円形脱毛症の「多発融合型」とは?特徴や主な治療法、対策を解説
円形脱毛症は、ある日突然起こります。このまま髪の毛がすべてなくなってしまうのではないかという心配、不安が誰でもよぎるものです。
円形脱毛症にはいくつかの種類があります。単発や数個の脱毛斑の場合は自然に治ることが多いですが、ときに脱毛斑がつながって徐々に広がっていく場合があります。それを「多発融合型」といいます。
今回は「多発融合型」の円形脱毛症を中心にその特徴、治療法、対策について解説します。
目次
1.円形脱毛症とは?
(1)円形脱毛症が起こる仕組み
円形脱毛症は円形や楕円形の脱毛斑がある日突然できる病気です。脱毛斑は数㎝の脱毛斑が1個から数個できて自然に治ることもありますが、時に髪の毛全体に広がったり頭髪以外の毛髪がある部位にも脱毛が広がったりすることもあります。
(2)「多発融合型」の円形脱毛症とは
①円形脱毛症の5つの種類
円形脱毛症は脱毛斑の数や範囲によって以下の5つの種類に分けられます(日本皮膚科学会脱毛症診療ガイドライン2017)。
- 単発型:脱毛斑が単発のもの
- 多発型:複数の脱毛斑を認めるもの
- 全頭型:脱毛部が頭全体に広がったもの
- 汎発型:脱毛が頭以外の全身にも広がったもの
- 蛇行型:髪の毛の生え際が帯状に脱毛するもの
②「多発型」が進行することで「多発融合型」に
「多発融合型」という概念があります。多発融合型は、上記の「多発型」の個々の脱毛斑が徐々につながって大きな脱毛斑ができている状態をいいます。そのまま症状が進むと「全頭型」に移行します。
そのため、多発融合型は多発型から全頭型への移行段階だと言えます。
(3)円形脱毛症の主な原因
円形脱毛症は毛を作る毛根の組織を自身の免疫が攻撃してしまう「自己免疫疾患」だと考えられています。免疫細胞であるリンパ球が自身の毛根組織を異物と認識して攻撃してしまうことで、成長している髪の毛が突然抜けてしまうのです。
円形脱毛症の発症には遺伝的ななりやすさが関わっています。そのため、家族内に円形脱毛症の人がいる場合、円形脱毛症の発症率は高くなると言われています(一親等内での円形脱毛症の発症は一般に比べて10倍であったとの報告があります)。
このような遺伝性を背景にして疲労や感染症などの肉体的・精神的ストレスが引き金となると言われています。しかし、はっきりとしたきっかけなしに発症する場合もあります。
2.多発融合型の円形脱毛症は治る?主な治療方法とは
(1)多発融合型の円形脱毛症の主な治療方法
次に、多発融合型の円形脱毛症の場合に用いられる治療方法をご紹介します。
①ステロイド外用療法
ステロイドの塗り薬を脱毛斑に塗る治療です。
融合傾向のない単発型、多発型の円形脱毛症の場合にステロイド外用療法は有効だと言われています。多発融合型の場合はステロイド外用療法の単独治療よりは他の治療との併用療法が行われることが多いです。
②ステロイド局所注射療法
ステロイドの注射液を脱毛斑の部分に注射する治療です。
単発型、多発型の円形脱毛症で有効だと言われており、多発融合型の場合も有効である可能性が考えられます。ただし、注射の際に痛みをともないます。そのため、脱毛範囲が広い場合やお子さんの場合は他の治療を選ぶ必要があります。
③ステロイド内服療法・ステロイドパルス療法
ステロイド内服療法はステロイドの飲み薬を飲む治療、ステロイドパルス療法は高濃度のステロイドの点滴をおこなう治療です。
脱毛斑が頭部全体の25%以上で発症後6ヵ月以内の急速に進行する円形脱毛症の場合に有効だと言われています。そのため、多発融合型の場合にも用いられます。
ステロイドパルス療法は一般的に3日間の点滴治療をおこないます。入院して治療する場合もあります。
ステロイド内服療法は2~3ヵ月を目安に行われます。ステロイドの副作用として成長障害を引き起こす場合があるため、お子さんの治療では用いられません。
④局所免疫療法
局所免疫療法はかぶれを引き起こす薬(SADBE、DPCPなど)を脱毛斑に塗って皮膚炎を起こすことで治療します。1~2週間に1回おこないます。
脱毛斑が広範囲である場合や長期間持続している場合も効果があり、年齢を問わずお子さんでも治療をおこなうことができます。有効性は60%以上と言われています。そのため、多発融合型の場合にも有効性が期待でき、現在もっとも有効な円形脱毛症の治療法だといえます。
ただし、SADBE、DPCPには保険適応がないこと、頻繁の通院が必要なことなどは注意が必要です。
(2)多発融合型の円形脱毛症が治る可能性は?
多発融合型の円形脱毛症でも治る可能性はあります。治療を効果的におこなうためにも、できるだけ早めに治療することが大切です。
3.多発融合型の円形脱毛症が起きたときにしておきたいこと
(1)医師に相談する
多発融合型の円形脱毛症を認めた場合は、できるだけ早めに病院を受診して医師に相談しましょう。ほうっておくと徐々に脱毛斑が広がってしまう可能性があるため、できるだけ早い段階で治療を開始することがとても重要です。
その際に、局所免疫療法などの専門的な治療も対応している病院を受診することをおすすめします。
(2)頭皮ケアをする
毎日の生活のなかでできるセルフケアをご紹介します。
①シャンプーをするときのポイント
シャンプーによる頭皮ケアは頭皮を清潔に保ち、健康な髪の毛の成長を促すために重要です。
シャンプーをするときは爪を立てずに指の腹で頭皮まで優しく洗うようにしましょう。また、シャンプー、リンスは洗い残しがないように丁寧に流しましょう。
②マッサージの仕方
髪の毛の成長に必要な栄養は、頭皮を流れる毛細血管から供給されています。そのため、頭皮マッサージをして頭皮の血流を改善させることは髪の毛の成長にとって有効です。
両手の指の腹を頭皮に当てて、頭皮を動かすイメージで円を描くように動かしましょう。両手を移動させながら頭の下のほうから上のほうに向かって万遍なくマッサージしましょう。
(3)ストレスを溜めないようにする
精神的・肉体的ストレスが円形脱毛症の発症の引き金になる場合もあります。そのため、ストレスをためない方法として以下をおすすめします。
①趣味に打ち込む
趣味に打ち込む時間をもつことはストレスを解消するために有効です。好きなことに没頭することは生活の張り合いや楽しみになります。
忙しく過ごす中でなかなか時間をとれないこともありますが、隙間時間だとしても時間を決めて趣味に打ち込む時間を作ってみましょう。
②ウィッグなどで脱毛部分を隠す
脱毛斑があると人目がとても気になって精神的ストレスになることがあります。そのストレスによってさらに円形脱毛症が悪化するという悪循環を招くこともあります。
脱毛部分はウィッグなどで隠して目立たないようにすることはストレス解消のひとつの方法です。
4.AGA治療に関するご相談はウィルAGAクリニックへ
もし薄毛・脱毛症に関するお悩みがある場合は、お気軽にウィル AGAクリニックにお問い合わせください。
薄毛に悩む方が一人でも多く悩みから解放されるよう、
全力でサポートしていくことをお約束します。