円形脱毛症の治療薬オルミエント(バリシチニブ)とは?効果や副作用を徹底解説!
「円形脱毛症を発症してしまった…」
「オルミエント(バリシチニブ)ってどんな治療薬?」
円形脱毛症とは円形や楕円形に毛が抜ける脱毛症で、従来の治療では改善しにくい難治性のケースもあります。そこで、新しい治療として注目を集めているのが「オルミエント(バリシチニブ)」です。
ここでは、円形脱毛症の特徴やオルミエント(バリシチニブ)の効果・注意点などを解説していきます。難治性の円形脱毛症に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
円形脱毛症とは?
円形脱毛症とは、名前の通り円形や楕円形に毛が抜ける脱毛症です。一般的には10円玉サイズの場合が多いため「10円ハゲ」とも呼ばれますが、頭部全体や体毛など広範囲に及ぶケースもあります。
円形脱毛症は、症状によって以下の5種類に分けることができます。
- 単発型(1つだけ脱毛斑ができる)
- 多発型(複数の脱毛斑ができる)
- 蛇行型(側頭部から後頭部の生え際が帯状に脱毛する)
- 全頭型(頭部が全体的に脱毛する)
- 汎発型(全身の体毛が脱毛する)
円形脱毛症の特徴
円形脱毛症の特徴や症状は、以下の通りです。当てはまる項目が多い場合は、円形脱毛症の可能性が高いです。
- 円形または楕円形の脱毛斑
- 前触れなく一気に脱毛した
- 脱毛した部分の境界が比較的はっきりしている
- 爪に小さなでこぼこがある
- アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアトピー性疾患がある
脱毛症というと、髪の毛全体が少しずつ薄くなるイメージがあるかもしれません。しかし円形脱毛症は異なり、部分的な毛が前兆なく一気に抜けます。
また円形脱毛症になると、「爪甲点状陥凹」と言って爪にぽつぽつとしたへこみが出ることがあります。爪甲点状陥凹のメカニズムや治療法については以下の記事で解説しているので、併せてお読みください。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症を発症する原因は、明確には解明されていません。原因の一つとして考えられるのは、自己免疫疾患です。
本来、免疫は私たちの身体を守るためのシステムで、細菌やウイルスなどの異物を除去してくれます。しかし、免疫に異常が起こると正常な組織を異物と認識してしまい、攻撃することがあります。これを自己免疫疾患と言います。
円形脱毛症は、自己免疫疾患によって毛根が異物として攻撃されることで発症につながると考えられています。問題ないはずの正常な毛根が炎症を起こし、髪が抜け落ちてしまうのです。
また、精神的なストレスや遺伝的な要因が関係しているケースもあります。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症の治療法の一つは、ステロイドの局所注射です。脱毛した場所にステロイドを直接注射するという方法で、高い発毛効果が期待できます。
ただし、局注部位に萎縮や疼痛を起こすことがあります。また、注射した範囲のみに効果を発揮するので、症状が広範囲に広がる場合は向いていません。
また、局所免疫療法という治療法もあります。人工的にかぶれを引き起こす物質を部位に塗ることで意図的に炎症を起こし、発毛をうながします。
一方、かゆみや蕁麻疹が生じたり、半年以上の治療期間が必要だったりするという面もあります。
参考サイト
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|公益社団法人日本皮膚科学会
円形脱毛症の新治療!オルミエント(バリシチニブ)とは?
オルミエント(バリシチニブ)とは、2022年に円形脱毛症の治療薬として適応が追加された薬です。炎症を抑える作用があり、もともとは関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療に使われていました。
オルミエント(バリシチニブ)の費用
オルミエント(バリシチニブ)の投与対象であれば、保険適用になります。
保険適用の場合、当院では1ヶ月分(オルミエント4mg 28錠)を税込37,663円でご提供しています。
費用が負担になってしまう場合は、高額療養費制度の利用をご検討ください。医療機関などで支払った額がひと月で上限額を超えた場合、超えた分の金額を支給するという制度です。
上限額は年齢や所得によって異なります。詳しくは、加入している医療保険の窓口にご相談ください。
オルミエント(バリシチニブ)が適用される人
オルミエント(バリシチニブ)を製造・販売している「日本イーライリリー株式会社」によると、投与の対象となる人は以下の通りです。
本剤投与開始時に、頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与すること
引用元:<円形脱毛症>オルミエント(バリシチニブ)の効能又は効果「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」とは?どのような患者が投与の対象か? | 医療関係者向け – 日本イーライリリー株式会社
つまり、小さい脱毛班が1つしかないような軽度の方や、発症から1ヶ月もしないうちに自然に毛が生えてきた方は、適応外となります。
円形脱毛症にはいくつかのタイプがあり、症状の深刻さも異なります。オルミエント(バリシチニブ)の適用は、脱毛範囲が広く難治の場合に限ります。
オルミエント(バリシチニブ)の効果
オルミエント(バリシチニブ)は「JAK阻害剤」とも呼ばれ、炎症や関節破壊を抑える作用があります。
円形脱毛症の主な原因は、自分の正常な毛根を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
毛根への攻撃信号を伝える「サイトカイン」という物質が過剰に作られて受容体に結合し、「JAK(ヤヌスキナーゼ)」というタンパク質を介することでシグナルが細胞核に伝えられます。その結果免疫細胞が毛根を攻撃し、脱毛するのが円形脱毛症です。
オルミエント(バリシチニブ)には、この「JAK」を阻害する作用があります。信号を伝える経路をブロックし、毛根への攻撃を軽減することから、円形脱毛症の改善効果が期待できます。
