AGAの進行具合を分かりやすくしたハミルトン・ノーウッド分類をご覧ください。
分類 | 進行具合 |
I型 | 生え際がM字型に後退し始める |
II型 | I型よりも後退が進む |
III型 | II型よりもさらに後退が進む |
II Vertex型 | II型に加え、頭頂部がO字型に薄くなる |
III Vertex型 | III型に加え、頭頂部がO字型に薄くなる |
IV型 | Ⅲ型よりさらにM字型とO字型が進む |
V型 | IV型よりさらに薄毛の症状が進む |
VI型 | 生え際と頭頂部の薄毛がつながり、U字型に進む |
V型 | VI型よりさらに側頭部の髪の毛が薄くなる |
下の分類に行くほど、AGAの症状が進行している状態です。AGAを発症すると年齢を重ねるごとに、ハミルトン・ノーウッド分類が進むと考えられています。
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型を阻害し、脱毛作用のあるジヒドロテストステロン(DHT)を抑制する有効成分です。
フィナステリドを長期投与した結果、その有効性はI型~III型でより高くなると分かりました。フィナステリドによるAGA治療は、なるべくI型~III型までに始めたほうがよいでしょう。
参考:https://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-191125.pdf
1-2.遅れるとAGAの治療費が高くなりやすいから
早期治療したほうがよい2つ目の理由となるのが治療費です。
個人差がありますが、初診時で40歳以上・IV型以上の方は5年後のフィナステリドの有効性が下がる場合があります。
年齢とともに症状が進んだ方に有効なのが、有効成分デュタステリドです。デュタステリドは5α還元酵素Ⅰ型もⅡ型も阻害するため、Ⅱ型のみ阻害するフィナステリドよりも高い効果が期待できます。
しかし、費用はフィナステリドよりデュタステリドのほうが高めです。フィナステリドの費用は1か月あたり7,000円が目安です。いっぽう、デュタステリド配合のザガーロだと8,000円ほどかかります。
1か月あたりであれば費用の差は1,000円ほどです。しかし、有効成分の効果を実感できるまで3か月~6か月ほどかかります。
使用を中止すると効果がなくなるため、実感後も継続が大切です。1か月あたり1,000円でも1年で12,000円、2年で24,000円、3年で36,000円、継続するほど費用差が大きくなります。
治療費を節約するためにも、なるべく早期に治療を始めたほうがよいでしょう。
参考:https://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-191125.pdf
1-3.毛母細胞には寿命があるから
早期治療を始めたほうがよい3つ目の理由となるのが、毛母細胞の寿命です。
髪の毛は毛母細胞の分裂により成長していきます。しかし、毛母細胞の分裂は無限ではありません。私たち人の細胞は約50回で分裂を停止すると考えられています。
下記のヘアサイクルを繰り返しながら生え変わっていくのが髪の毛です。
ヘアサイクル | 特徴 | 期間 |
成長期 | 活発に成長する | 2年から6年 |
退行期 | 成長が緩やかになる | 数週間 |
休止期 | 成長がストップする | 2か月~4か月 |
ヘアサイクルが正常であれば、2年から6年の成長期です。しかし、AGAを発症した方のヘアサイクルは乱れてしまいます。
成長期が数か月~1年ほどまで短くなり、髪の毛が十分に成長する前に退行期→休止期が来て抜けてしまいます。
毛母細胞の分裂が50回、成長期1年とした場合、毛母細胞は50年で寿命を迎える計算です。成長期が数か月まで短くなると、さらに毛母細胞の寿命が早く来てしまいます。
寿命を過ぎた毛母細胞にAGA治療を行っても効果は期待できません。毛乳頭や毛母細胞などが含まれている毛包の数は胎児期に決まり、その後は変わらないとされています。
そのため、AGA発症後に毛包の数を増やすのは難しいです。なるべく毛母細胞の寿命を迎える前にAGA治療を始めたほうがよいでしょう。
参考:https://www.cytivalifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/cell_story/40.html
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/133_2_73/_pdf
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1944/53/1/53_1_P12/_pdf
1-4.早めのコンプレックス解消が期待できるから
人によっては薄毛にコンプレックスを感じてしまうでしょう。しかし、早期治療を受けると早めのコンプレックス解消が期待できます。
AGAは40歳以降に発症するイメージがありませんか? しかし、若い年代でもAGA発症の可能性があります。AGAの年代ごと発症頻度をご覧ください。
年代 | 発症頻度 |
20代 | 約10% |
30代 | 20% |
40代 | 30% |
50代以降 | 40数% |
AGAを発症した10人のうち、約3人は20代・30代です。見た目を気にする若い年代ほど、薄毛の悩みが大きくなりやすいです。
治療の有効性が高まりやすい若い年代のうちにAGA治療を受けたほうがよいでしょう。
参考:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
2.インターネットの情報のみでAGA対策するのは危険
インターネット上には科学的根拠があるのかないのか、よく分からないAGA対策が見られます。科学的根拠のないAGA対策だと有効性があるのかどうか分かりにくいです。
どのような副作用が出るのか分かりませんので、科学的根拠のあるAGA治療を行ってください。
クリニックではきちんと科学的根拠のある内服薬・外用薬を処方しています。
主な有効成分 | 有効性 |
フィナステリド(内服) | 99.4%の症例で有効性あり(1mg/日を5年間内服) |
デュタステリド(内服) | フィナステリドより優れた有効性あり(0.5mg/日で観察期間6か月) |
ミノキシジル(外用) | 平均26.4本の増加(脱毛部1cm2あたり/ミノキシジル濃度5%) |
上記の有効成分は男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインで推奨度A(行うよう強く勧める)の評価を受けています。
ミノキシジルは血管拡張作用のある発毛促進成分です。内服(口から飲む)と外用(頭皮に塗る)は使用方法が異なるため併用できます。
内服のみでは十分な効果が出ないときは、外用との併用を検討するとよいでしょう。
参考:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
3.専門医との相談でAGAの原因を探そう
抜け毛や薄毛が気になり始めたときは、専門医への相談をおすすめします。なぜかと言うと、原因がAGA以外の可能性があるからです。
主な脱毛症 | 主な原因 |
円形脱毛症 | 自己免疫の異常 |
皮膚エリテマトーデス | 自己免疫の異常 |
甲状腺疾患による脱毛症 | 甲状腺ホルモンの異常 |
牽引性脱毛症 | 三つ編みやポニーテールなど毛根に負担をかける髪型 |
薬剤性脱毛症 | 抗がん剤やステロイド剤など |
感染による脱毛症 | 真菌や梅毒など |
栄養不足や過度なストレスなどでも抜け毛が増える場合があります。円形脱毛症や甲状腺疾患など他の病気に原因がある方に、AGA治療を行っても改善は期待できません。
クリニックでは専門医による頭皮診断が受けられます。専門医によるAGA診断結果が出てから治療を始めるのがクリニックです。
また、血液検査を受けると他の病気に原因があるかどうかが分かります。効果の出やすさ、副作用のリスク、健康状態なども分かるため血液検査を受けておきましょう。血液検査については下記の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。