薄毛が気になったら「ヘアサイクルの基礎知識」を身につけよう
薄毛が気になり始めたら「ヘアサイクル」の基礎知識を身につけてください。
今は薄毛でなくても「年を取るまでフサフサでいたい」と強く思っている人は、ヘアサイクルの知識は欠かせません。
なぜなら、薄毛のメカニズムにも、薄毛治療にも、薄毛対策にも、ヘアサイクルが関わってくるからです。
つまりヘアサイクルの知識を持っていないと、薄毛のことも薄毛治療のことも、なぜ今その薄毛対策が必要なのかも、理解できないでしょう。
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目次
ヘアサイクルの基本:抜けること自体は正常
髪の毛のメカニズムや薄毛対策で重要なポイントは、髪の毛が抜けること自体は正常な営みである、という点です。
どれほど健康な髪の毛でも、必ず抜けます。健康な頭髪でも、1日50~100本は抜け落ちています。
100本というと大きな数字に感じるかもしれませんが、髪の毛が生えたり成長したりするスピードはそれより速いので、健康な頭髪は薄毛になりません。
「生えて、成長して、抜けて、生える」このサイクルが、ヘアサイクルです。
そして、ヘアサイクルの流れに支障が起きるとき、薄毛に向かって進んでしまいます。
ヘアサイクルの期間は「3~6年プラスアルファ」
それではヘアサイクルを詳しくみていきましょう。
ヘアサイクルは「成長期、退行期、休止期」と進んでいきます。1サイクルの期間は「3~6年プラスアルファ」です。
成長期のなかに髪の毛の誕生が含まれ、休止期の終わりに抜け落ちます。
成長期:3~6年
成長期の最初期は、毛孔(毛穴)の奥の毛根部という場所で、新しい髪の毛が誕生します。そして、その新しい髪の毛に押し出される形で、休止期の最終盤を迎えた古い髪の毛が抜けていきます。「始まりと終わり」が同時に訪れて、成長期がスタートするわけです。
髪の毛は成長期の期間に、長く太くなります。成長期の期間は、男性は大体3~5年、女性は4~6年とされています。
ヘアサイクルの全期間の90%以上は成長期になります。今生えている頭髪の90%は成長期にある、ともいえます。
退行期:数週間
成長期が終わると退行期に入ります。長くなったり太くなったりする成長が止まり、抜けるのを待ちます。
退行期は数週間あります。
休止期:数カ月
退行期が終わると休止期に入り、ここでは抜ける準備に入ります。そして毛根部では、新しい髪の毛が生える準備を始めています。
休止期は数カ月で、その終わりに抜け落ちます。
ヘアサイクルに支障が起きると薄毛になる
薄毛にはさまざまな原因がありますが、最大の要因は、ヘアサイクルに支障が起きることです。
例えば、成長期に支障が起きれば、髪の毛は長くならず、太くなりません。短くて細い毛ばかりでは、頭皮の地肌が見えてしまうので薄毛状態になってしまいます。
また、成長期が短くなると、早めに退行期や休止期に入り、抜ける準備が整ってしまいます。しかし、新しい髪の毛はそれほど早く準備ができないので、古い髪の毛が抜けているのに、新しい髪の毛が誕生しない状態になります。
これも頭皮の地肌を露呈させ、薄毛になります。
なぜヘアサイクルに支障が起きるのか
なぜヘアサイクルに支障が起きるのでしょうか。
その原因は1つではなく、複数の要因が重なって薄毛になっていきます。
血行の悪化がヘアサイクルを乱す
例えば血行が悪くなると、髪の毛の細胞に栄養と酸素が届きにくくなります。髪の毛の細胞は、人の細胞のなかでも特に激しく細胞分裂を繰り返すので、大量の栄養と酸素を必要とします。それだけに髪の毛は、血行の悪化の影響が顕著に現れやすいといえます。
喫煙習慣があると血行が悪くなるので、それで「煙草を吸うと薄毛になりやすい」といわれています。
男性ホルモンがヘアサイクルを乱す
男性ホルモンも、ヘアサイクルの乱れに関わってきます。
男性ホルモンの1つに、テストステロンがあり、これに5αリダクターゼという酵素が結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)に変わります。DHTも男性ホルモンの一種です。
DHTは、髪の毛の細胞の働きを低下させます。髪の毛の細胞の働きが低下すると、成長期に成長できないといったトラブルが起きます。ヘアサイクルに支障が出てしまいます。
では、テストステロンは「悪者」なのかというと、そうとはいえません。テストステロンは、筋肉量を増やしたり、造血作用に関わったりします。
テストステロンは、多すぎても少なすぎても体に悪影響を及ぼします。
ヘアサイクルを改善するにはどうすればよいのか
乱れたヘアサイクルは改善させることができます。
血行をよくしてヘアサイクルを改善する
血行が悪化するとヘアサイクルが乱れるので、血行をよくすれば毛髪の改善が期待できます。
薄毛の初期や、まだ薄毛に入っていない段階であれば、頭皮マッサージで血行が改善し、薄毛予防になることがあります。
ただし、血行を改善してヘアサイクルが回復するのは、薄毛の初期か、まだ薄毛に入っていない段階に限られます。薄毛が進行または悪化すると、血行改善だけでヘアサイクルを元に戻すことは難しいでしょう。
頭皮を清潔にして炎症を起こさないようにする
頭皮に皮脂が付着しすぎたり、不潔にしていたりすると、雑菌が繁殖して炎症を起こします。頭皮はいわば「髪の毛の地面」であり、炎症は土地があれた状態です。炎症もヘアサイクルの乱れに関与します。
シャンプーするときは、頭皮を洗うことを意識して、マッサージをしていくとよいでしょう。そしてシャンプーやトリートメントなどの、すすぎ残しも頭皮の炎症につながってしまうので、しっかり洗い流し、しっかり乾かしてから寝てください。
医薬品を使う1:フィナステリド
薄毛がある程度まで進行すると、医薬品を使って治療することになります。
先ほど、テストステロンが5αリダクターゼと結合してDHTに変わり、DHTが髪の毛の細胞の働きを低下させて薄毛になる、と解説しました。
この流れを断ち切る医薬品があります。それが、フィナステリドです。
フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)の治療に有効であることが証明されています。
フィナステリドは、5αリダクターゼの働きを抑えます。5αリダクターゼの働きが抑制されるとDHTが生まれにくくなるので、髪の毛の細胞が活発に働くことができます。
髪の毛の細胞が働き始めれば、ヘアサイクルは再び軌道にのることが期待できます。
医薬品を使う2:ミノキシジル
フィナステリドが抜け毛を抑えるのに対し、ミノキシジルという薬は発毛を促します。
ミノキシジルは髪の毛の細胞を刺激して、細胞の増殖を促します。髪の毛を成長させる効果が期待できます。
また、ミノキシジルは血行をよくする効果もあります。
まとめ~モチベーションが上げるためにも
ヘアサイクルを先に知っておくと、「なぜその薄毛対策をするのか」がよく理解できるようになります。
ヘアサイクルとは髪の毛の一生のことであり、脱毛や薄毛は、その一生の間のどこかに支障が起きて発生します。
薄毛治療の研究をしている専門家たちは、ヘアサイクル内で起きている複数の支障を、1つひとつ潰そうとしています。
「なぜその薄毛対策をするのか」を知って治療を受ければ、効果が出たときに納得できます。納得できれば、薄毛治療のモチベーションアップにもつながるでしょう。