円形脱毛症の蛇行型はどのような症状が出る? 治療方法についても解説

公開日 / 2021.01.27 更新日 / 2024.08.15


円形脱毛症には蛇行型と呼ばれる種類があります。
脱毛斑が1つの単発型より症状の重い円形脱毛症です。

そのため、蛇行型は単発型より治りにくいと考えられています。
今回は蛇行型について、以下の内容を中心に詳しく解説していきます。

【今回解説すること】
・どのような症状なのか
・回復は期待できるのか
・どのような治療方法があるのか

円形脱毛症の原因や補助療法についてもあわせて解説するため、気になる症状がある方は参考にしてください。

【Youtubeでも解説中!】
Dr.シュンの発毛チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=WM3-m8R2MYc

1.円形脱毛症の蛇行型はどんな症状なのか

円形脱毛症の蛇行型は、側頭部から後頭部の生え際が帯状に脱毛する症状です。
まるで蛇のように脱毛範囲が広がっていきます。

丸い形をした1つの脱毛斑から複数の脱毛斑となり、蛇行型へと進行するパターンが見られます。

AGA(男性型脱毛症)では額の生え際や頭頂部から髪の毛が薄くなります。
少しずつ症状が進行していくのが、AGAの特徴です。

しかし、円形脱毛症では急激に髪の毛が抜け、脱毛斑が出る場合があります。

また、自然に抜けた髪の毛と違い、円形脱毛症で抜けた髪の毛には毛根が付いていないことがあります。
毛根のない抜け毛が急に増えたときは、円形脱毛症に注意が必要です。

(1)蛇行型の症状は円形脱毛症の中でも少ない

円形脱毛症には蛇行型の他、以下のような症状があります。

【円形脱毛症の症状】

・単発型(1つの脱毛斑)
・多発型(複数の脱毛斑)
・全頭型(頭部全体的に脱毛)
・汎発型(全身の体毛が脱毛)

円形脱毛症の症状のうち、最も多いのが単発型です。
蛇行型の発症は少ないケースとなるものの、悩みが大きくなりがちです。

(2)円形脱毛症はどのような原因で発症するのか

円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患の説が有力です。

【円形脱毛症の発症】

リンパ球(病原体や異物を排除する)が毛包(毛を産生する器官)を攻撃する
毛包がダメージを受ける
脱毛が進む

ダメージを受けた毛包は、太く長く髪の毛を成長させるのが難しくなります。
そのため、髪の毛が成長の途中で切れる、抜けることが多いです。

また、精神的なストレスは根拠がなく、原因となるのかどうかハッキリしていません。

(3)円形脱毛症の蛇行型は合併率が高い

円形脱毛症では、以下の自己免疫疾患と合併することがあります。

【合併しやすい自己免疫疾患】

・バセドウ病(甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺疾患の1つ)
・橋本病(甲状腺に慢性の炎症が生じる甲状腺疾患の1つ)
・尋常性白斑(一部の皮膚の色が白く抜ける)
・全身性エリテマトーデス(自己免疫が全身の組織や臓器を攻撃する膠原病の1つ)
・関節リウマチ(関節に慢性の炎症が生じ、進行すると骨や軟骨が壊される)

上記の自己免疫疾患のうち、甲状腺疾患は8%、尋常性白斑は4%の合併率です。
自己免疫疾患の他、円形脱毛症では以下のアトピー性疾患を合併することがあります。

【合併しやすいアトピー性疾患】

・気管支喘息(気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなる)
・アトピー性皮膚炎(かゆみのある湿疹が繰り返し見られる)
・アレルギー性鼻炎(アレルギー物質が鼻の粘膜を刺激し、アレルギー症状を引き起こす)

アトピー性疾患の合併で特に多いのが、アトピー性皮膚炎(23%)です。

円形脱毛症の症状が重い方ほど、アトピー性疾患を合併しやすい傾向があります。
そのため、蛇行型の合併率は比較的高いです。

参照:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

2.円形脱毛症の蛇行型は回復するのか

円形脱毛症は症状が重い方ほど、治りにくいです。
米国のAA評価ガイドラインでは、以下の指標で症状の重さを分かりやすくしています。

【症状の重さが分かる指標】

指標 脱毛面積
S0 脱毛なし
S1 25%未満
S2 25~49%
S3 50~74%
S4 75~99%
S5 100%(全頭型)
B0 頭部以外の脱毛なし
B1 頭部以外に部分的な脱毛
B2 全身全て脱毛(汎発型)

