薄毛は病院で治療できる?治療の種類や効果・コスト感等の疑問を一挙解説
株式会社マクロミルが2018年に行ったアンケートによると、15~49歳の男性のおよそ20%が、「頭髪の薄毛」に悩んでいるとされています。
また男性だけでなく、女性の薄毛も増加しているという話もあり、男女問わず多くの人が薄毛の悩みを抱えています。
そんな近年、人気を高めているのが、医療機関による薄毛治療です。
医師による治療を行える点が大きなポイント。
しかしその一方で、「本当に効果があるのか」「価格はどの程度なのだろうか…」と、疑問に思うことも多いかと思います。
そこでこの記事では、薄毛のメカニズム・治療の種類や費用感など、薄毛治療に関するよくある疑問をまとめて解説しました。
薄毛治療を検討している方はぜひ、ご参考ください。
【Youtubeでも解説中!】
Dr.シュンの発毛チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=WM3-m8R2MYc
1.なぜ抜ける?「薄毛」のメカニズム
近年よく使われているAGA(男性型脱毛症)をはじめとする薄毛は、「ヘアサイクル」と呼ばれる髪の毛の生え変わり周期の異常が原因で発症します。
まずはそのメカニズムから解説していきましょう。
(1)髪の毛が生える仕組み
髪の毛の成長には、①休止期、②成長期、③退行期という3つの周期があり、これを繰り返すことで髪が抜けかわっていきます。これをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。各サイクルの詳細は以下の通りです。
①休止期:古い髪が抜け、新しい髪が生え始める時期
②成長期:生えた髪が太く長く成長する時期
③退行期:髪の成長が止まり、生え変わる準備を始める時期
生えている髪のおよそ90%が、②の成長期だといわれています。
この成長期のサイクルは通常2年~6年。つまり、健康な状態であれば、一度生えた髪は、短くても2年は抜けないことになります。
ところがこのサイクルに異常が発生すると、髪が十分に成長をしないまま、わずか3か月程度で抜け落ちるようになってしまいます。
抜けかわりの周期が早まるため。残った毛は細く・短いものが大半に。
これがいわゆる「薄毛」と呼ばれる状態です。
さらに薄毛の状態が続くと、髪の毛を生やす「毛包」と呼ばれる器官そのものが縮小し、髪が生えてこなくなってしまいます。
(2)薄毛の主な原因は男性ホルモン
こうしたヘアサイクルの乱れの主な原因が、男性ホルモンです。
先ほどの説明した髪の「休止期」「成長期」「退行期」の切り替えは主に、髪の根本にある「毛乳頭細胞」が行っています。
この毛乳頭細胞の制御に関わるのが、男性ホルモン。なかでもテストステロンという物質が、髪の成長に強い影響を及ぼすことがわかっています。
血管から毛乳頭細胞に取り込まれたテストステロンは「5αリダクターゼ」という酵素によって、「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれるものに変化します。
このジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞に作用することで、頭髪の成長を抑制してしまうのです。
(3)脱毛症の種類
男性ホルモン由来のもの以外にも、脱毛症にはいくつかの種類が存在します。順に解説していきましょう。
①AGA(男性型脱毛症)
先ほど解説した「DHT(ジヒドロテストステロン)」が原因となって引き起こされる脱毛症です。主として男性が発症します。
②FAGA(女性型脱毛症)
こちらは女性に起きるタイプの脱毛症で、こちらは主として、「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの減少によって引き起こされるとされています。
AGAが生え際や頭頂部を起点に進むのに対し、FAGAは頭髪全体が薄くなっていく「びまん性脱毛」となる点が多い点も特徴です。
③円形脱毛症
文字通り、頭髪の一部が円形に抜ける症状です。
こちらは性ホルモンではなく、自己免疫機能の異常が原因となって起きるとされています。
Tリンパ球などの免疫細胞が健康な毛根を攻撃してしまうことで、このような脱毛となります。原因はさまざまで、ストレスや甲状腺疾患などによって発症します。
また、出産などによる急激なホルモンバランスの変化によっても、円形脱毛症となる場合があります。
