AGAは関係ない?側頭部の薄毛の原因と対処法
男性の薄毛の原因は一部の病的なものを除けばAGAによるものだという認識が強いかもしれません。
確かにAGAによるものが多いのですが、もしあなたの薄毛が側頭部で起きている場合はAGAではない可能性が高いです。
本章では側頭部の薄毛の原因や対処法、またAGAとの関係について解説していきます。
目次
結論:側頭部の薄毛はAGAと関係が低い
結論から先に述べてしまうと、AGAの発生機序は側頭部にあまり影響しません。
この理由は後で詳しく解説しますが、AGAを原因とする薄毛は主に前頭部、生え際、頭頂部で好発するもので、側頭部で起きることはほとんどありません。
もし気になっているのが側頭部だけであれば、AGAによるものではないと考えるのが自然です。
ただし、側頭部の薄毛と他の部位のAGAが同時進行で進むこともよくあります。
側頭部以外でも、前頭部や生え際、頭頂部で薄毛が進行しているならば、側頭部以外の個所ではAGAが進行していると考えて良いでしょう。
その場合、AGAの進行度合いが強いと側頭部までヘアラインが後退してきます。
次の項では、AGAによる脱毛の進行過程や進行度合いについて見ていきます。
AGAによる脱毛進行の特徴/ハミルトン・ノーウッド分類
AGAによる薄毛の進行過程をパターン化したのが「ハミルトン・ノーウッド分類」です。
薄毛治療を手掛ける医療機関では、しばしばこの指標を使って患者さんの薄毛の状態や進行度合いを説明します。
基本的にはⅠ型~Ⅶ型まであり、数値が大きくなるほどに薄毛が進行していることを表します。加えて、複数の個所で薄毛が併発するケースを考えて「Vertex型」も混在します。
以下で一つずつ説明していきます。
この分類法では基本的に薄毛は生え際付近から始まることを前提としていますが、Ⅰ型はわずかに生え際が後退し始めている段階を指します。●Ⅱ型:
生え際の後退が進み、M字のラインがよりはっきりしてきた段階です。●ⅡVertex型
生え際のライン後退に加えて、頭頂部にも薄毛が見られる状態を指します。●Ⅲ型:
頭頂部に薄毛は見られないが、Ⅱ型の生え際の薄毛が進み、前頭部のラインの後退も始まった段階です。●ⅢVertex型:
上記のⅢ型に加えて頭頂部でも薄毛が見られるようになった状態です。●Ⅳ型:
Ⅲ型が進み、生え際と前頭部のライン後退が強くなり、頭頂部でも薄毛が現れます。
●Ⅴ型:
生え際と前頭部のライン後退がさらに進み、頭頂部の薄毛ともう少しで繋がりそうだという段階です。
●Ⅵ型:
生え際及び前頭部の薄毛と頭頂部の薄毛が繋がった状態です。
●Ⅶ型:
AGAによる薄毛の最終段階です。
●Ⅵ型がさらに進み側頭部のラインにも薄毛が進行してきます。
ただし側頭部のうち耳付近と、後頭部には髪が残ります。
以上、AGAによる薄毛の進行過程を見てきましたが、側頭部については進行過程の最後に至るまで薄毛になることはないということが分かりますね。
最終段階になると側頭部付近にも影響が及びますが、基本的に側頭部はAGAの影響を受けにくい個所ということです。
なぜ影響を受けにくいのか、次の項で確認しましょう。
側頭部の薄毛がAGAと関連性が低いと考える理由
AGAによる薄毛の進行過程について前項で見てきましたが、その原因については別に押さえる必要があります。
AGAは体内で発生する男性ホルモンが毛髪の成長を阻害するために起きるのですが、男性の体内ではテストステロンという男性ホルモンが分泌されています。これ自体は薄毛を引き起こすことはないのですが、体内に存在する「5αリダクターゼ」という酵素の作用により、テストステロンが活性度の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
DHTは毛根に対して毛髪の成長を阻害する脱毛信号を発し、正常なヘアサイクルを乱して抜け毛を増やし、薄毛を進行させます。DHTの生産量は個人差もありますが思春期以降徐々に増えていくため、基本的には加齢によってAGAが進行していくことになります。
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、薄毛に対する影響力が大きいのはⅡ型とされています。そして、Ⅱ型は主に生え際に多く存在していることから、一般的に生え際の薄毛は治療がしにくいとされていますが、逆に側頭部にはほとんど存在しません。
そのため側頭部ではAGAによる薄毛は起きにくいのです。
しかし実際には側頭部で薄毛が発生している人もいるのは事実です。
次の項では側頭部で薄毛が起きる原因や対処法について見ていきます。
●AGAの原因について解説した記事:
AGAの主原因は2つ | 「遺伝」「生活習慣」を解説
●5αリダクターゼについて解説した記事:
【AGAの原因】5αリダクターゼを抑制する方法
側頭部の薄毛の原因として考えられること
側頭部の薄毛は複数の要因が考えられるので人によって原因は違ってきます。
考えられるものを以下で見ていきましょう。
①目の使い過ぎによる眼精疲労
仕事などで普段パソコンをよく使う人は目の疲れを訴える人が多いですが、一過性のものであれば休息をとることで回復します。回復が追い付かなくなると全身に悪影響を及ぼすことがあり、これを眼精疲労と言います。
眼精疲労の症状は人によって違いますが、目の周囲の筋肉が凝り固まって血行が悪くなり、目の疲れや痛み、頭痛や肩こりなどを経験する人が多いですね。
されに進むと凝りが周辺部位にまで広がります。
側頭部は目のすぐ横ですので、影響が及びやすいエリアです。
側頭部の頭皮が硬直し血行が悪くなれば、血行不良性の薄毛が起きます。
仕事の合間に目の周りをマッサージするのが有効ですが、根本的に目を休める意識も大切です。
②ストレス
過度のストレスは緊張状態を生じさせ、全身の筋肉や血管を収縮させます。
側頭部でも血の巡りが悪くなるので、頭皮マッサージを励行するほか、ストレスに長期間さらされることのないように配慮が必要です。
③喫煙
血の巡りという意味では喫煙も悪い作用をもたらします。タバコは血管の収縮作用が非常に強く、さらに習慣性があるため時間差で一日中喫煙による血管収縮が起きます。
常態的な血行不良状態をもたらすので、ぜひ禁煙に努めてください。
④生活習慣
上記以外にも、ダイエットなどでタンパク質が十分とれていないと髪の原料が不足して薄毛になることがありますし、夜更かしが習慣になると毛髪を成長させる成長ホルモンが上手く分泌されず脱毛が増えることもあります。
まとめ
本章では側頭部の薄毛について、AGAとの関係を見ながら原因や対処法を一緒に見てきました。
側頭部はAGAの影響を受けにくい個所ですので、ここだけが薄くなっているのであれば生活習慣の見直しをする、あるいは育毛剤を試してみるなどして様子を見ても良いと思います。
ただ他の部位でAGAが並行して進むこともよくあることですので、生え際や前頭部、頭頂部の毛髪が細くなり弾力がなくなってきた、あるいはすでに薄毛が気になっているという場合、AGAの可能性が高いので治療を検討するべきです。
AGAによる薄毛は市販薬では対処が難しいので、本格的な治療は医療機関への相談が望ま