薄毛改善にイソフラボンが有効?効果や作用機序、摂取量などをまとめて解説!
薄毛の本格的な治療は医療機関で行うべきですが、将来の薄毛を予防したい、あるいは本格的な治療と併用して治療効果をより高めたいということであれば、日常で摂取できる成分で有効なものもいつくか存在します。
その一つに「イソフラボン」がありますが、この有効性を享受するには作用や効果、正しい摂取方法を知っておく必要があります。
本章ではイソフラボンの効果や脱毛改善に係るメカニズム、摂取量や副作用などについて総合的に解説していきます。
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目次
イソフラボンとは?
イソフラボンはポリフェノールの一種で、多くの植物に含まれる天然成分です。
ポリフェノールにはイソフラボン以外にもカテキンやアントシアニンなど複数の種類があり、それぞれ効果や効能が異なります。
例えばお茶などに多く含まれるカテキンはコレステロールを下げたり血圧を下げる作用がありますが、イソフラボンは女性ホルモンと似たような働きをすることが知られています。
そのため、女性の更年期障害の症状軽減などを目的にイソフラボンの摂取を考える人も多いようです。
女性ホルモンと似た働きをする作用を利用して薄毛の予防や改善に用いられることもあり、女性だけでなく男性もその恩恵を受け取ることができます。
次の項では、イソフラボンが多く含まれる食品について見てみましょう。
イソフラボンを多く含む食品
イソフラボンが多く含まれる食材はズバリ「大豆製品」です。
内閣府食品安全委員会による食品検査では、以下の食品100g中に含まれるイソフラボンの量が検査されています。
(大豆イソフラボンアグリコンとしてmg/100g)
大豆(11検体): 140.4 mg
煮大豆(3検体): 72.1 mg
揚げ大豆(1検体): 200.7 mg
黄粉(2検体): 266.2 mg
豆腐(4検体): 20.3 mg
凍り豆腐(1検体): 88.5 mg
おから(1検体): 10.5 mg
金山寺みそ(1検体): 12.8 mg
油揚げ類(3検体): 39.2 mg
納豆(2検体): 73.5 mg
味噌(8検体): 49.7 mg
醤油(8検体): 0.9 mg
豆乳(3検体): 24.8 mg
食材の別によって上記のように含有量に違いが出ますが、イソフラボンは大豆の中でも胚芽部分に特に多く含まれています。
大豆をまるまる使用した食材にイソフラボンが多く含まれることが分かりますね。
好ましい摂取量については後述しますが、その前にイソフラボンの脱毛症状改善に関するメカニズムや効果について確認しておきましょう。
イソフラボンの効果と脱毛症状改善に及ぼすメカニズム
イソフラボンは女性ホルモンと似た作用があるとお話ししましたが、これこそが薄毛の予防や改善に大切な役割を果たすものです。
女性は男性よりも薄毛になりにくいことが知られていますが、これは女性ホルモンが薄毛を引き起こす男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」の生産を抑制してくれるからです。
元々、女性も男性ほどではありませんがテストステロンという男性ホルモンを分泌しています。
環境や体調、生活習慣などによって多少のテストステロンがDHTに変換されることもありますが、若く健康な女性の場合はそれでも女性ホルモンの量が圧倒的に多いので、男性ホルモンの影響を弱めてくれるため薄毛にはならないのです。
しかし閉経後など更年期を過ぎると、女性ホルモンの分泌量が減ってしまうので、女性でも薄毛になることがあります。
これが男性の場合、生涯を通して若いうちから男性ホルモン分泌量が多く、この影響を抑えてくれる女性ホルモンの量が少ないので、若いうちから薄毛になりやすいのです。
そこで、男性は若いうちから、女性は閉経後など女性ホルモンの分泌量が減ってきたタイミングで、薄毛を予防するため、あるいは軽度の薄毛改善作用を期待して、イソフラボンのサプリメントを導入する人もいます。
普段の食事で食品から十分接種できていればよいと考えることもできますが、イソフラボンは食品から摂取したとしても、体内で吸収されないと有効に活用できません。
単純に大豆製品を取っていればよいというわけでもないので、これについて次の項で見ていきます。
イソフラボンの「グリコシド型」と「アグリコン型」について
食材に含まれるイソフラボンの多くは「グリコシド型」と呼ばれるものです。
このタイプはイソフラボンに糖がくっついており分子が大きい状態です。
この状態では体内に吸収されないため、せっかくのイソフラボンの有用作用の恩恵を受けることができません。