SとBの両方で数字が大きくなるほど、円形脱毛症の症状が重いことを表します。
一般的には脱毛面積25%以上で治りにくい重い症状です。

蛇行型では脱毛面積がまだ低めであっても、脱毛面積25%以上の重い症状として取扱うことがあります。

症状が軽い単発型の場合、約80%の方で1年以内の回復が期待できます。

しかし、蛇行型は治療を受けても治療期間が長くなりやすいです。
場合によっては治療期間が数年にわたることがあります。

ただし、根気強く治療を続ければ蛇行型の症状でも回復が期待できるため、最初からあきらめる必要はありません。

参照:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

3.蛇行型の円形脱毛症を回復させたいときの治療方法


円形脱毛症の蛇行型に有効と考えられているのが、以下の治療方法です。

【蛇行型の回復が期待できる主な治療方法】

・局所免疫療法
・補助療法

どのような治療方法なのか、以下に紹介します。

(1)症状の重い円形脱毛症に適している局所免疫療法

通常の治療を続けても、なかなか効果が出ない重い症状に適しているのが、局所免疫療法です。
局所免疫療法が適している円形脱毛症の症状は以下をご覧ください。

【局所免疫療法が適している症状】

・S2(脱毛面積25~49%) 以上の多発型
・全頭型
・汎発型

SADBE、またはDPCPの物質を頭皮に塗布し、人工的にかぶれを起こして治療するのが局所免疫療法です。

発毛がはじまっても、3週間~4週間に1度を目安に治療を続けます。
局所免疫療法では年齢問わずに治療可能です。

①局所免疫療法の有効性や発毛がはじまるまでの期間について

治りにくい円形脱毛症の場合、局所免疫療法の有効性や発毛がはじまるまでの期間には、以下の報告が見られます。

【局所免疫療法で見られる報告】

・治療の有効性は45.6%
・発毛がはじまるまでの目安は1か月半~11か月(平均4.7か月)

※個人差や症状によって異なる

局所免疫療法は発毛が期待できる治療方法ではあるものの、必ず100%有効なわけではありません。
発毛がはじまるまで一定以上の期間がかかるため、辛抱強く続けることが大切です。

参照:https://ci.nii.ac.jp/naid/120003001138

参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/111/10/111_1489/_article/-char/ja/

②局所免疫療法の注意点について

局所免疫療法を受けるときは、以下の合併疾患に注意してください。

【注意したい合併の疾患】

・甲状腺疾患→治療の効果が低くなる恐れ
・アトピー性皮膚炎→合併しているほうの症状が悪くなる恐れ

他にも局所免疫療法には接触皮膚炎や頭痛、倦怠感、蕁麻疹、色素沈着などの副作用があります。

SADBEとDPCPで期待できる効果はほぼ同じと考えられています。
しかし、SADBEのほうが接触皮膚炎の副作用が出やすいです。

気になる副作用が出たときは、すぐに医師に診てもらってください。

また、局所免疫療法は保険適用外です。
(治療費は全額自己負担)治療費は病院・クリニックによって異なります。

そのため、病院やクリニックの公式ホームページや問い合わせなどで、局所免疫療法の治療費をよく確認してください。

(2)円形脱毛症の補助療法

円形脱毛症を治療する際、以下の補助療法が用いられることがあります。

【主な補助療法】

・冷却療法(ドライアイスや液体窒素などで冷却し、免疫細胞の働きを抑える)
・PUVA療法(ソラレン薬剤を投与し、紫外線を照射して免疫反応を抑える)
・抗ヒスタミン薬の内服(アレルギー反応を抑える)
・カルプロニウム塩化物の外用(血管を拡張させる)
・セファランチンの内服(アレルギーを抑える・血管を拡張させる)

局所免疫療法と抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン)の併用は、以下の方に有効との報告があります。

【局所免疫療法と抗ヒスタミン薬の併用が有効な方】

・アトピー素因(アレルギー体質の方)がある
・脱毛面積50%以上である

円形脱毛症の症状によって、適切な治療方法が異なります。
医師によって治療方針に違いがあることが多いです。

どの治療方法がよいのか、分からないときは医師と相談しながら、自分の症状にあった治療方法を決めていくとよいです。

参照:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

4.AGAに関するご相談はウィル AGA クリニック

もし薄毛・脱毛症に関するお悩みがある場合は、お気軽にウィル AGAクリニックにお問い合わせください。

薄毛に悩む方が一人でも多く悩みから解放されるよう、
全力でサポートしていくことをお約束します。

この記事の監修者
宮内 俊
ウィルAGAクリニック

多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

ドクター紹介 +

多数のAGA患者の治療実績から生まれた独自の発毛理論をもとに、表参道ウィルAGAクリニック開院。 2018年5月ウィルAGAクリニックに改名し、全国に展開。千葉大学医学部卒。

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