脂漏性皮膚炎にヨーグルトが効果的?食事でできる対策を考えてみよう
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、頭皮に炎症が起きたりフケが発生したりする皮膚炎をさします。この皮膚炎に対して、ヨーグルトを食べると効果があるという説がありますが、本当のところはどうなのでしょうか。今回は、脂漏性皮膚炎と食事の関係について詳しく解説します。
目次
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)とはどのような病気なのか?
脂漏性皮膚炎は、乳幼児から大人まで広くみられる皮膚炎ですが、ここでは大人の脂漏性皮膚炎について詳しく解説します。
皮脂の分泌が活発な箇所(頭皮・顔面など)に湿疹ができ、皮膚がフケのようにはがれることも
脂漏性皮膚炎は、脂漏性湿疹とも呼ばれる病気です。皮脂腺が発達し、皮脂の分泌が活発な部位(髪の生え際・頭皮・眉間・おでこ・耳周り・鼻から口の周りなど)に湿疹ができ、白や黄色の脂漏が発生します。頭皮に炎症が起きて皮膚がはがれると、フケのように見えます。特に珍しい病気ではなく、皮膚科を受診される患者さんのうち2%から3%にみられます。
年齢に関係なく発症し、男性に多い
脂漏性皮膚炎は、年齢に関係なく発症し、症状の改善と悪化を繰り返すことが特徴です。40代以降で多く発症するといわれ、女性よりも男性に多くみられますが、これは男性ホルモンのひとつであるアンドロゲンが、皮脂の分泌を促進する働きを持つためだと考えられています。
AGAとはやや関係があり
脂漏性皮膚炎を発症するのは、詳しくは後述しますが、常在菌や皮脂などが関係しています。これに対し、AGAは男性ホルモンが原因で起こる症状です。AGAの原因物質ジヒドロテストステロンには皮脂腺を発達させる作用があるので、直接的ではありませんが関係はしております。
脂漏性皮膚炎を発症するときの頭皮環境は、育毛に適していない環境であるため、脱毛症を発症するリスクが高まります。
脂漏性皮膚炎の原因として考えられるのは?
脂漏性皮膚炎の原因は、はっきりしたことは分かっていませんが、主に次の原因が関与していると考えられています。原因はひとつではなく、複数の要素が関係しているといわれています。
マラセチア菌
マラセチア菌とは、人間の皮膚にいる常在菌のひとつです。皮脂を好むマラセチア菌の働きで、皮脂に含まれる「トリグリセリド」という中性脂肪が、皮膚に刺激を与える「遊離脂肪酸」という物質に分解されます。これが、皮膚炎の原因になるといわれています。
間違ったヘアケアや洗顔
髪の毛や顔の洗い方が不十分だと、皮脂が残ってしまうため、脂漏性皮膚炎につながる場合があります。
ストレスや睡眠不足
ストレスや睡眠不足が、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮脂の過剰分泌を招く場合があります。これにより、前述したマラセチア菌の動きが活発になるのです。
食生活の乱れ
毎日の食生活が乱れると、脂漏性皮膚炎を引き起こす原因になるといわれています。特に、脂質の摂りすぎやビタミンB2・B6の摂取不足などが、皮脂の分泌に大きく関わっている可能性があります。また、食事の偏りが原因で、ビタミンB2やB6が不足すると、皮脂の分泌異常を誘発します。
ヨーグルトが脂漏性皮膚炎に効果が期待できるといわれるのはなぜ?
ヨーグルトを食べると、脂漏性皮膚炎の予防効果が期待できるという説があります。医学的な根拠はありませんが、説が発祥したきっかけとして考えられるのは、ヨーグルトが人間にとって有益な栄養素を幅広く含んでいる点です。ここでは、ヨーグルトが持つ性質について、深く掘り下げてみましょう。
幅広い栄養素を多く含んでいるから
ヨーグルトには、タンパク質・炭水化物・ビタミン・エネルギー・脂質・無機質など、実に多彩な栄養素が含まれています。ヨーグルトを作るのに、牛乳に乳酸菌もしくは酵母を加えて発酵させるため、牛乳とは栄養成分が大きく異なるのです。
ヨーグルトは、効率よく栄養を摂れるため、体力回復に有効だとされており、病院食でヨーグルトが出される頻度が高いのもそのためです。また、ヨーグルトにはビタミンのほとんどが含まれており、皮膚の修復に関連するビタミンB2も含まれています。さらに、ヨーグルトは発酵食品のひとつであり、腸内環境を整える働きがあるため、免疫力が高まり皮膚炎症の抑制につながるのです。
ヨーグルトだけで皮膚炎が治療できるわけではない
ヨーグルトが、体に好影響を与えることは明確なのですが、ヨーグルトを食べただけで脂漏性皮膚炎が治療できるものではありません。あくまでも、栄養素が高い食べ物のひとつとして、意識して摂取すると良いでしょう。
脂漏性皮膚炎の症状を軽減させるには、バランスの取れた食事を摂ることが重要です。食事については、後ほど詳しく解説します。
脂漏性皮膚炎を改善するにはどうしたらいいのか?
脂漏性皮膚炎は、生活習慣の改善により、症状の軽減が期待できます。具体的に、どのように改善すれば良いのかをみてみましょう。
バランスの取れた食事を心がける
先ほど少し触れた食事について、ここで詳しく解説します。
脂質の過剰摂取は肥満の原因となり、その結果皮脂の分泌量も増えやすくなります。このため、脂質の摂りすぎには十分注意する必要があります。揚げ物など脂質の多い食事を減らすよう心がけましょう。
また、皮脂の分泌異常を防ぐために、ビタミンB2およびビタミンB6を積極的に摂るようにしましょう。それぞれのビタミンを多く含む食品には次のものが挙げられます。
ビタミンB2
魚介類 | 魚肉ソーセージ、缶詰水煮、アジの刺身など |
肉類 | レバー、ハツなど |
藻類 | 海苔、ひじき、わかめなど |
豆類 | 納豆、きな粉など |
乳製品 | チーズ、ヨーグルト、牛乳など |
卵 | 卵黄、卵白 |
野菜類 | 緑黄色野菜など |
種実類 | アーモンド、ごま、落花生、くるみなど |
ビタミンB6
野菜類 | ししとう、モロヘイヤ、切り干し大根、ブロッコリーなど |
穀類 | 白米、玄米、五穀、パスタなど |
魚介類 | カツオ、ごまさば、いわしなど |
果実類 | ごま、栗、落花生など |
脂漏部位を清潔に保つ
洗髪や洗顔などにより、脂漏部位を清潔に保つことも、予防や改善につながります。抗真菌剤を含んだシャンプー・リンス・石鹸などに変えるのもおすすめです。ただし、必要以上に洗ってしまうと、皮膚が傷つき逆効果になる恐れもあるため、十分気をつけましょう。
専門病院で塗り薬を処方してもらう
確実に症状を抑えたい場合は、皮膚科などの専門病院で、ステロイド外用剤などの塗り薬を処方してもらいましょう。症状が強いときは、抗真菌外用剤を併用する場合もあります。
脂漏性皮膚炎による頭皮環境の悪化が脱毛を招くことも
最初に紹介したように、脂漏性皮膚炎により頭皮環境が悪化すると、健康な髪の毛の成長が妨げられ、脱毛のリスクが高まるケースがあります。頭皮環境の悪化に悩む方は、AGAを発症するリスクも上がってしまうため、早い段階での治療が必要です。
脱毛のリスクを少しでも減らしたいと考えていらっしゃる方は、ぜひウィルAGAクリニックへお問い合わせください。