くっついている糖が分離されると「アグリコン型」のイソフラボンとなり、分子が小さくなるので体に吸収することができるようになります。
グリコシド型をアグリコン型のイソフラボンに変化させるには腸内細菌の力が必要で、糖をうまく分解することができればアグリコン型のイソフラボンを多く作り出せます。
ただ、腸内細菌の状態は人によって個人差が激しいので、効率よくアグリコン型イソフラボンを作り出すことができない人もいます。
こうした人は大豆製品を摂取したとしても、イソフラボンの有用な作用を発揮できないということになります。
その場合でも、アグリコン型のイソフラボンサプリメントを利用することで、体内で吸収できるイソフラボンを摂取することができます。
イソフラボンの摂り方
一日に摂取すべきイソフラボンの推奨量(どれだけ取るべきか)に公的な指標はありませんが、安全性を考慮した上限値として一日75mg程度とする指標が厚生労働省から出されています。
先に挙げた大豆食品のイソフラボン含有量の表で行くと、例えば豆腐一丁は300mgほどですから、これだけで一日の上限値近くにまでいく計算です。
また納豆は1パック50g程度ですから、2パックで上限値近くにまでいく計算になります。
75mgを超えたからといって直ちに健康に影響が出るわけではありませんが、一応の安全ラインとして考えておくと良いでしょう。
元々日本人の食生活においては、イソフラボンを多く含む大豆由来の食品が日常の食事で取り入れられているので、基本的に不足することは少ないと考えられています。しかし、体内で効率よく吸収できるかどうかは個人差も大きく、サプリメントなどで取り入れたいという需要もあることは確かです。
先述の食品安全員会及び厚生労働省では、イソフラボンの摂取量、摂取方法について一定の指針を公表しています。一日のイソフラボン(体内で吸収できるアグリコン型として)摂取量について、特定健康保険食品からの摂取は一日30mgに止めることを推奨しています。
残りの45mgについては食事からとれるという考え方で、サプリメントは「上乗せ摂取」という表現で説明されています。サプリメントを利用する場合は、安全を考えて一日の摂取量を30mgに止めるようにしましょう。
イソフラボンの副作用・危険性
ここではイソフラボンの副作用や危険性について考えてみましょう。
日本においてはこれまで、大豆食品を多量に摂取することによる健康被害を指標とした検証はされていないため、副作用や危険性についてはっきりとは分かっていません。
それでも、巷で聞かれることがある思わしくない症状はいくつかありますから、大豆製品の特性やイソフラボンの作用、効果から推測してみます。
①下痢をしやすくなる
大豆には食物繊維が多く含まれているので、元々下痢体質の人は便が柔らかくなる可能性があります。
②太りやすくなる
大豆製品は意外とカロリーが高く、豆腐一丁のカロリーは200kcalほどもあります。
食べ過ぎるとカロリー過多で太ってしまう可能性は十分あります。
③肌荒れ
女性ホルモンはコラーゲンの生成を促す作用があり、肌を整える作用があります。
イソフラボンも女性ホルモン様作用によって同様の効果をもたらすことが期待できるので、基本的には肌荒れに傾くことはないものと考えます。
ただしイソフラボンを取りすぎてホルモンバランスが崩れるなどした場合がありえます。ホルモンバランスが崩れると、肌にも悪い影響が出る可能性は否定できません。
④がんのリスク
食品安全委員会に設置された新開発食品専門調査会における安全性評価では、女性ホルモンのエストロゲンに感受性の高い乳がんの発生リスクを高める研究結果の報告はないとしいています。
むしろ、国立がん研究センターの予防研究グループによる報告では、大豆製品の摂取によって乳がんのリスクが低減したと述べています。なおイソフラボンとの同時摂取が危険視されているものは今のところ確認できません。
全体として、食品安全員会は食事面ではイソフラボンの摂取よりも栄養バランスを考えた食事内容にすることを推奨していますし、科学的な安全性については未知数の部分も多いことから、当面は厚生労働省が示している一日の上限量75mgを基準にするのが安全と思われます。
まとめ
本章では薄毛の予防改善に期待が持てるイソフラボンについて取り上げ、効果や作用のメカニズム、副作用のリスクなどについて見てきました。
女性ホルモンと似た作用を持つことから、抗AGA作用が期待できるので、日常の食卓にはぜひ大豆製品を取り入れるようにしたいものです。
吸収効率の面で個人差が大きいことから、すでに薄毛の心配が出てきた人は一度サプリメントを試してみても良いと思います。
サプリメントで取る場合は一日30mgに止めることが推奨されているので、取り過ぎないように注意しておきましょう。