④栄養失調
毛髪の元となるタンパク質や、亜鉛・鉄といったミネラルの不足によって、髪が十分に育つことができず、薄毛になってしまうケースもあります。
極端な食生活や急激なダイエットなどが主な原因となります。
特に近年では、炭水化物中心の食生活で、栄養が偏りがち。「食事はとっているのに栄養不足」……という場合もあります。
これらの脱毛症はいずれも、規則正しい生活やバランスのよい食生活によって、ある程度は改善していくことができますが、病院ではこれに加えて、薬剤の処方や様々な治療を行うことが可能です。
次の章で詳しく解説をしていきましょう。
2.薄毛治療にはどんなものがある?種類と効果まとめ
薄毛(AGAとFAGA)の治療にはさまざまなものがあり、 それぞれ特徴や注意点が異なります。それぞれ見ていきましょう。
(1)治療方法の種類
薄毛治療には、薬を飲んだり(内服)、薬を頭皮に塗ったり(外用)するほか、LEDレーザーの照射や、成長因子を注入して毛根の再生を促すものなど、さまざまな種類があります。
多くの脱毛症治療では、これらの中から複数のものを組み合わせて治療を行ってゆきます。
その特徴などについて、大まかに以下の表にまとめました。
方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
内服薬 | 薬を服用することで治療を行う方法。
フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルなどといったものがある。 |
副作用が出る場合がある |
外用薬 | 薬を塗ることによって治療を行う方法。
ミノキシジル・アデノシンとったものがある。 |
塗りムラなどにより、効果に個人差が出る場合がある |
メソセラピー | 毛髪の成長因子となる物質を頭皮に注入し、治療を行う方法。
注入するものは外用薬のほか、乳歯幹細胞由来や脂肪幹細胞由来の成長因子などがある。 |
特殊な治療になるので医師の説明を十分受ける必要がある |
PRP療法 | 毛髪再生医療の一種。
患者自身の血液から採取した「多血小板血漿」を頭皮に注入したり、塗ったりする方法。 |
特殊な治療になるので医師の説明を十分受ける必要がある
厚生労働省の認可が必要であり、対応できる機関が少ない |
自毛植毛 | 自分の髪の毛を薄くなっている部分に移植する方法。
毛根がない部位にも移植が可能 |
治療費がやや高額
植毛の傷跡が残る 移植できる毛の量に限界がある |
かつら | 人工毛によるかつらを薄毛部分にかぶせる方法 | 着脱の煩雑さや定期的なメンテナンスの必要性 |
LEDレーザー治療 | LEDレーザーの照射により、血流改善と毛乳頭細胞活性化作用を得る。 | 治療費が高額になることがある
個人差が大きい、効果はマイルド |
薄毛の治療は、こうした治療法を組み合わせて実施をしていきます。
そのほか、各医院で独自の治療法を提供している場合もあります。
Wil AGAクリニックでは、300種類以上の成長因子や、エクソソームと呼ばれる細胞や組織に働きかけるメッセージ物質をブレンドしたものを頭皮に注入する「LHDV頭皮注入治療」をご提供しています。
(2)薬の種類
脱毛症に処方される薬にもいくつかの種類があり、主だった効果があるものについては、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」にまとめられています。
薬には内服薬と外用薬があり、その効果としてはおおむね
①薄毛の原因となるジヒドロテストステロンを生み出す5αリダクターゼの生成を抑制するもの
②血行の改善などにより、頭髪の成長を促進させるもの
のふたつに分かれます。
男性ホルモンが大きな原因であるAGAには、主に①が処方されますが、女性の薄毛治療などの場合は②を使った治療が主となります。
代表的なものの効果と注意点について、下記の通り表にまとめました。
方法 | 効果 | 注意点 |
---|---|---|
フィナステリド(プロペシア) | ジヒドロテストステロンを生み出す5αリダクターゼの生成を阻害する。 | 女性に効果なし。また妊娠中の女性は服用してはいけない。
性欲減退などの副作用が発生するリスクがある。 毛根がない箇所の髪は再生しない。 |
デュタステリド | ジヒドロテストステロンを生み出す5αリダクターゼの生成を阻害する。
フィナステリドよりも作用する酵素の種類が多く、増毛効果もある |
