育毛サポート成分「ビオチン」とはどんな栄養素?
美容や健康に気を使う人は「ビオチン」という名前に聞き覚えがある方もいると思います。
一般的には肌をきれいに保つ美容成分として知られていますが、ビオチンは育毛をサポートしてくれる成分でもあります。
本章では「ビオチン」に焦点を当て、どのような栄養素なのか、育毛や薄毛改善に対する効果効能、正しい摂取方法や副作用などについて総合的に見ていきます。
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ビオチンとは何か
ビオチンはビタミンの一種で、ビタミンB7、あるいはビタミンHとして称されることもありますが、「ビオチン」と表記されることが比較的多いです。
医療機関では、肌荒れやニキビに悩む患者さんに処方されることもありますし、肌トラブルだけでなく髪の健康を維持する作用もあるので、薄毛の治療を手掛けるクリニックで処方されることもあります。
ヒトの体内でも合成されますが、それだけでは必要量を補うことは難しく、食品などから取り入れる必要があります。
ビオチンを多く含む食品
ビオチンは卵黄やレバーなどに多く含まれます。
ナッツ類などにも含まれますが、植物性の食品は動物性の食品と比べると含有量が落ちる印象です。
各種食材の中でビオチンを多く含む食材をまとめて見てみましょう。
食材(100gあたり) ビオチン含有量(㎍)
鶏卵 全卵 25.4(㎍)
ウズラの卵 全卵 19.3(㎍)
にわとり肝臓 生 232.4(㎍)
ぶた スモークレバー 132.9(㎍)
牛 腎臓 89.6(㎍)
豚レバー 79.6(㎍)
牛レバー 76.1(㎍)
落花生バターピーナッツ 95.6(㎍)
ヘーゼルナッツ 81.8(㎍)
あさり 生 22.7(㎍)
ししゃも 生干し 17.9(㎍)
すけとうだら たらこ生 17.6(㎍)
しいたけ 乾燥 36.6(㎍)
きくらげ 27.0(㎍)
まいたけ 24.0(㎍)
動物性食材の中ではレバーなどの内臓系が含有量の面で秀でています。
同じ動物性でも魚介系は鶏や豚、牛由来の食材と比べると含有量が下がります。
ナッツ類の中では落花生のバターピーナッツが優秀です。キノコ類にも比較的多く含まれています。
レバー系が苦手な人も、卵やナッツなど他の食材からビオチンを摂取できるので、決して摂りづらい栄養素というわけではありません。
ビオチンと腸内の悪玉菌との関係性~ビオチンと腸内環境~
私たちの腸内では、善玉菌と悪玉菌が常に勢力争いをしています。
善玉が優勢になれば体が健康に傾きますし、悪玉が優勢になれば健康が損なわれていきます。
私たちはビタミンなどの栄養を腸から吸収しているので、腸内の悪玉菌が増えると、ビタミンを消費して欠乏症を起こすことがあります。
ビオチンも腸から吸収されるので、悪玉菌が増えるとビオチンの吸収が阻害されてしまうことになります。
腸内細菌のバランスは食生活の影響を強く受け、脂肪が多い食事をとると悪玉菌優位に傾きやすくなります。
また食事だけでなく、ストレスや抗生物質を使用した時なども腸内細菌のバランスが崩れて悪玉優位となりやすい状態が作られます。
整腸剤を摂ることで腸内細菌のバランスを良好に保つことができますが、善玉菌の一種である一部のビフィズス菌はビオチンを消費してしまうことが知られています。
逆に善玉菌の中でも酪酸菌はビオチンを増やす働きがあるので、ビオチンの摂取を考える時にはビフィズス菌を含む整腸剤よりも酪酸菌を含む整腸剤を用いるのが有効です。
ビオチンの効果・脱毛症改善に及ぼすメカニズム
ここでは育毛や薄毛改善面に対するビオチンの効能を見てみましょう。
髪の毛はアミノ酸を基にしたケラチンというたんぱく質でできています。
ビオチンはケラチンの合成を助ける作用があるので、健康な髪づくりに大切な成分です。
また髪の土台となる頭皮を健康に保ち、毛細血管の血流を促進して毛根に栄養を届けやすくする作用もあります。とはいってもビタミンの一種ですから、医薬品のような強力な発毛作用はありません。
ミノキシジルのような強い発毛作用はなく、あくまでも栄養面から健康な髪の生育をサポートする役割と考えておきましょう。
また薄毛とは直接関係しませんが、色素細胞を活性化する作用も期待でき、白髪予防の面でも期待が持てる成分です。
ビオチンの副作用・危険性
ビオチンは水様性のビタミンであるため、摂りすぎても尿として排泄されます。
過剰摂取による健康被害の報告もなく、上限値の設定はされていません。
逆に不足すると以下のような症状が出ます。
・吐き気や食欲不振
・悪心
・肌荒れ、皮膚炎
・うつ症状
・筋肉痛
・脱毛
・運動失調
・けいれん
・知覚過敏
etc
不足の無いように摂りたいものですが、「日本人の食事摂取基準2020年版」では、一日の摂取量目安は以下のようになっています。
<ビオチンの食事摂取基準 (μg/日) >
年齢: 目安量
1~2 (歳): 20(μg/日)
3~5 (歳): 20(μg/日)
6~7 (歳): 30(μg/日)
8~9 (歳): 30(μg/日)
10~11 (歳): 40(μg/日)
12~14 (歳): 50(μg/日)
15~17 (歳): 50(μg/日)
18~29 (歳): 50(μg/日)
30~49 (歳): 50(μg/日)
50~64 (歳): 50(μg/日)
65~74 (歳): 50(μg/日)
75以上 (歳): 50(μg/日)
妊婦: 50(μg/日)
授乳婦: 50(μg/日)
健康的な食生活ができていれば基本的に不足することは少ないと考えられていますが、ダイエットなどで食事面が心配という場合は医療機関でサプリメントを処方してもらうこともできます。
なおビオチンは卵黄に多く含まれますが、卵白にはビオチンの吸収を阻害する働きがあるとされているので、ビオチンの吸収に着目する場合は卵白を使用した食品をあまり多くとらないようにした方が良いでしょう。
まとめ
本章では育毛をサポートする成分「ビオチン」に焦点をあて、どのような作用を持つ栄養素なのか、育毛や薄毛にどう影響するのかについて見てきました。
ビオチンはビタミンの一種で、髪の毛の元となるケラチンの合成を促進したり、頭皮の健康維持、毛細血管の血流の確保などに寄与します。
医薬品のような強力な発毛作用はないものの、健康な髪と地肌を作るサポート役の性質を持ちます。
AGAかどうかに関わらず不足の無いように摂取したいものですし、仮にAGAの治療中であっても、治療効果を最大限に引き出すために積極的に摂取することが望まれます。