参考サイト
オルミエントについて | 関節リウマチの治療薬オルミエント
オルミエント(バリシチニブ)の効果を実感するまでの期間
オルミエント(バリシチニブ)は、服用開始から4ヶ月程度で徐々に発毛実感をされる方が多いです。ただ、お薬の効果には個人差があるため、より長い期間が必要なケースもあれば、短い期間で効果を感じられるケースも考えられます。
オルミエント(バリシチニブ)の効果を正しく発揮するためにも、服用を開始してから定期的に医師の診察を受けることが重要です。
オルミエント(バリシチニブ)の注意点
次に、オルミエント(バリシチニブ)の注意点についてお伝えします。安全に服用するためにも、以下の2点をチェックしておきましょう。
- 副作用を起こす可能性がある
- 服用が向いていないケースもある
オルミエント(バリシチニブ)の注意点①:副作用を起こす可能性がある
オルミエント(バリシチニブ)を服用すると、副作用につながることがあります。
不安に感じるかもしれませんが、治療薬である限り副作用のリスクはついて回ります。どのような症状があるのか、副作用があったらどう対処すればいいのか事前に知っておけば、不安を軽減できるでしょう。
オルミエント(バリシチニブ)の副作用は、感染症による発熱や咳のほか、帯状疱疹などが見られます。何かあった際にはすぐ医師に相談し、副作用のリスクを最小限に抑えることが重要です。
治療を開始してから症状に気づいたり、身体に違和感があったりしたら、早めにクリニックにお伝えください。
参考サイト
副作用について | 関節リウマチの治療薬オルミエント
オルミエント(バリシチニブ)の副作用①:感染症による発熱や咳
オルミエント(バリシチニブ)は免疫の働きを低下させる作用があるため、服用中は感染症のリスクが増加するおそれがあります。
発熱や咳、のどの痛み、寒気などの症状があれば、感染症に罹っているかもしれません。軽い風邪のような症状でも、念のため医師にご相談ください。
また、事前に発症を予防するために、オルミエント(バリシチニブ)の服用中は感染症対策に取り組むことをおすすめします。手洗いうがいを心掛ける、室内で過ごす場合は定期的に換気するなど、基本的なことから注意してみましょう。
オルミエント(バリシチニブ)の副作用②:帯状疱疹
感染症のほかに指摘されている副作用の一つは、「帯状疱疹」です。
帯状疱疹とは、赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れる病気です。皮膚の内側からピリピリとした痛みを伴うという特徴があり、免疫機能が低下すると発症しやすくなります。
感染症と同様、オルミエント(バリシチニブ)の免疫の働きを低下させる作用によって、帯状疱疹の発症につながります。治療が遅れると重症化したり、後遺症が残ったりするケースもあるので、症状に気がついたらすぐに医師に相談することが大切です。
オルミエント(バリシチニブ)の注意点②:服用が向いていないケースもある
オルミエント(バリシチニブ)の注意点として、服用が適していないケースもあります。難治性の円形脱毛症だからといって誰でもオルミエント(バリシチニブ)を使えるわけではないので、ご注意ください。
例えば、すでに他の薬を服用している場合は注意が必要です。治療薬がお互いに作用を強めたり弱めたりすることで、効き目に影響を及ぼす可能性があります。
中でも、「プロベネシド」という痛風(高尿酸血症)の治療薬を服用している方は、慎重になる必要があります。プロベネシドの併用により、オルミエントの作用を強くすることがあるからです。
そのほかにも、以下のケースは注意が必要になる可能性があるため、当てはまる場合は医師にご相談ください。
- 薬や食べ物で、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出たことがある方
- 敗血症などの重篤な感染症、活動性結核、腎機能障害、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン値減少がある方
- B型肝炎の方
- 帯状疱疹に罹ったことがある方
- 妊娠中や授乳中の方、妊娠している可能性がある方
オルミエント以外の円形脱毛症の治療については下記記事でも紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
参考サイト
副作用について | 関節リウマチの治療薬オルミエント
薄毛・AGAにお悩みの方はウィルAGAクリニックにご相談ください
オルミエント(バリシチニブ)の効果や注意点についてお伝えしました。
オルミエント(バリシチニブ)は、脱毛範囲が広く難治の円形脱毛症に適用される薬です。副作用などの注意点もありますが、新しい治療の選択肢として注目されています。
難治性の円形脱毛症に悩んでいる場合は、服用を検討してみてはいかがでしょうか。
ウィルAGAクリニックは、薄毛・AGA治療専門のクリニックとして豊富な治療実績があります。髪の悩みを本気で治したい方は、ぜひ当院にご来院ください。
【ウィルAGAクリニック表参道院】オルミエント治療の流れ
ウィルAGAクリニックでは、表参道院限定でオルミエント治療を取り扱っています。
従来の治療法では効果がなかった方や、再発を何度も繰り返している方は、ぜひ当院にご相談ください。
予約は、WEB・LINE・お電話から可能です。当日は問診表を記入していただいた後、医師による無料頭皮診断を行います。
その後、無料カウンセリングで悩みや疑問を解決し、適切な治療計画を提案いたします。治療は決して強制せず、患者様がご納得されたうえで治療を始めているため、ご安心ください。
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【よくある質問】
円形脱毛症の治療法は、ステロイドの局所注射や局所免疫療法のほか、オルミエント(バリシチニブ)の服用が挙げられます。
オルミエント(バリシチニブ)とは、炎症を抑える作用がある薬です。
もともとは関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療に使われていましたが、2022年には円形脱毛症の治療薬として適応が追加されました。