女性に効果なし。また妊娠中の女性は服用してはいけない。
勃起不全・肝機能障害などの副作用が発生するリスクがある。 毛根がない箇所の髪は再生しない。 |
ミノキシジル | 頭皮の血流を改善し、髪の成長を促進する | 男女双方が使用可能。
内服はNGとされているが、近年は安全性を確認した論文も発表されている。 |
そのほかにも、アデノシン、カルブロニウム塩化物、t-フラバノンなどといった様々なものがあります。
(2)薬を扱う際の注意点
特に注意が必要なのは、フィナステリド・デュタステリドの扱いです。
こちらはいずれも男性ホルモン由来であるジヒドロテストステロンを抑制するものであるため、男性にしか効果がありません。
さらに妊婦の場合は、胎児の発達に悪影響を及ぼす危険があるため、服用は絶対してはいけません。
これらの薬剤は皮膚からも吸収されるため、妊娠中の人がいる家庭では慎重に取り扱うようにしましょう。
また、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、ミノキシジルは頭皮に塗って使う薬品であり、内服は推奨しないとされています。
しかし、2020年9月の海外の論文では、ミノキシジル5mg内服の有効性と安全性について触れているものも出てきております。([Efficacy and Safety of oral minoxidil 5mg once daily in the treatment of male patiens with androgenetic alopecia])。
個人輸入でタブレットを飲む等の行為には危険が伴いますが、医師の監修のもと処方される限りでは、一定の安全性はあると言えるでしょう。
医院のスタンスによって見解が分かれる部分はありますが、実際に治療を行う中でもミノキシジル内服は外用に比べて効果があるため、当院としては内服を推奨しています、
3.薄毛治療のよくある疑問Q&A
最後に、薄毛治療について、多くの人が抱きがちな疑問について回答をしていきましょう。
Q:治療開始からどれくらいの期間で効果が実感できますか?
A:最も早い人だと、3カ月ぐらいで効果を実感できます。ただ一般的には6カ月ほどかかるとされています。
ただやはり個人差はあり、1年以上続けても効果が出ない場合もあります。また、医学的に「効果があった」と認められる場合でも、ご本人様から見て「効果がない」と感じるケースもあります。
こうしたリスクや肌感については、事前のカウンセリングでしっかりとすり合わせておくようにしましょう。
Q:薄毛治療は、医療機関(クリニック)で行うのに、なぜ公的医療保険が使えないのですか?
A:クリニックで薄毛治療を受けても、健康保険などの公的医療保険を使うことはできません。公的医療保険を使うことができる治療の種類は厚生労働省が定めていて、薄毛治療はその対象から外れているからです。
Q:薄毛治療の費用はどのくらいですか?
A:薄毛治療の治療費は定まっていないため、クリニックや行う治療法によって費用はまちまちです。
一般的な相場としては、内服薬を使った治療で1カ月1〜2万円程度。
これにメソセラピーなどを組み合わせると、1回(1か月)あたり4~12万円程度が大まかな費用感となります。
一方で、選ぶ治療法は、症状のタイプや進行度合い、患者様の希望によっても変わってくるため、ケース・バイ・ケースとなるのが実情です。
近年では、相談料やカウンセリング費用、初診料を取っていないクリニックも増えています。
薄毛治療は長く付き合っていくものですので、費用感も含め、しっかりとクリニックと話し合ってから始めるようにしましょう。
Q:治療を中断すると元に戻ってしまいますか?
A:基本的には、中断すると効果は失われる一方、2年以上を目安として治療を長く継続するほど、中断時の定着率も上がる傾向があります。
4.薄毛治療に関するご相談はウィル AGA クリニックへ
薄毛治療をはじめとする美容医療には様々な種類があり、またどうしても原理は専門的なものとなりがち。「よくわからない」「本当に効果があるのだろうか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そんな場合は、まずお近くのクリニックと相談することから始めてみてください。
ウィル AGAクリニックでは、薄毛に悩む方が一人でも多く悩みから解放されるよう、
全力でサポートしていくことをお約束します。